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序章

帝国が滅びると、人々は言っていた。

財庫は空に近く、貴族は争い、オスマンは国境の向こうで牙を研いでいた。


私は官僚だった。

剣も取らず、機械も作らず、ただ帳簿と勅令を扱う男だ。

だからこそ、滅びがどれほど現実的な数字で迫っているかを、誰よりも理解していた。


それでも、帝国はまだ終わっていなかった。

港は動き、職人は残り、皇帝は決断できた。


地下工事の報告書に紛れていた、奇妙な記述――

青銅の筒と、歯車と、古い設計図。

これは、滅亡寸前と呼ばれた帝国が、

なぜ滅びなかったのかを記した、官僚達の回想録である。

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