private letter
掲載日:2016/05/28
煌々と明るいディスプレイ
電子の海の彼方にいる
親愛なるひとよ
鉄塔の見える
狭いベランダから
飛び立ち
私は
海の見える坂道のそばにいます
止められない紫煙は
今も緩やかに
闇に立ち上り
缶の冷えた発泡酒は
夜を
速やかに潤す
まるで変わりがないように見えて
刻々と変わる心情に
当たり前のように振り回され
今も
仰ぐ空の先
ひたすらに打つ文字の向こう側
まだ見ぬあなたを想う
hello
hello
誰ともつかぬ私から
軽やかに
呼びかけるよ
眼差しは夜の彼方へ
風は擦り切れながらも
続いていく
か細い線を辿り
泣き出しそうな縁をなぞり
交わした言葉の数だけ
重ねた想いの数だけ
確信よりも頼りのない
大丈夫を捧げるから
今は
笑いかけるよりも
そっと掠めるような
hello
hello
今じゃないいつかに
また笑えればいい
荒波も
さざ波も
凪いだ日も
すべて君の美しい海
だから送り続ける
hello
hello
返事なんていらないから
さりげない日々が
また君に
訪れるよう
うたうように送るよ
切っ先の橙は
希望とは程遠いけれど
喜びも
怒りも
悲しみも
すべて君の美しい海
ひたすらに打つ文字の向こう側
先に行く
hello
hello
すべては君の美しい海
いつか辿り着くように




