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企画計画は綿密に

ムーンライト掲載で出てきた「白いフリフリエプロン」も当然出てきます。


「本日の食券販売は終了です。閉店まではドリンクの販売になります」

文化祭最後の食券オーダーは哲だった。

「哲、昨日も最後のだったでしょう?」

「だって、俺真美の側でずっと手伝ってたんだぜ?ねぎらいはねぇの?」

大きな体をした哲が少しだけ頬を膨らませて拗ねる。

その態度は幼い頃から全く変わっていない。

ここ1年で急激に背が伸びた彼は完全に私を見下ろしている。

その身長差が私達の距離感を物語っているように思えた。

そんな私の気持ちを知っているかどうかは知らないけど…哲は大人しく

私が最後のフレンチトーストを焼くのを待っている。



文化祭の2日目。もうすぐ11月になろうというのに、暖かい。

この企画が当たったのは、天気と企画力・実行力…全てがパーフェクト

だったからだと私達皆は確信している。

今回の企画の総責任者をしてくれている竜也が店舗スタッフに

「ドリンクのみに変更だからな。3人位は食器を洗って後片付け。

早くやれば全体の後片付けもすぐに終わる。文句あるか?」

と的確な指示を出す。

委員長である竜也に仕切らせておけばまず問題はない。

幼稚園からずっと一緒の頼もしい幼馴染。

竜也は私が哲のことをずっと好きな事を知っている。

「はい、出来たわよ。2日間お疲れ様」

私は出来上がったフレンチトーストを哲に渡す。

「おーい、哲。それ終わったらさ…わりぃけど打ち上げの準備な」

「俺去年いないのに知らねぇってば」

「大丈夫よ。私達がいるから」



私達の企画は1年生の哲のクラスを巻き込んで企画出店していた。

そうでないと広い食堂を使って企画ができなかった。

他のクラスからはクレームはあったみたいだけども…

そんなのはやったもの勝ち。

出店内容はともかく、哲のクラスを巻き込んで文化祭をやる計画は

哲が入学してきた4月から始まっていたんだもの。

私は…その事を思い出していた。



「これで、全部の役員は決まったよな」

「はーい」

「…で、去年の文化祭のリベンジをしようぜ」

「おう」

新学期すぐのLHR。去年に続いて学級委員の竜也の仕切りで決まる各委員。

私は親友の歩美と一緒に文化祭実行委員になることにしていた。

でも…このクラス…ほとんど去年の1組のメンバーなんだ。

なぜかって?芸術以外の選択授業を皆同じものを選んだから。

他のクラスに比べても国立大学志望も多かったのも原因かも。

…で、去年の企画の雪辱に燃えている訳…っていうか、根に持っている?

確かに去年のクラス企画はかなり質のいいものを出したのに、1年生であるって

理由で没にされた。それってありがちだけど腹が立つでしょう?

再提出の企画は校内オリエンテーリング。ただし、相当な難問100題を

校内のありとあらゆるところに隠して。

男女のトイレに校長室。生物室の人体模型…根性悪いよね。

当然、誰も解けなくって。使った費用は参加賞のミルキーの購入費のみ。

企画が通らなかったのは悔しかったけど、渡せなかった景品を打ち上げで

皆で食べたのは楽しかったなぁ。



3年生ではこのクラスはきっとバラバラになるし、3年生の文化祭の出店は

強制じゃないからほとんどのクラスは企画しない。

2年生の今年が最後の文化祭になる。去年のリベンジに燃えていた私達は

本番は10月末なのにも係らず、4月頭の今から企画を練っていた。

クラスの文化祭の大雑把な役割分担を済まして、今日は企画会議。

学校から一番近い私の家に皆が集まっている。

メンバーは私と歩美と立山さんと竜也と江本君と滝君。

「今年こそ…リベンジを」

「大丈夫。他のクラスはまだどこも動いていないし」

「やっぱり飲食企画がメーンだろ?」

「うん、去年はメイドカフェと執事カフェだったわ」

「そんなのはつまらないな。なんかないか?」

「うーん、新婚さんごっこみたいのは?」

「それ…新鮮だな。装飾は新婚家庭見たくすればいいでしょ?」

「衣装は?」

「各自の自前でいいじゃない?エプロンは白のフリフリでしょう?」

「それだけじゃ弱いよねぇ…結婚の歴史でも調べてみる?」

「国が違えば風習も違うし、衣装も違うよね」

「店員と写真サービスする?有料で」

「廊下に調べたものを張り出しておけばいいよな」

「まじめに結婚を調べればいいでしょ?女子は法律上結婚できるし」

私達の企画は終わることなく続いた。



5月のLHR。クラス企画で新婚さんカフェの企画を提案する。

「いいねぇ。ちょっとだけ現実的で」

「一度位は結婚してみたいものな」

クラスの反応は概ねいいみたいだ。イケる…私は手応えを確信した。

「女子のフリフリエプロンはどうする?」

「家庭科部のミシンを貸し出すよ。演劇部より優先に」

手を挙げてくれたのは、家庭科部の恵美ちゃん。

恵美ちゃんは、3月に結婚退職した顧問の先生を目指す家庭科教師志望の子だ。

「山中さん、ミシン提供は有難い。生地を安く買える場所知ってる?」

「当然。一括で購入するんだったら…かなり下げられるかも」

「男子はどうする?」

「男子は…ギャルソンエプロンとかソムリエエプロンでいいんじゃない?」

皆…よく分からないみたいだ。私は持参しているタブレットPCで

ソムリエエプロンの画像を調べた。

「ギャルソンはスタバの店員さんがしている短いので、ソムリエエプロンは

長いものね。タブレットで検索したんだけど…恵美ちゃんこれって手縫いで

いけるかな?」

「男子の方は…2日間だけ使用なら手縫いでいいでしょう。持って帰って

使うっていう人にはミシンかけるよ」

「衣装は?」

「皆がイメージする新婚さんでいいよ。基本私服にエプロンだから」

「早く…実行委員が始まってくれるといいなぁ」

「今年こそ…やるぞ」

「おう!!」

このノリのいいクラスが私には心地良かった。


文化祭で一番大変なのは…絶対企画書の作成だと思う。

だって…再提出も没企画も嫌でしょう?

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