表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バイオロイドサーヴァント  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/75

第49話「帰り道の約束」

帰りのバスは、行きと同じく賑やかだった。

兄弟たちはそれぞれの席でお菓子を分け合ったり、写真を見返して盛り上がったりしている。

ナイアは窓際で腕を組み、にやにやしながらその様子を眺めていたが――ふと隣の席のバイトに視線を向けた。


「で? なにが気になってるわけ?」

「……え!?」

不意打ちの問いかけに、バイトは硬直する。

「おまえさぁ、ずっと無理して笑ってただろ~。ダメだぞ~? 懸念事項は旅行前に伝えないと。」

「……すみ、ません。しかし……」

バイトは言葉を探し、少し視線を落とした。

「……この雰囲気を、壊したくなかった、です。」


ナイアは肩をすくめ、やれやれと笑う。

「そんで? 何を懸念してんだ?」

バイトは小さく息を吐き、淡々とニュース映像の記憶を語り出した。

「……あれは、まだ完成していないはずの機体です。けれど、稼働していた。つまり……」

「……ふ~む、十中八九サイトだろうな。」

ナイアの声が少し低くなる。

「サイボーグ化なんてやってた奴だ。大方AIにでもなって生き延びたんだろうさ。」


「……。」

バイトは言葉を失い、手の上で指を絡める。

「だからさ――ソイツ取っ捕まえね?」

「……は?」

バイトが思わず顔を上げる。

ナイアはケロリとした顔で続けた。

「だからさ~。『心、か……』とか言っちゃってぶっ倒れた奴に、今の幸せなバイトと兄弟たちを見せつけてやんの!」


バイトはぽかんとし、それからふっと微笑んだ。

「……それは……とっても、愉快です。」

「だろ~?」

ナイアがにやりと笑い、隣のセンドが静かに頷いた。

「だからさ。とっとと見つけて回収しようぜ。その不良品AI!」

窓の外では山道が遠ざかり、夕日がゆっくりと沈んでいく。

バスの中に流れる笑い声と、新たな決意が静かに混ざり合っていた――。


バスは街へと近づき、夕暮れの光に包まれた学園前の停留所に滑り込む。

扉が開くと、兄弟たちがわいわいと降りていく。

「次はどこ行く? 山の次は川? それとも空!?」

「空はちょっと……でも川遊びは愉快かもしれません!」

笑い声と共に荷物を抱え、広場に散っていく兄弟たち。その後ろ姿を見送りながら、ナイアは腕を組んでふっと笑った。


「……やっぱいいな、こいつら。」

「はい……。」

バイトも静かに頷く。

「んじゃあ、ぼちぼち帰るか。」


だがその後、校舎へ戻る道すがら、ナイアは小声でバイトに耳打ちした。

「で、さっきの話だけどよ。」

「……はい。」

「あのAI、徹底的に洗う。情報集めは俺とタイチでやる。レントは資金と後方支援、ハイネとナナミは兄弟たちの防衛だ。……いいか?」

「……はい。」

バイトの瞳に決意が宿る。

「俺も、逃げません。愉快なこの時間を、守ります。」


ナイアはにやりと笑い、肩を叩いた。

「よし、それでこそだ。さ、荷物片付けるぞ~! 兄弟たちが帰ったらメシ作りだ!」

「愉快な会議の時間ですね。」

「だろー?」

笑い合いながら、ナイアとバイトは校舎へと歩みを進めた。


―――


その頃――

オルドの暗い地下施設。

モニターに映る無数の異形型が、鋭い刃を鈍く光らせて並んでいる。

AI-Σはゆっくりと画面の奥から顔を現した。


《……不良品、だと?》

その声音は低く、しかしどこか愉快そうに歪む。

《人間どもはいつも、自分の理解を超えるものをそう呼ぶ……》

《面白い。ならば見せてやろう。》

冷たい光を宿したその笑みは、どこかで見た男のものにますます似ていた。

《――私がどれほど“愉快”であるかをな。》


闇の中で、またひとつ新たな異形型が目を開いた。

次なる戦いの気配が、静かに近づいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ