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【吸血鬼の変奏曲(パルティータ)】  作者: 稲木グラフィアス
第一章『銀髪の追跡者(チェイサー)』
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Phase.5『協力の意思』part.6


「安心感、ですか?」


「う~ん、桜にもいつかわかると思うよ、いつか」


「そんなに長くは待てそうにありません。……そろそろ時間です」


 と、桜は時計をチラリと見て言う。

 美佳もつられて見ると、時刻は午前0時。深夜である。

 監視カメラの映像の時刻も午前0時。

 真夜と思われる人影がカメラに写り込んだ時間でもある。

 すると突然、桜が指を指す。


「いました、あそこです!」


「え、どこ? ……あ!」


 桜の指差す方向、そこには長い髪と二つの翼のシルエットがあった。


「すごっ、あんなのよく見つけられたわね」


 しかし、言われなければわからないほど小さいシルエットだ。

 かなり高い位置を飛んでいるに違いない。


「追います」


「あ、待って!」


 だっ、と走り出す桜はずっと上を見ているので、前を見ていない。

 しかし、まるで見えているかの様に障害物を避けていく。

 それに比べて、美佳は桜を追うだけで精一杯なのだ。


「は、速いし……」


 ゼェゼェ、と美佳が息を切らし始めた頃、ようやく桜が止まる。

 桜に追い付いた美佳は膝に手をつける。


「……ここは」


「ここって……」


 ついた場所は美佳がサイコメトライズで見つけた、吸血鬼の第二の隠れ場所と疑われる場所だった。

 ここには結界が張られてはいないようで、永夜が何をしていたかを、見ることができた。


「美佳さん……」


「うん、あそこ……」


 美佳が指差した先にマンホール。

 永夜が入ったのが見えたのだ。

 その前に何か回りを見回していたが何も見つからなかったようだ。


「まったく、一人で行っちゃダメって言ったのに」


「ん、何か?」


「ううん、何でもない」


 美佳は言いつけを無視して見回りに行った永夜に苛立ちながら、桜と二人でマンホールに向かった。











「このっ!」


 ぶんっ、と風を切る音と共に、永夜の頬を少女の右ストレートが掠める。

 美佳達より先にマンホールに入った永夜は既に写真の少女と交戦状態に入っていた。

 二人の間に対話などはなく、ただ相手を動けなくするか、それ以上の状態にしようという戦いだった。

 状況的に見れば、永夜が押されている方だ。

 少女の動きは決して素人の物ではない。

 だが、永夜の心の中では勝機が無いとは思っていない。

 永夜はまだ銃を使っていない。

 一発でも吸血鬼に銀の弾を撃ち込んでしまえば、その戦闘力は格段に下がってしまう。

 せめて、相手の疲れが見え始める所までは持ちこたえなければならない。

 少女は永夜の攻撃をかわしながら、カウンターのように拳を叩き込んでくる。


「タフな奴だぜ……ったく」


 一度距離をとり、互いにもう一度体勢を立て直す。


「魔王の何なのかは知らねぇが……」


 永夜はスカートの中に手を入れ、銃とナイフを取り出す。


「吸血鬼ならっ!」


「真夜っ!」


 銃を少女に向けた瞬間、何者かの声が響いた。


時間がかかったわりに短くて申し訳ありません。

五話はこれで終わりです。

次はphase.6からとなりますが、テストの関係でお休みさせていただきます。

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