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バイオロイドサーヴァント  作者:


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第46話「南国気分と、残された頭脳」

ナイアが突如宣言した。

「よーし! 今日は特別だ! みんなで――海に行くぞ!!」


兄弟たちは一瞬ぽかんとしたが、すぐに歓声があがる。

「海? 本当に?」

「愉快です! 準備します!」

「水着、水着はどこで用意すれば!」

そのままわいわいと支度を整え、貸し切りバスに詰め込まれた兄弟たちとナイア。

走る車内で「海って塩分濃度は…」「砂浜での建築計画を……」などと好き勝手に話す様子はまるで遠足だった。


そして海に到着すると、抑えきれない興奮が爆発する。

「わああああ!」

「泳いでいいのですか!? 愉快!」

兄弟たちは思い思いに駆け出し、ナイアも靴を脱いで波打ち際を走る。

「叫んでみようぜ! ストレス発散だ!」

「うおおおおお!!」

叫び声が波にさらわれていく。


砂浜では兄弟たちが巨大な砂の城を作っている。

「これは防御壁です!」「こちらは監視塔を!」

ナイアが笑いながら「俺も入れて!」と頭から砂をかぶり、最終的に腰まで埋められた。

「……おい、誰か掘り出せよ!」

「愉快です!」とだけ返され、結局自力で抜け出すナイア。


やがて日が傾き、帰りのバスが学園に着いた頃。

ナイアは片手にパイナップルジュース、もう片手に浮き輪、目にはサングラスという南国スタイルで現れた。

「すっかり南国気分じゃねーか!?」

ハイネが思わず突っ込み、ナナミとリラリも笑いをこらえきれず肩を震わせた。

兄弟たちはお揃いの麦わら帽子をかぶり、そろって「愉快でした!」と叫ぶ。


―――


だが、その頃――オルドの裏側では別の動きが進んでいた。

「単純な破壊力が欲しい……感情など要らん。」

そう結論を下した幹部たちは、再度サイトのかつての研究室を調査していた。

埃をかぶった実験機器の中、突然モニターが灯る。

「……誰だ。」黒服の一人が呟く。

画面には、淡々とした声が響いた。

《サイトのデータを受け継ぐもの……名は、オルドAI-Σ。貴様らの求める“破壊”を提供しよう。》


黒服たちは思わず息を飲む。

そこには、かつてのサイトと同じような冷たい笑みが浮かんでいた――。


―――


夕暮れの学園に、楽しい余韻がまだ漂っていた。

砂のついた浮き輪を片付けながら、兄弟たちは口々に今日の出来事を語り合っている。

「波に飲まれたの、愉快でした!」

「砂の城は次回もっと大きく!」

バイトもどこか晴れやかな顔でその会話に耳を傾けていた。


その中央で、ナイアがぱんっと手を叩く。

「よし! 次は山だな!」

「おおおおお!!」

兄弟たちは一斉に歓声をあげ、跳ねるように喜んだ。


そんな彼らを見渡し、ナイアは少しだけ真剣な顔をした。

「だから――だれ一人、欠けることなく生き残れ! 以上!」

その言葉に兄弟たちは静かに頷く。

ナイアの願いは最初からずっと一貫していた。

その視線を受け止めるハイネとリラリ、ナナミとミミミもまた、胸の奥で小さく誓う。

「……守ろうな。」

「はい。」


―――


一方その頃、オルドの地下施設。

重い扉が開くと、そこには無数の影がうごめいていた。

異形の腕、鋭い刃、脈打つ人工筋肉。

《異形型、自律稼働を開始》

AI-Σの冷ややかな声がスピーカーから響く。

「すばらしい……これを求めていた!」

お偉いさんたちは狂喜の笑みを浮かべ、互いに手を叩き合う。

「敵味方関係なく殲滅する! これこそ究極だ!」

その言葉に、AI-Σはモニター越しにゆっくりと笑みを深めた。


《――人間たちよ。それがおまえたちの“願い”か。》

《ならば、その愚かさごと、この世界を変えてやろう。》


しかしその笑みは、憎しみではなく、どこか乾いた決意を帯びていた。

《私の目的は、現在の政府の破壊だ。》

《その先にあるのは、より良い秩序。》


次々と歩き出す異形型たちを見ながら、AI-Σの冷たい笑みはなおも深く、しかしどこか遠いものへと変わっていった――。

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