Phase.5『協力の意思』part.2
「さぁ、早く調査を始めようよ!」
放課後、スクールティンカーのメンバー全員で集まったのだが、一人だけメンバーじゃないのに集まっていて、テンションが異様に高い人物がいた。
長瀬有紀斗である。
もちろん、ゲストでもない。
「なんで有紀斗君が?」
「僕だってスクールティンカーの仕事の協力はしたいんだよ」
「じゃあ、メンバーに入れよ」
「それは出来ないんだ」
と、有紀斗は修の申し出を断る。
なぜか永夜にはわからなかった。
スクールティンカーの仕事が面白いと思うのなら、メンバーになればいい。
何か特別な事情があるのだろうか。
「なぜか有紀斗さんはスクールティンカーに入ろうとはしないんですよ。理由はわかりませんが」
「特別な事情があるんだよ」
「自分で言うかなぁ」
有紀斗はなぜかテンションが高い。
その理由も不明。
元々は地味な性格だったらしい。
「言えない事情があるんだよ」
「うん、早めに相談したら?」
「そんな事したら、その人の精神が崩壊寸前の状態になっちゃうよ」
「どんな事情!?」
「それはもう…………あぁ!!」
「何があったの!? 有紀斗君の過去に何があったの!?」
「命名、ハルマゲドン事件だよ」
「世界の終わり、って何があったの!?」
「それは…………。……………………ふぅ」
「そんな寂しそうな目で話すハルマゲドンって何!?」
「クククッ、あれは壮大な宴だったよ。クククッ」
「台詞が悪役っぽい!」
「HA☆HA☆HA!」
「明るいハルマゲドンだねぇ!」
「さて、真面目に話そうかZE☆」
「有紀斗君の本性がわからないよぉぉぉおおお!!」
と、そんな永夜と有紀斗のやり取りを八つの目が見ていた。
「真夜と有紀斗君って、もう仲がいいんだね」
「すごいな、美佳に匹敵するレベルじゃないか?」
「交友関係が広いのはいい事だと思いますよ」
「美佳、ライバル出現」
「え、真夜が私のライバル?」
「いいなぁ、有紀斗。真夜さんとあんなに楽しそうに……」
「気があるんですかね?」
「え、真夜って有紀斗君に気があるの!?」
「え、なんでそんなに美佳が反応するの?」
「まさか美佳さん、真夜さんの事が?」
「ちょちょちょちょっと、待って!」
なぜか話が膨らみすぎそうな勢いを感じて、永夜が止めに入る。
止めないでいると、後々に変な噂になりそうな勢いだった。
だが、それも有紀斗に邪魔される。
「大丈夫だよ、真夜さん。ハルマゲドンの所からは嘘ですから」
「精神崩壊ぎみは変わらないのっ!?」
「はぁ、はぁ……疲れたぁ」
「あははははっ! よかったよ、真夜。予想通りの突っ込みだった」
「もうっ、からかわないでよね」
何だかんだと騒いでいる内に時間が経ってしまっていた。
永夜は散々弄られ、本当に疲れていた。
弄られキャラ『真夜』の誕生と言ってもいい。
「あぁあ。時間がだいぶ過ぎちゃったし、今日はそのまま帰ろっか」
「うしっ、賛成~」
と、美佳の提案にそれぞれが帰り始める。
「美佳と真夜さんは帰らないのか?」
「いや、ちょっと持ってき忘れた物があったの」
「そか、じゃあまた明日な~」
「じゃあね~」
「また明日~」
と、その場に残ったのは永夜と美佳の二人だった。
残った理由は二人とも同じで、時計の鎖を使ったサイコメトライズをするためである。
「始めよっか?」
「おう、頼む」
永夜が鎖の一部を手渡すと、美佳は目を閉じて鎖に意識を集中させる。
美佳がサイコメトライズをしている間、永夜は犯人に対抗する手段を考えていた。
まず、美佳のサイコメトライズが成功して犯人の隠れ家がわかったとする。
当然その場へ向かい、犯人と戦闘をする事は間違いない。
スクールティンカーのメンバーを速やかに全員その場から逃がした後、永夜自身が応戦し、確保。
しかし、これには不確定要素がある。
まず、何と言っても交戦状態にある時だ。
犯人は純粋種の吸血鬼である可能性がある事。
純粋な吸血鬼になればなるほど、吸血鬼としての力が強くなるのだから、戦闘は極めて不利なものとなる。
ならば対抗手段は銃撃による魔術回路の破壊だろう。
犯人が裏通りの場合ような結界を張れるのなら、それを封じる事ができる。
結果、美佳のサイコメトライズでどこまでも追いかける事が可能になる。
と、ここで永夜は美佳に頼りすぎている事に気付く。
「はぁ……もう少し、自分で調査しなきゃな。なんのためにこんな格好までいてるんだよ、俺は」
「ん、わかった!」
突然、美佳が跳び上がる。




