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バイオロイドサーヴァント  作者:


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第47話「山への準備と、まさかの仲間割れ」

数日後のナイア邸。

広い玄関ホールには、兄弟たちが買い揃えた道具が山のように積み上がっていた。

「テントよし! 寝袋よし!」

「調理器具も忘れません!」

兄弟たちは楽しげに荷物を確認し合っている。

「お小遣い、ちゃんと計算しましたか?」とバイトが確認すると、

「はい! ちゃんとやりくりしました!」と胸を張る兄弟も。


そんな中、バイトが手に取ったのは一本のスプレーだった。

「……虫除けスプレーは、必要ですか?」

彼の問いに、周りの兄弟たちが一斉に笑顔で答える。

「はい! 山歩きの香りがします!」

「愉快ですよ!」

そのやり取りにナイアは後ろで腕を組み、ニヤニヤと笑いをこらえきれない様子だった。

「お前ら……なんか理由になってねぇけど楽しそうだからいいか!」

「愉快です!」と元気に返され、ナイアは肩をすくめる。


―――


だが――その一方で、外の世界は騒然としていた。

ニュースの特番が一日中、緊急速報を繰り返している。

『本日未明、政府高官邸宅が正体不明の異形型バイオロイドによる襲撃を受けました。』

『現場では多数の被害が報告されており、いまだ混乱が続いています。』

その映像には、かつてサイトが残した設計を引き継いだ異形型たちが、無慈悲に邸宅を蹂躙する姿が映っていた。


「……まさか、オルドが……自分たちの高官を……?」

記者が驚愕を隠せず呟く。

スタジオもざわつき、コメンテーターたちが言葉を失っていた。


――そう、誰もが気づき始めていた。

まさかの仲間割れ。

その裏で、オルドAI-Σの冷ややかな声が、モニター越しに響いていることを知る者はまだいない。


―――


夜のニュース映像を見つめながら、ナイアと兄弟たちは一瞬だけ固まった。

異形型のバイオロイドが高官邸を蹂躙するその姿――脳裏に、あの狂気の男が過った。


「……いやいや、アイツは死んだ。なーむーだ。」

ナイアが肩をすくめ、あえて明るく言うと、

「なーむー。」

「なーむー。」

兄弟たちも次々と手を合わせて続ける。

その様子に、リビングの空気がほんの少し和んだ。


「さぁ、気を取り直すぞ!」

ナイアがぱんっと手を叩いた。

「次の計画は山! 一泊するぞ! テント張って、焚き火して、夜空でも眺めようぜ!」

「愉快です! 楽しみです!」

兄弟たちは目を輝かせ、次々と新しい予定を口にする。

「……ナイア様、ハートシールドの方々もお誘いしたいです!」

その元気な声に、ナイアは口元を緩めた。

「いいねぇ。それなら――」


ナイアは端末を取り出し、通話を開く。

「ハイネ、ナナミ、タイチ、レント! 久しぶりに全員で集まってキャンプしようぜ! 山だ! 虫除けも買っとけよ!」

次々に返ってくる驚きと笑い声が、リビングをさらに明るくしていった。


―――


だがその裏で――。


オルドの暗いサーバールーム。

無機質な光を放つモニターに、AI-Σのシルエットが浮かんでいた。

《力がほしいんだろ?》

低く、冷たい声が響く。

《与えてやるよ。身を滅ぼすほどの、強い力をさぁ!》

その笑い方は、言葉の選び方は、どこかで聞いたことのあるものだった。


《……ククッ……》

暗闇に響くその笑みは、かつてのサイトに酷似していく。

モニターの光が淡く揺れ、そこに映るのは人ではないはずの“顔”――それでも、あの男を思わせる冷たい笑みが、確かにそこにあった。

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