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鼓動 ――約束の夏――  作者: 御厨つかさ


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約束の夏 3 弓香



 yumika――本多弓香はアイドルだ。

 アイドル名は、名前からyumika――そのままだ。

 ふわりとひろがる淡い色の髪は腰まであって、彼女の動きにつれてやわらかくゆれて光をえがく。

 淡い金は、母方からの隔世遺伝。

 珍しいことだけれど、母方の祖母にノルウェー人がいて淡い金髪はその遺伝になるらしい。本来なら、黒髪が優性遺伝だから、こうして弓香のように金髪が出るのは珍しいのだそうだ。肌も白く、ビスクドールのようだとよくいわれる日本人らしくない容姿だけれど。それに、一度も引け目を感じたことは弓香はなかった。

 黒髪黒眸に白皙の容貌をした冷徹な印象のある父は勿論、優しい母も弓香を大切にしてくれたからだ。

 家族の中で、弓香だけが金髪で白い肌――これは、父もある意味不思議なくらいに日焼けしない体質だったので、同じだった――黒瞳ではなくて、淡いブラウンでも。

 日本人はその殆どが黄色人種で黒髪に黒い瞳が当り前だから、弓香は学校でも浮いていた。けれど、いじめにあっても、何があってもつよくいられたのは、両親と姉達がいてくれたから。

 たくさんのいろんなことがあったけど、全部、乗り越えられたのは姉達と両親のおかげだ。

 そして、まだ小学生の頃にハリウッドから話がきて。

父の知り合いからの話だったから、家族にも反対されずに映画に出ることができて。そのとき、おもったのは。

 ―――アメリカでは、わたしも普通なんだわ。…

 淡い金髪なんて普通にいて。

 だから、日本から出て仕事をしないかといわれたとき、うなずいていた。

 両親に相談したら、もともとの話を紹介してくれた人がいい人だから大丈夫っていってくれて。

 日本ではアイドルとして、国境を気にせずにいまは俳優とかの活動を中心にしている。それで、忙しい日々が続くのはわるくないとおもうけど、ひとつだけ困ることがある。

 家族になかなかゆっくり会えないことだ。

 だから、帰国が楽しみだった。

 今日は、確か本家に密ねえが帰って来ているはずだ。

 それに、父ももしかしたらいるかもしれない。

 母は離れにいるだろうし、そして、そう。

「…――ゆきねえ、…テストおわったよね?」

 大好きなゆきねえは、確かテスト期間が終わっていたはず。スケジュールを入れたタブレットを拡大してみて、ゆきねえからきいたテスト期間を確認する。

「うん、終わってる!」

なら、遊んでくれるかも?それが無理でも、一緒にごはんが食べられるかもしれない。

「…ゆきねえ、あいたいな」

タブレットをしまって、飛行機の座席から外をみる。

 窓の外には下に白い雲の絨毯がひろがっていて、青空がとてもきれいだ。

 ――日本も晴れてるといいな。

そんなことを思いながら、弓香はねむくなって目をとじていた。

 日本に帰れば、会いたい人達がいる。

 ゆきねえに、密ねえに、かあさんに、…父もいるかも?

 会いたい人達にあえる素敵な夢をみて、弓香は日本への飛行機の中で眠りに。

 ビスクドールのような美少女は、すこし微笑んでねむっている。

 家族に会える時間を楽しみにして、弓香はみんなにあえる夢をみていた。



 一路、日本へと空を飛ぶ旅客機に乗り、yumika――本多弓香は、家族のもとへと。








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