表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【吸血鬼の変奏曲(パルティータ)】  作者: 稲木グラフィアス
第一章『銀髪の追跡者(チェイサー)』
33/46

Phase.6『傷跡』part.4


「桜」


 すべての授業が終わると同時に、美佳は桜に話し掛ける。


「わかっています。ですが、スクールティンカー全員が状況を知る権利があると思います」


「呼んでいいよ。全員に真夜の事情を聞いてもらうんだから。そして、納得してもらうんだから」


 そして、スクールティンカーはすぐに屋上に集まった。

 ただし、天月真夜の姿はやはりない。


「皆、よく聞いてほしいんだけど」


「美佳、その前にまだ真夜さんが来てないが?」


 修が手を挙げて言う。

 美佳はそれにきっぱりと言った。


「今日の話は真夜の事だからね」


「そう言えば、真夜さんは風邪なんでしたっけ?」


「えっと、実はね……」


 と、そこで桜がわって入った。


「私から言いましょう。昨日の深夜、私と美佳さんは、星亮高校の寮から飛び立つ影を追っていました」


 すると、遥と修が何か思い当たったかのようにする。


「遥様も修さんも、お気付きかと思われます。そう、その影の正体はあの天月真夜の物です。天月真夜を追って、私達は裏通りに行き着きました。そこは先日に吸血鬼事件の調査に行った荒れ地と酷似しており、美佳さんの能力で天月真夜を追った所、天月真夜と誰かが戦闘状態にあった所を目撃しました」


『せ、戦闘』


「はい、その相手は写真に写っていた魔王の隣に写っていた人物でした」


「真夜さん、すげぇ。もう犯人を見つけたのかよ」


「じゃあ、今日はその時に負った傷を見られたくなくて休んだのでしょうか。後でお見舞いに行ってみましょうか?」


 修と遥は絶賛の声を上げる。

 美佳は桜に説明を任せていいのかと不安でいた。

 美佳には、現在も桜から『天月真夜は敵』という思念が伝わっていたからである。


「お止めください、遥様!」


 桜は遥の言葉にピシャリと言い放つ。

 その場にいる全員が驚いた程だ。


「天月真夜は危険です! 天月真夜は写真の少女にナイフと銃を持って対応していたのですよ!?」


 瞬間、場が凍りつく。

 ただの一般人だと思われていた人物がナイフと銃を持っていた何て事を聞けば、誰でも耳を疑う。

 しかし、赤崎桜という人物はそう簡単に嘘を付かないという事をスクールティンカーのメンバーは知っている。


「まさか、あの真夜さんが……?」


「本当です」


「そんな、あんなに優しそうな人が……」


「この目ではっきりと見ました。美佳さんもそばにいましたので」


「う、うん。そうなんだけどね? でも聞いて、真夜は――」


 しかし、桜は美佳の発言を遮るようにして話始める。


「現在、天月真夜が欠席しているのは、私達に正体がバレたからだというのが妥当でしょう。ですが、彼女も私達がそれを簡単に学校に言わない事をわかっているようです。いずれ、校長と話をしなければならないと思いますが、その前に彼女が手を打ってくると思います。その前に、私達は何か……」


「いい加減かにしてよ、桜!」


 突然の美佳の声に桜さえもが驚く。

 美佳は目尻に少しだけ涙を見せながら尚も叫ぶ。


「桜はわかってないよ。真夜は殺しなんてする人じゃないって! サイコメトラーの私には相手の気持ちがわかるの。だからわかるの。だから知ってるの。真夜の過去に何があったのかさえ!」


「気持ちなら、コントロールをする事は可能です。普段は悪意を見せない人が、本当は悪人だったという話はよく聞くでしょうに」


「真夜にはそんな気持ちなんて無かったよ! 結界の件で、私の気分が悪くなった時は本気で気を使ってくれてたし……」


「ですから、気持ちのコントロールなんてものは……」


「真夜の優しさが嘘だったって言うの?」


「美佳さん、あなた……何か天月真夜について何か知っているのですね」


「ええ、知ってるわよ。それを話すために皆を集めたんだから!」


 すっかり外野側にいた修と遥がやっも会話に復帰し、美佳の話は始まった。

 始め、天月真夜という女性は実は柳永夜という男性だったという所を話そうか迷ったが、秘密にすれば信じてもらえないと思い、すべて話した。

 修と遥は美佳の話を聞いている内に何度も驚きの声を挙げた。

 しかし、桜だけはいつもの無表情。

 というよりは、そこに嘘が無いかを探るようにして聞いているようだ。

 美佳が永夜の事を庇っていると思っているのだろうか。

 美佳は桜との間にできた亀裂を感じながら説明を続ける。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ