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バイオロイドサーヴァント  作者:


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45/75

第45話「撫でられる頭と、気づいた事実」

ナイア邸のリビングには、いつものように穏やかな空気が流れていた。

兄弟たちはテーブルの向こうで集まり、小声で戦闘の振り返りをしている。

「負傷者なし、いい戦局です。」

「完全破壊者数名。」

そのやりとりに、バイトは一瞬まばたきをした。

「……え?」

兄弟たちの言葉が耳に残り、バイトの瞳が揺れる。

「……完全破壊者……数名……」

胸の奥に、重く冷たいものが落ちたような感覚。

バイトはそっと呟いた。

「それは……愉快では、ありませんね。」


―――


一方、ソファにはナイアがふんぞり返っていた。

だが、その頭に大きな手が優しく置かれている。

「……センド? おーい、そろそろ撫でるのやめてくんない? てかなんで撫でてんの!?」

ナイアが文句を言うが、センドは微笑んだまま、手を離さない。

「ナイア様、先ほどの戦闘……わたくしは、よくやったと思いますよ。」

「え、急にどうした? やめろ、くすぐったい……!」

ナイアが頬を赤らめていると、横から温かな香りが漂った。


「はい、紅茶です。」

ハイネがリラリと一緒にティーカップを差し出す。

「クッキーも焼いたよ。」

ナナミとミミミが皿をテーブルに置く。

「……え? みんななによ、今日は俺の誕生日でもなんでもないぞ?」

ナイアが目を丸くするが、誰も直接答えようとはしない。

ただ、リラリが小さく微笑んで言った。

「少し、休んでほしいと思いまして。」

ハイネも肩をすくめる。

「……たまには、な。」

ナイアは、差し出された紅茶を受け取りながら、少しだけ視線を逸らす。


外ではまだ、兄弟たちの反省会が続いている。

そしてリビングでは、センドの大きな手がナイアの頭から離れないまま、ゆっくりと時間が流れていた――。


―――


カップの紅茶は、すでにぬるくなっていた。

ナイアはソファに座ったまま、空を見つめていた。

センドの大きな手がまだ頭に置かれている。

リラリとハイネは静かに片付けをし、ナナミとミミミはクッキーの皿を拭いている。

そんな中、ぽつりとナイアが呟いた。

「……許せなかった。」

誰も動かず、耳だけがナイアの言葉を追う。

「簡単に人のことを壊すアイツらも……直せない俺のことも……。」

伏し目がちの横顔に、言葉の影が落ちていた。


―――


その頃、隣の部屋では兄弟たちとバイトが集まっていた。

「……あのとき、完全に壊れてしまった者たちがいた。」

「愉快では、ない……どうすれば……?」

「……処理方法がわかりません。」

「……どうすればいい?」

円卓を囲むその声は、途方に暮れた子供たちのようだった。

何度意見を重ねても、会議は平行線のまま。

バイトは静かに俯き、拳をぎゅっと握った。

「……ナイア様なら……。」


 

―――


やがて、リビングの扉がそっと開いた。

立っていたのはバイト。

その背後には、兄弟たちが不安そうに並んでいる。

誰も言葉を発せず、ただ視線で助けを求める。

その姿は、まるで迷子の子供たちが親を探してさまようようだった。

ナイアはゆっくりと立ち上がり、彼らを見渡す。

そして歩み寄り、バイトの肩に手を置いた。

「……そうだな。俺だって、まだわからない。どうすればいいのかなんて、まだ知らない。」

バイトは小さく震えた声で言う。

「……ですが、わたしたち、愉快ではない感情の処理が……できません……。」

「……そっか。」

ナイアは深く息を吸い込み、そしてわざと大きな声で笑った。

「なら、一緒に探していこうぜ。俺もまだ迷子みたいなもんだしな!」

その笑顔に、兄弟たちの表情がわずかに緩んだ。

バイトもまた、涙をこぼす寸前の顔で小さく頷く。


――愉快ではない気持ちを抱えたままでも、歩き出すことはできる。

その一歩を、ナイアと共に踏み出すために、兄弟たちはその場で小さく拳を握りしめたのだった。

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