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オーバーワーク

「真美?真美?」

誰かが私を呼んでいる。その声は一人だけじゃなくって、私は良く知っている。

「あっ…私…」

天井は真っ白で、仄かに消毒薬の香りがする。ここは病院?それとも…

「保健室だよ。入院してないよ」

歩美が私に現状を伝えてくれる。

「お前は働き過ぎ。過労だって」

竜也は呆れた顔をで私を見る。ちょっとだけオーバーワークだったかも。

「真美…凄く顔色が悪いぞ。親父に頼んで迎えに来て貰うから。

もう少しここで寝てろよ?」

「分かったけど…この後諒君の家に一緒に行くんじゃなかったの?」

私達は打ち合わせの後に哲のクラスメートの諒君の家に行く予定だった。

「あぁ、先生に許可貰って…今から諒が来るから。たつもいいだろ?」

「そうだな。あいつがいいと言うなら」



ガラリ…保健室の扉が開く。

「真美先輩…平気ですか?」

「ごめん…ね。疲れていたみたい。休めば治まるよ」

私はゆっくりと起きようとするが、まだ目が回っている気がする。

「真美さんは?」

諒君の後ろから顔だけを覗かせてりおちゃんもいた。

しっかりものの諒君にちょっとそそっかしいりおちゃん。

見ているこっちが目を緩めたくなる光景だ。微笑ましい。

お互いに好意を持っているのはこちらからも分かるのに…

恋をした事のない諒君を想っているりおちゃんが健気だ。

「ごめんね。りおちゃんにも迷惑かけたね。諒君の家にいたんだ。

えぇ、でももうすぐバスの時間なので私は帰りますよ…リョウ行こう?」

「そうだね。りお。りおをバス停に送っていくんでその後戻りますから」

諒君はそう言うと、りおちゃんを連れてバス停に向かって行く。

入学当初から良くも悪くも注目されてた諒君。そんな諒君に気がつかないで

知り合ったりおちゃん。

同じクラスだったら…文化祭で距離が縮まるのにと思って仕方がない。

この位の障害は今の二人には問題はないだろう。



「じゃあ、お茶の方はお前達に任せていいか?」

「本当は母さんに任せてるっていうのが…本音だけど」

「後、もう一人交代要員に男の子がいた方がいいかなとは思ってて」

「誰かいないかな。できれば可愛い系がいいんだ」

私は打ち合わせに同席していなかった哲に次の指示を出す。

申し訳ないんだが…2年1組には可愛い系の男子のラインナップはない。

いたのはいたのだが…彼女の方に打診した途端にNGと回答されている。

最後の手段は加藤先生なんだけども、先生はお茶を配るだけにしようと

竜也と私で決めていた。年上の旦那さまから労って貰ってもいいよね?

先生にお願いしたんだけども…あんまりいい返事がなかったの。

何でなのかなぁ?



「分かった。探してみるよ。どんな可愛いがいいんだよ」

「そうだね…えくぼが出る笑顔系?」

「なんとなく意味が分かった」

哲は早速、携帯を取り出して、電話をかけ始めた。

これだけの情報で探し当てる能力は大したものだ。

家に帰ったら褒めてあげようかな。



「真美。見つかったぜ」

哲から返事が来た。それにしても早いなぁ。

「変な下心とかないわよね?」

「時間がないから…今回は自信はない」

「分かった。そこは竜也と二人に任せるから」

私は今後の係りの行動は二人に委ねることにした。

私が細かく口にするよりは、任せてしまった方がいいだろう。



「ごめん…歩美と二人きりにしてくれない?」

私はちょっと歩美と二人きりになりたかった。

「分かった。あゆ、終わったら呼べよ」

そう言ってから、竜也は哲と諒君とりおちゃんを連れて廊下に出てくれた。

「何?真美?」

「明日…休んでもいい?」

「どうしたの?」

「多分…生理来るから。この調子だと倒れそうだし」

「そっか…重いものね」

「うん。何かあったらメール頂戴?」

「いいよ。他には?」

「販売班は当日に生理にならないよぉに」

私は歩美の携帯の音声メモを残した。

「真美…あんたのそれって…」

「あら?当日ならないといいよねって程度なのに」

歩美は呆れていた。私は呪いの言葉をかけている訳じゃない。

「分かった。聞かせておくよ」

「それと、先生と…よく一緒にいるね?」

「うーん、腹黒さが相通じるだけよ」

そっか、腹黒仲間なのが楽しいのか。それもいいだろう。

いつも私にしか毒を吐かない歩美が最近毒を吐かなくなったのが

少し不思議だったけど、その理由を私はすんなりと受け入れた。

けれども…その言葉の真実を知るのはそれから2カ月後の事。



サラリと呪いの言葉をかけてます。

このエピソードが…ある部分にリンクしていくんです。

(リンク先はムーンライトなので、良い子は我慢しましょう)

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