プロローグ
春風が気持ちの良い4月。爽やかな日で、寝心地も最高だったのだが...
「兄ちゃん!!起きろよぉ!朝だぞ朝!さっさと起きて学校行くよ!」
「にぃ...。今日から新学期...だよ?」
「ちょっと待ってあと5分、てか10ぷ痛たたたた!!」
花音は俺の掛け布団を引っぺがすと、腕を思い切り引っ張りベッドから出そうとする。
乱暴な所さえなくせば、我の妹ながら可愛いのに...。
「兄ちゃん、今変なこと思っただろ!」
「い、いや。そんなことはないよ?!安心してくれ花音ちゃん!?」
しかも、こーゆーとこすげぇ鋭いし。
「にぃ...。早く起きて、ご飯一緒に食べよ...?」
花音と違い次女の一花は、控えめで大人しくて(人とのコミュニケーションが苦手ということもあるが)とても良いやつだ、うん。彼女にしたい。
そんなことを思いながら朝食の席に着く。食卓には一花の作った美味しそうな朝食が並んでいる。
「一花ちゃん、今日もありがとう。とっても美味しいぜ。」
「ん...。ありがと...。」
家は、訳あって3人ぐらしだ。というのも、父母共に海外で働いているので、家事全般は一花ちゃんがこなしてくれている。それと違い花音ちゃんは...。
「一花〜、早くお代わり持ってきて〜。」
「ん...。わかった...。」
「食い意地ばっかはって、そんなだから男みたいだって言われちゃうんじゃ無いか花音ちゃん?」
「兄ちゃんはぶっ殺されたいのかな?」
「はい、なんでもありません花音様。」
「うむ、それで良いぞクソ兄貴。」
そうして賑やかな朝食が終わり、各自学校への支度をする。
「兄ちゃん、私の筆箱知らない?」
「あー、たしか...。って知るわけ無いじゃん?!最後どこで使ったんだ?」
「一花と宿題やってたから...。」
「花音ねぇ...あそこに、あるよ?」
「ありがとう一花ちゃん君は記憶力が良いんだね!」
「お前が無いだけだろ男女ぁ?!ちょっと?!暴力はやめません花音ちゃん?!」
「お前が悪いんだ、ろっ!!」
ガツン、ととても拳から出るはずのない音が出ていた。
「もぅ...。時間...。」
「そうだな!一花ちゃん!学校に行こうか!」
こうして俺たちの一日が始まるのだった。