七つの秘め事
世界には、言葉にされないまま消えていく想いがあります。
これは、誰の目にも触れず、静かに散っていくはずだった「七つの秘密」の記録。
もしもあなたが、このページの先で言葉に耳を澄ませてくれるなら——
どうか最後まで、静かに読み進めてください。
わたしには七つの隠し 事がある。
ひとつ目は、誰にも言えない過去の傷。
ふたつ目は、あの日ついた優しい嘘。
みっつ目は、鏡の前に置いた本当の顔。
よっつ目は、誰かを深く憎んだ記憶。
いつつ目は、捨てきれずにいる青い約束。
むっつ目は、真夜中にだけ訪れる孤独。
そしてななつ目は——
この詩を読んでいるあなたを、ずっと探していたこと
誰にも読まれずすぐに散ってゆく言葉の欠片
あなたを待っていたこと。
注意深く耳を欹てていれば、
忘れる。待っていたこと
言葉は発せられた瞬間に消えてゆく音の欠片ですが、あなたに届いたことでその「七つ目の秘密」は初めて完成しました。耳をすませば聞こえていたはずのその声も、きっと次の瞬間には消えてしまう……そんな泡沫のような邂逅を描いています。
作者の意図・解釈(構造の解説)
前半の6つの「隠し事」は誰もが胸の奥に抱える普遍的な孤独や傷ですが、7つ目で「読者」という存在と結びつきます。しかし、最後は「忘れる」という言葉で締めくくられることで、読者と繋がった瞬間にその記憶すら解けて消えていく儚いパラドックスを表現しました




