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【吸血鬼の変奏曲(パルティータ)】  作者: 稲木グラフィアス
第一章『銀髪の追跡者(チェイサー)』
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Phase.3『スクールティンカー』part.1


 翌日の放課後、永夜は屋上にいた。

 理由はもちろん、スクールティンカーのメンバーとの顔合わせである。

 あまり気分が乗らない永夜であったが、昨晩に勝義がスクールティンカーについて何か呟いていた気がした。

 通信端末ごしなのでよく聞き取れなかった。


「どうも、天月真夜です」


 屋上には既に人が来ていた。

 金髪のセミロングで左目が赤、右目が青というオッドアイの女子。赤崎(あかさき)(さくら)

 ウェーブのかかったロングヘア。大人しそうな雰囲気を漂わせる女子。早乙女(さおとめ)(はるか)

 そして、矢野(やの)(しゅう)という名の男子。


「よろしく」


「よろしく、真夜さん」


「よろしくお願いしますっ! 真夜さん!」


「よ、よろしくお願いします」


 桜、遥の二人は大人しいからいいものの、修だけはかなりのハイテンションだった。

 美佳に続く元気系キャラの登場である。


「えー、新人の真夜が入った訳だけど…………さっそくミッションを開始したいと思いまーす!」


 スクールティンカーという団体は、やはりよろず屋らしかった。

 現在のスクールティンカーの人数は団長の美佳、桜、遥、修、そして永夜を含めて五人と少ないが、星亮市ではかなりの人数がその名を知っていたりと、案外有名な団体らしかった。


「今回のミッションは…………ジャジャン! 吸血鬼事件の解決です!」


「…………っ!?」


 永夜は目を丸くする。

 皿のように丸い、本当に丸かった。


「吸血鬼事件って、アレでしょ? 去年から話題になってる」


「そう、私達スクールティンカーで解決しようと。そういう訳ですよ」


 永夜は直感する。

 美佳は自分が吸血鬼事件の事について調べている事を知って、それに協力するつもりなのだろう、と。

 しかし、いくら美佳がサイトメトラーで、その能力がどんなに強力な物であっても、一般人を巻き込むにはいかないのだ。

 だから永夜は反発する。


「でも、警察でも解決できないんでしょう? それをこんな一般人の団体じゃ無理なんじゃない?」


「ちっちっち。わかってないなぁ、真夜は。本当にスクールティンカーのメンバーの事を全くわかってない」


 わかってないも何も、今さっき加盟したばかりである。


「話してもいいよね」


 美佳は三人に向かって言う。

 三人は同時に首を縦に振る。


「私がサイトメトラーなのは昨日も行ったけどね。スクールティンカーのメンバー全員が何かしらの能力を持ってるの」


「え?」


「スクールティンカーだけじゃない。私達1年A組の全員がそうなのよ?」


 永夜は驚かされるばかりであった。

 スクールティンカーだけならず、1年A組全員が能力者という事実を永夜は瞬時には受け止められなかった。


「遥は人並み外れた怪力の持ち主」


「いえいえ、怪力だなんてそんな」


「桜は右目が邪鬼眼なの」


「…………」


「修は発火能力者(パイロキネシスト)なのよ?」


「花火の時は便利だよね」


 能力を使ってまで花火をするなよ。そう言いたかった。

 何かしらの超能力を持っている人は団体を作るというのは、永夜も聞いたことがある。

 ウィアドにも、何人かの能力者がいる。

 コードネームのナンバーが『1』のメンバーは全員が能力者で、一桁代のナンバーのほとんどが能力者である。


「ちなみに、毎年A組は能力を持った人だけが集まってるクラスらしくてね。校長先生が1年A組に来て直接話してくれたの。もしかしたら、校長先生も能力を持ってるんじゃないかな」


 もしかしなくても、校長は能力者なのだろう。

 能力者を集めるには超常現象を本気で信じていないと不可能だ。

 常人なら考えもしないだろう。

 また校長だけでなく、同じ部屋にいた教頭までもが能力者である可能性が高い。

 スクールティンカーはその中でも美佳が集めた(しかし永夜を合わせて五人)の能力者の集まりなのだろう。


「つまり、真夜さんも何かの能力を持ってるんですよね。教えていただけませんか?」


「あぁ、それはぁ」


 自分が吸血鬼であることは言えるはずがない。

 永夜自身が吸血鬼であることが知れれば、当然疑われる。

 美佳のように永夜の素性を知っている者でないなら尚更である。


「真夜はね、吸血鬼なんだよ」


「へっ?」


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