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【吸血鬼の変奏曲(パルティータ)】  作者: 稲木グラフィアス
第一章『銀髪の追跡者(チェイサー)』
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Phase.6『傷跡』part.6


「……と言うわけなのよ」


 美佳の説明が終わった。

 後は三人が納得したかが問題となる。


「まさかそんな。真夜さんが……男なんてぇ。信じないぞ、真夜さんが男なんて。あんなに可憐で綺麗な瞳を持つお方が……へぶっ!」


 案の定、暴走気味の修に桜というブレーキがかかる。

 今回は平手打ち。

 ふざけている訳ではなく、どうやら本気で認めたくないらしい。


「あれ、桜。どうかした?」


「いえ、お気になさらず。ただ自分の過去を思い出しただけですので」


「桜の過去は気にしないなんて事はできないのだけど……。でも、私も信じがたいわ。真夜さんが男なんて」


「もしそうなら、けしからん事です」


 三人とも永夜の事を、悪人か善人かどう思っているかの前に、男である事が信じられないらしい。


「で、でもだよ? 仕事で、仕方なくなんだって」


「それでも、男であの容姿はな。一度確かめ……ぶぼっ!」


「でも、確かに嫌らしい事を考えてはいなかったみたいね。着替える時なんて、わざわざトイレに行ってたみたいだし」


「と、トイレ……真夜さんが男だとしたら、何も怪しまれずに……ぐぶぉっ!!」


 修は真夜が男だと知ってから、暴走する間隔が短くなっている。

 それでも、打たれ強いのかすぐに復活する。


「…………」


「だからね、桜。永夜は悪い人じゃないのよ?」


「わかりませんね」


「え?」


 説明を聞いた後も、桜の永夜に対する敵意は変わらない。

 桜は説明を聞く前よりも真剣な顔で考え、話す。


「今の説明では、そのウィアドという所から派遣された人が天月真夜と名前を偽った柳永夜と言うわけですが、彼が写真の彼女を殺そうとしていなかったとは言えません」


「い、いや。でも……」


「吸血鬼事件を解決するという事は、犯人の捕獲か排除。ナイフと銃を持っていた所からすると、これはもう殺そうとしていた様にしか見えませんでした」


「でも、永夜は……」


 だんだんと反論が難しくなっていく中、美佳はどうにか永夜が悪人ではないということを認めさせようと説得する。

 しかし桜は聞かずに、話し始める。


「とりあえず、今から天月真夜の……いや、柳永夜の部屋に行ってみましょう。何か手掛かりが見つかるかもしれません」











 星亮高校寮、天月真夜の部屋。


「えっと、後は……」


 スクールティンカーのメンバーを疑っている訳ではないが、桜に知られたからには押し入られる可能性が高いと見て、永夜は自室の荷物でウィアドに関する物をかき集めていた。


「銃に弾装、ナイフ、携帯、痛み止め、包帯……その他諸々OK」


 写真の少女『荒牙鬼ルナ』はウィアドの仲間が来て、無事保護された。

 しかし、吸血鬼事件はまだ解決していない事を知らせ、任務続行。


「さて、振り出しに戻った訳だが……うっ」


 制服だと目立つので、私服に着替えようと荷物から服を取り出すが、あるのは全て女物の服。


「まあ、当然っちゃあ当然なんだけどさ」


 フリフリが付いた物や、スカートが異様に短いような物は無い代わりに、少し派手では無いかという物が多かった。

 永夜はある人物を殴りたいという衝動にかられながらも、なるべく質素な物を選んだ。


「さっさと着替えて出るか」


 着方は女子用の制服を着ていたせいか、すぐだった。

 が、しかし……


 ガチャ……


 突然、入り口の扉が開いた。

 扉を開けて入ってきたのは、


「あれ、着替え中?」


「美佳……っ!?」


 もっと、他に何か言えなかったのだろうか。

 と思う所だが、永夜は一目散に走りだし、荷物を手に窓から飛び出した。


「あ、永夜!」


「待ちなさいっ!」


 桜が美佳の体を押し退け、永夜を追おうとするが遅く、永夜はその場にはいなかった。


「逃げられましたね」


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