程良い休養も必要です
「皆!!企画書通ったよ。当日まで頑張ろうね」
あの後、1年生も交えて作り上げた企画書が正式に採用された。
調理部門は原則的に家庭科室で調理することになっている。
だから食堂を使いたくても使えないのだ。
ただし、冷蔵庫と洗い物をしない範囲のシンクの使用は認められている。
ただ、6月25日現在で採用されたクラスは8クラス。
私達が告発したことによって、現執行部は失脚して新執行部に変わった。
本来ならば実行委員を新規にしないといけないのだろうけど、時間がないから
2年生を中心にやる気のあるメンバーを募ったのだ。
実際新加入のメンバーをみると皆1年の時のクラスメート…それってどうよ?
「じゃあ、次はどうするか?」
「とりあえず、各部門の責任者だけでスケジュールの確認をしようか?」
私は手帳を見て竜也に伝える。
「お前はいつでもいいのか?」
「私?私の仕事は委員会の機能が停止していた時に頑張ってすすめたもの」
「それって平気なのか?」
竜也は不安そうに私を見る。
「平気よ。私の仕事は企業さんとの交渉だから。パンフレットの中身に関しては
ページ数の厳守をお願いするだけ」
「じゃあ、終わってるのか?」
「うん、ほとんどね。協賛金も貰えたし、ポスターの印刷も発注終わったから」
私は手帳を竜也に見せる。今日までの日付は放課後はびっしり予定が入っていた。
それ以外にも、休み時間は携帯で調整していたし、企業さんが学校に来た為に
授業を休んで話し合った事もあったし。
「私自身は…9月になるまでそんなに忙しくないの」
「じゃあ、クラスに専念して貰わないとな。メニューと金額を考えないと」
「そうか、そこは完全に決めないとね。ねぇ…食券制にして確実にコストを
減らしたいんだけども…どうかな?」
私は竜也にちょっと気になっていた事を提案する。
「そこのところは…皆で決めていこうな」
竜也は私の肩に手を添える。
「お前…肩凝ってるぞ。少し休め」
「ありがとね。スケジュールの方は任せる。今日は帰るね」
「あぁ、お疲れ」
私は家に戻る為に鞄に荷物を入れるのだった。
「真美、お前こんなに早く帰っていいのかよ」
「哲…とりあえず今日はね。一緒に帰ろうか?」
私は哲に向かって笑顔を向ける。けれども…なんか体がだるい。
「真美…お前顔色悪いぞ。家におばさんいるか?」
「…いない。夕方まで仕事よ」
「だったら…おばさんが戻ってくるまで家にいてやるよ」
「ありがとね。ちょっと無理したのかな?あははは…」
私は辛いんだけども…哲に笑いかける。やっぱり無理してたんだ。
「荷物貸せよ。持ってやるから」
「ありがとね」
私は哲に鞄を預ける。
「あれ?お前の荷物って重くないな?」
「教科書は基本的に置いておくの。たまに持って帰るけど」
「…で、どうやって勉強してんだよ?」
「コピー取ってあるから。それに教科書ガイドがあればとりあえずはね」
あれ?哲が凹んでいる。なんか…地雷踏んだ?でも私はいつもそうやってるし。
「嫌…俺、この学校に入れた事がやっぱり神がかりだったんだな」
「今度からは勉強一緒にしようか?私は復習になるし」
「本当か?だったら教えてくれよ。約束だからな」
哲はすごく喜んでるみたい。でも…そんなに悪い成績でもないと思うけどな。
「だって…総合順位って歩美よりは…マシでしょ?」
「それは・・・分かんねぇな」
歩美は文系ならトップクラスなんだけども…数学が壊滅的なんだよね。
総合になるとかなり順位が下がってしまう。
多分来年は理数系は選択しないんじゃないかな…多分。
そして私達はいつアメが降っても可笑しくないような空の下並んで自宅まで帰った。
「やっぱり…降ってきたね」
「梅雨だしな。とにかく着替えてこいよ。俺リビングで待ってる」
哲に促されて私は制服から部屋着に着替えた。
なんか微熱があるような気がするし、寒気が少しする。
「哲…着替えたよ。こっちにくる?」
私は部屋のドアを開けて哲を呼ぶ。
「あぁ、行ってもいいならな」
「うん、来てもいいよ」
哲がなんか他人行儀な気がする。今まではそんなことはなかったのに。
どうしたんだろう?聞いても教えてくれないよね…多分。
「入るぞ…お前…熱が出てないか?」
哲は部屋に入るとすぐに私の側に来ておでこに手を当てた。
「…そうかな?疲れてるだけじゃない?」
「だったら、すぐに寝る。冷やすか?」
「どっちかというと寒気がするから冷やしたくない」
私は哲に促されてベッドに入って横になる。
「明日は無理するなよ。おばさんが来るまではいるからな」
「うん…。お願いがあるの」
私は哲にちょっとだけ我がままを言いたかった。聞いてくれるかな。
「何だ?手を出せよ。手を繋いでくれじゃないのか?」
私は哲にいい当てられて少しだけ恥ずかしい。
「うん…ダメ?」
「いつもそうだもんな。いいぜ。ほら…」
哲が手を差し出してくれたから私は、その手に右手を添えた。
「冷たいね…気持ちいい」
「ほら…目を瞑るだけでも楽になるから…お休み…」
哲のひんやりとした手が心地よくて私の意識は自然と遠のいた。
今日だけはお願い…我がままを言わせて…。




