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【吸血鬼の変奏曲(パルティータ)】  作者: 稲木グラフィアス
第一章『銀髪の追跡者(チェイサー)』
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Phase.6『傷跡』part.2

さて、期末テストが終わって早速投稿しました!

バンパル再開ですよー!

テストの出来ですか? くそ食らえですよ!

 さっぱりだ。

 自分という存在がいるのだから、祖先がいるのは当たり前。

 少女の話では、その『祖』という存在が他の吸血鬼を統括し、王国のような物を築いていたようにとれた。

 第二次世界対戦なんかよりずっと前。

 王政や帝国主義が多かった頃の時代の話に思えた。


「だから、身内が吸血鬼だなんて事は殆ど無いのよ」


「殆どって事は、中には吸血鬼同士で子孫を増やした奴もいるんだろ?」


「まあ、少しだけね。今はもう人間社会に溶け込んでいると思うわ」


「……ん? もしかしてお前の目的って、人間を滅ぼして、吸血鬼の時代をもう一度やり直そうとかってんじゃ無いだろうな」


「そんなんじゃないわ。ただ、生きるためには仕方ないのよ。食べ物を買うお金は無いんだから、人の血を食料にしてるのよ」


「ん、じゃあ。あの時計と写真は何なんだ」


 すると、少女は時計を取り出して見せる。

 永夜と争った時に取れた鎖の部分はもうない。


「これは、ある人から貰ったのよ」


「お前の隣に写ってる奴。……そいつが」


「そう。私を助けてくれた人」


 少女は振り向き、笑って見せる。

 雨の天気で薄暗くも、明るく元気な笑顔。

 しかし、その笑顔はすぐに消えた。


「すっごく、優しいの! ……でも」


「あ、そうだったな」


 魔王は永夜の目の前の少女に殺された。

 正確には『自分を殺させた』だ。

 何があったのかは永夜は知らない。


「俺の場合は、拾ってくれた人間がいい人だったから、か」


 勝吉の笑い顔が目に浮かぶ。

 ウィアドに連れてこられ、訓練をさせられた。

 そして、終わるとご褒美だと言っておにぎりをくれた。

 ウィアドから食料は与えられるので、そこまで腹ペコではなかったが、その『おにぎり』は初めて勝吉のくれた物と同じだったのだ。

 普段はふざけた態度を取っているが、真剣になるべき場面ではふざけない。


「まぁ、こんな格好をさせる奴だけどなぁ」


「こんな格好?」


「だってそうだろ? 男のくせにスカートだのロングヘアーだの……」


「……は?」


「……え?」


 互いに驚き、目を合わせる。

 しばらくして、少女が話し始める。


「何、あなた男なの?」


「気付かなかったのか、さっきから普通に元の口調だったのに」


「気付く訳ないじゃん、そんな……顔も服装も……。……胸だって!」


「それを言うなよ、俺だって選んでこの容姿になった訳じゃないんだから」


「男のくせにこんな形の良さげな胸をもちやがってぇ~!」


 途端に少女は永夜に飛び付く。


「な、てめっ。何しやがる!」


「何なのよ、この顔と綺麗な髪は! どんなセレブな人間に拾われたのよ!」


「素だよ! これが俺自身の顔だよ!」


「整形したんでしょ!」


「してねぇよ!」


「余計に腹立つぅー!」


 少女は永夜に覆い被さるようにして動きを封じ、永夜の胸にある二つのパッドの膨らみを鷲掴みにする。

 当然固いので潰れはしない。


「このっ、このっ、このっ!」


「止めろこのバカ! 俺は男だ!」


「いいや、まだまだ。只の貧乳少女で、男のように荒い口調なだけかもしれない」


「んな訳あるか!」


「じ、じゃあ……グ、グヘヘヘ」


「何で突然、変な笑い方すんだよ!」


 グヘヘヘ、と不気味な笑いを浮かべながら、少女は両手をわきわきさせて永夜に迫る。


「お、おお、女の子なら無いはずだよねぇ~」


「や、ヤメロォォォオオオ!!」











 ※『吸血鬼の変奏曲(パルティータ)』は健全な物語ですので、この情景描写を省かせてもらいます。











「はわわわわ~」


 少女は自分の手を、頬を赤く染めながら見ている。


「あぁぁ……。お、俺はぁ……」


 そして、涙目の……男。


「ま、まぁ。男って事で間違いは無いわけみたいね」


「…………ぅっ」


「その顔止めてよ、物凄く罪悪感あるじゃん!」


 永夜は涙を拭うと、乱れた服を整えて立ち上がる。

 暴れた拍子にずれたパッドの位置を直し、スカートに付いた砂をぱっぱと払う。


「……あんたって何者?」


「義父に女装をさせられてる男……」


「いや、そうじゃなくて。仕事とか何とかって事」


「あぁ、まぁいっか。え~、俺の仕事ってのは吸血鬼事件の解決で、お前を殺す事じゃない。たまたま、戦闘になってしまっただけであって、俺の腹はお前を……まぁ、捕獲だな」


「え?」


「同胞だってわかってるし、その……まだ若い奴を殺したくはないんだ」


 永夜は頬をポリポリとかく。

 すると、少女は永夜のその様子を見て言う。


「……あんたって、本当は殺した事はないでしょ」


「いや、そんな事はないぞ?」


「じゃあ。殺した事はあっても、直前に迷ってたんでしょ」


「……半分くらい……かなぁ?」


 じっさい、その半分が二十代の若者だった。

 ウィアドの訓練で『引き金を引く時は迷うな』と言われた事があった。

 しかし、永夜は未だに迷ってしまう時があるために、攻撃班(ソード)から調査班(チェイサー)に移された。


「はぁ……、で? あんたは私を捕獲してどうする気?」


「お前さえ良ければ、ウィアドのどっかの班に入れさせてもらおうかと考えてる」


「……ん、ウィアド?」


 と、少女は『ウィアド』という単語に反応した。


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