第42話「コレクター部隊、初陣!」
夜明け前、出撃準備を整えたナイアが兄弟たちを見渡した。
「よし、全員集合! これから俺たちはコレクター部隊として初陣だ!」
兄弟たちがざわつく。
「……コレクター?」
ナイアは笑い、親指を立てる。
「いいだろ? おまえたちはもう“集められる側”じゃない。好きなものを集める側だ!」
その言葉に、兄弟たちの瞳が静かに光った。
―――
タイチが先陣を切って、敵の拠点へと侵入する。
「電子ロック、解除……!」
緻密な操作が終わり、ステージの扉が静かに開く。
その先には……まるで予選会場を思わせる混合戦が広がっていた。
複数のバイオロイドが入り乱れ、人間たちの怒声と制御音が入り混じるカオス。
「行くぞ、ガルド!」
「了解した!」
レントがガルドを伴って突撃し、乱戦の渦へと飛び込む。
その瞬間、タイチは懐からデバイスを取り出し、会場に設置されていた配信機材へ接続。
「ジャック開始……よし、乗っ取った!」
画面が切り替わり、全世界へと映像が流れ出す。
―――
「全世界の皆さん、こんばんは~。」
ナイアの軽い声が映像越しに響く。
その手にはカメラが握られており、バイオロイドたちが暴れ、そしてお偉いさんたちが狼狽える様子をバッチリと配信していた。
「おっと? そこのお偉いさん! 笑って笑って~? はい、世界中にお届け中ですよ~!」
動揺する幹部たちを映すカメラの向こうで、兄弟たちが次々と狙撃を開始する。
「左から来るぞ!」
「了解、狙撃!」
コレクター部隊が高台から狙いを定め、一斉射撃。
次々とバイオロイドの脚部が撃ち抜かれ、動きを止める。
「いい連携だ!」ハイネが前線から声を上げる。
「ハイネ様、後ろ!」
リラリが回り込み、背後の敵を一閃。
最前線では、ハートシールドが息を合わせて進撃していた。
ナナミがミミミと並んで撃ち、タイチが後方から指示を飛ばす。
レントとガルドは盾となり、兄弟たちの狙撃ラインを守る。
そして、笑顔でカメラを回すナイアが叫んだ。
「よしよし、最高だ! 全世界に見せてやれ! これが俺たちの戦い方だってな!」
混戦の渦の中、確かな絆と新たな決意を胸に、コレクター部隊の初陣は幕を開けていた――。
―――
会場全体を支配していた混戦が、徐々に流れを変えていく。
コレクター部隊の狙撃で足を奪われたバイオロイドたちは次々と動きを止め、前線に隙が生まれた。
「今だ、押し上げるぞ!」
レントが盾を構え、ガルドとともに突破口を開く。
タイチが後方からカバーし、ユウロが軽やかに情報を送る。
その様子を、世界中がリアルタイムで目撃していた。
ナイアはカメラを担ぎ、逃げ惑うお偉いさんの顔を追いかける。
「はいはい、そこの方~。何を隠してるんですかねぇ? 代理戦争の裏側、世界の皆さーん、よーく見てくださいね!」
顔を覆う幹部たち。
カメラは逃さずクローズアップする。
「おい、あのカメラ止めろ!」
怒声が響くが、すでに世界中への配信は止まらない。
「ナイア様、右から接近!」
「了解!」
センドの声でナイアが振り返り、襲いかかる敵を回し蹴りで倒す。
「ほらな、体術もやればできる!」
「お前、戦場で楽しんでるだろ!」とハイネが笑いながら叫ぶ。
ハイネとリラリは、最前線で息を合わせ、まるで舞うように敵をかわし、制圧していく。
「……守るんじゃない。勝つために、楽しむために。」
ハイネの呟きに、リラリは頷き、鋭い一撃を放った。
後方ではナナミが次々と弾を撃ち込み、ミミミが素早く弾薬を補充する。
「ナナミ、命中率、五割を超えました!」
「へへっ、やるじゃん私!」
ナイアがカメラ越しに茶化す。
「このまま前線行っちゃう?」
「調子乗るな!」
ナナミは笑って叫んだ。
やがて敵は次々と制圧され、予選会場のような戦場は静寂を取り戻す。
バイオロイドたちは動きを止め、お偉いさんたちは捕縛され、カメラの向こうで町の人々がどよめくのが聞こえるようだった。
ナイアはカメラを肩から下ろし、笑みを浮かべて呟いた。
「……これで、世界も少しは変わるかもな。」
ハイネが隣で肩を並べる。
「……まだまだ集めるものはあるんだろ?」
「もちろんさ。」
ナイアはにやりと笑った。
「コレクター部隊は、まだ始まったばかりだ。」
その言葉に、兄弟たちが一斉に拳を掲げた。
「はい、長兄として誇らしいです。」
バイトが穏やかに告げる。
「ふふ、これも愉快ですね。」
世界に新たな光景を見せつけたその日、コレクター部隊は――確かに“集める側”としての一歩を踏み出したのだった。




