味見って言ってつい食べ過ぎてしまいます
「ちょっと…作りすぎちゃった…エヘ」
ちょっとだけ授業をさぼって祖母の家で試食会の準備をしていた。
思わず暇になってしまって…ついつい作りすぎてしまった。
「エヘじゃなくて…始めようか」
早速10人が小皿を手に持つ。
和食は本格的に決めていないものもあるから適当にしておいた。
「焼き魚は鮭がいいと思うのね。青魚は蕁麻疹やアレルギーがあるし」
「焼き魚は10食限定で500円だったっけ?」
「これなら…いいと思うな」
「炊き込みご飯ってあったほうがいい?」
「あるといいよね。残ってもおいしいし」
「トン汁がメニューにあるから、そこから具材は調達できるから
まず大丈夫だよ」
「煮物は…この位あればいいと思うよ」
皆は褒めてくれるけれども…かなり不安なこともある。
「…でも…地味じゃない?」
一瞬皆はシーンとする。竜也が沈黙と切り裂いた。
「他の店が定番の商品だろうから、逆に旦那さんを気遣うヘルシー
メニューを前面に出せばいいんじゃないか?」
「確かに…さっぱりしたものは見かけないよね」
「開き直ってそれを売りにするものありだな」
「メタボなあなたは嫌なのってポップはどうだ?」
「いいねぇ。今日はお疲れ様とかね」
和食のコンセプトと値段の方は大まかに決まった。
「次に、洋食か。限定食はオムライスかドリアにしようかと思って」
「ドリアは・・・平気か?」
「食堂の冷蔵庫とレンジは使えるんだよ。大丈夫」
「だったら二日目に当てて、両方やる?」
「それでもいいと言えばいいかな」
「それよりも、このフレンチトーストおいしいね」
「そう?これは焼きたてを出した方がいいと思う。」
「フレンチトーストいくらにするの?」
「250円か300円」
「最終決定はもう少ししてからでいいや。でも採用」
「ケーキ類はどうする?」
「シフォンケーキでいいんじゃないかな?」
「和食なら…カステラはどう?」
「それはいいねぇ」
どんどんメニューが決まっていく。食べるものは決まるんだけども
まだ残っているものがある。
「ねぇ、ドリンクはどうするの?」
「…忘れてた」
私は自分の中で計画していたものを言うことにした。
「冷やせるジュースは紙コップ1杯50円。ちゃんと淹れるお茶はコーヒーは
80円ってのはどう?」
「誰がそれをやるんだ?」
「竜也…哲がいるでしょう?打診してあるわよ。一応ね、夫が労わる××って
方向で売っていけばいいかなって思って。人員としては二人以上で回せるように
支持だした」
「哲か…忘れてた。あいつ今呼べるか?」
「多分。ちょっと待ってね」
私は携帯で哲を呼び出す。
「あっ、哲?お祖母ちゃんの家に来て、ポットティー出してくれない?」
「何でだよ?」
「あんたの貴重な特技を披露する時が来たのよ。いい?ダッシュで5分」
私は要件を言って切る。すぐにお茶が入れられるようにやかんをコンロにかけた。
「哲?何だって」
「来るでしょう?絶対。5分は無理でも」
「あのぉ…先輩と哲ってどういう関係…」
「私と哲は3日違いの幼馴染なの。昔は2件先に住んでたのよ。ね、竜也」
「そう、俺も歩美も幼馴染なんだよ」
「あいつ…ちょっと怖くって…」
哲と同じクラスの男の子が恐る恐る言う。気持ちは分かるけどね。
「目がちょっと鋭いからかな?大丈夫。普通の子だよ」
そう言っている間に玄関にキキッーとブレーキ音が鳴り響く。
哲が着いたようだ。5分はかかっていないわね。
「ティーポットは貸せよ。真美。花枝さんのあるだろう?」
「とりあえず、麦茶ね。今お湯沸かしているから?お疲れ」
私は祖母の家に置いてある哲のグラスに麦茶を注ぐ。
「ありがとよ。俺らの事言ったのか?」
「言ったわよ。じゃないと私の下僕みたくなっちゃうもの。
哲は私の大事な人だから」
自分の言ったことに対して恥ずかしくなってしまって私は俯く。
勘のいい人なら気付かれたかもしれない。まぁ、竜也は知っているけど。
周りを見回すと、したり顔で見ている人、意外って顔で見てる人…ばれたなぁ。
「哲、もう一人見つけられそうか?」
「あぁ、諒に話を振っておいた。あいつも出来ると思う。それに…
竜也、お前だって俺の母さんに仕込まれただろ」
「そうだったな。でも俺はもう一度千沙子さんに教わるよ…言っておいてくれよ」
「そうそう、竜也と真美に見積もりだってよ。母さんの所から仕入れるんだ」
「うん、コストを下げたかったからね」
その後、哲が淹れてくれた紅茶を飲んで、試食会は和やかに終わったように思えた。
side1年1組
「なぁ、俺思ったんだけど…哲って真美先輩のこと…だよなぁ」
「うん、多分なぁ。一緒に帰ってるって噂を聞いてたけどさ」
「あの二人に入り込む隙は…ないよねぇ」
「電話しながらやかんに水入れたり、着いてすぐに麦茶出したり」
「でも…付き合ってないんだろう?」
俺達5人は真美先輩のお祖母ちゃんの家から各自帰宅している。
「でも…意外だったな。あんなに優しい目をするなんて」
「本人が気が付いていないけどな」
「気持ちは自覚していると思うよ…私」
「だったら…あの二人をくっつけようぜ」
「あっ、それいいかも」
急遽結成された二人をくっつける会ではあったけれども…文化祭では効果はなかった。
効果が出るのは、文化祭が終わって約1カ月半も後の事…。




