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変人さんのお兄さんとお姉さん 1

少し続きます^^

 今朝は青空が美しい秋晴れだった。朝の空気は澄みきっていて気持ちよかった、しかし昼からは朝の天気が嘘のように灰色の雲が青空を隠してしまった。秋は天気が変わりやすいらしいがここまで変わるとは思ってもなかった。雨が降る前に洗濯物を取り込む。


 「広野さんも手伝ってくださいよー」

 「うん、あとで」


 全く手伝う気のなさそうな返事だった。私はあきらめて一人で取り込むことを決めた。

 ベランダに通じる窓を開けた時、めったになることのない広野さんの携帯電話が鳴った、広野さんはめんどくさそうに携帯電話を見つめていた。なかなか出る様子のない広野さんを不思議に思って声をかけた。


 「出ないんですか?」

 「・・・なんとなく嫌な予感が」

 「出たほうがいいですよ、急ぎの用事とかだったらどうするんですか?」


 そういうと渋々広野さんは携帯電話を手に取った。


 「もしもし」


 相手の声はもちろん聞こえないが、広野さんはなんとなく不機嫌そうな顔をしていた。


 「は?どういうこと?なんでだよ」


 広野さんがそういった途端、玄関のチャイムが鳴った。


 「お客さんですかね?」

 「行かなくていい!」


 珍しく広野さんが大きな声を出した。驚いてしまったがチャイムは鳴り続けていた、広野さんが玄関に行く気配も感じられなかった。


 「・・・出ないんですか?」

 「うん」

 「どうしてですか?」

 「出たら面倒なことになるから」

 「でも、せっかく来てくれた人に失礼ですから。広野さんが出たくないのなら私が出ますよ」

 「あ、ちょ・・・」


 広野さんが何か言いかけたが無視して玄関へ向かった。


 「はーい、どちら様でしょうか?」


 玄関を開けると若い男の人と女の人が立っていた。二人とも何故か私を見て驚いたような顔をしている。


 「あの・・・?」


 そう声をかけると二人は同時に顔を見合わせてうなずき合った。


 「ここは、広野という人が住んでいる部屋でしょうか?」


 男の人のほうが私にそう尋ねた。


 「はい、そうですが」

 「・・・姉さん、兄さん」

 「えっ?」


 いつの間にか私の背後に広野さんが立っていた。この二人が広野さんのお兄さんとお姉さんなのだろうか・・・。


 「純!遊びに来たわよ!」

 「・・・来なくていいのに」

 「またまた、照れてるんだろ?ほんとうはうれしい癖に」

 「照れてないし、本当にうれしくないから」


 広野さんは二人に辛辣な言葉を放っているが、二人は全く気にしていないようだった。それよりも耳に入っているかも怪しい。広野さんは普段よりも不機嫌な顔をしていた、二人はそれに全く気付いている様子はなかった。


 「お邪魔するねー・・・ところで忘れてたけどさ、その子、どうしたの?」

 「・・・まあ、中で話すよ」

 「中に入れてくれるんだ、なんだかんだで純は優しいな!」


 能天気すぎる二人は中へと入って行った。広野さんの顔は死んでいた。

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