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バイオロイドサーヴァント  作者:


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36/75

第36話「兄弟との邂逅」

拠点の隅、ナイアとレントはいつになく真面目な顔で帳簿を広げていた。

「なぁ、レント。俺はいいよ? けどさ……ハイネやナナミ、タイチは一般家庭だ。いや、ハイネに至っては貧しいと言ってもいい。そっちには予算、回してやれよぉ~。」

レントは静かに目を閉じ、数秒考えてから頷いた。

「……わかった。検討しよう。」

ナイアはにっと笑い、「ありがとよ、やっぱ頼りになるなぁ」と帳簿をパタンと閉じた。


―――


そのころ、郊外の廃工場。

ハートシールドが巡回中、遠くから聞こえてくる金属音と、微かに漂うオイルの匂い。

「……あれを見て。」リラリが指さす先、瓦礫の影から現れたのは、冷たい瞳をした複数の人型機械だった。

バイトが一歩前に出る。

「……あれは……。」

どこか、自分に似ている。構造も、顔立ちも。

兄弟――そう呼ぶべき存在たち。

「バイト……?」

ハイネが問いかけると、バイトは唇を震わせた。

「彼らに……心は……ないのでしょうか?」

ハイネは言葉を失い、拳を握る。

「……わかんねぇよ。俺も……。」

迷いが胸を締めつける。


だが、そんな迷いを断ち切るように、ナイアの声が響いた。

「――新生バイト! 起動だ!」

バイトの身体から光が走る。次の瞬間、腕部のカバーがスライドし、そこから高出力の刃が展開した。

さらに脚部にも鋭いブレードが出現し、戦闘用の光沢を放つ。

「……戦闘型に……?」

リラリが目を見開く。

ナイアはにやりと笑って親指を立てた。

「戦闘型に改造しちゃった☆ センド!防御は任せた! ――バイト! いけー!」

「承知しました。」

センドが即座に前に出て、展開型シールドを張る。


バイトは刃を構え、迷いを胸に抱えたまま、兄弟と呼ぶべき機械たちに向かって駆け出した。

風を切る音、火花を散らす刃。

その胸には、確かに新たな「心」が宿り始めていた。


バイトと“兄弟たち”の戦いは苛烈だった。

兄弟機たちは人間をも攻撃できるよう改造されており、狙いを定めて突進してくる。

そのたびにセンドのシールドが火花を散らし、リラリはハイネの背を守るように動く。

ナナミとミミミも援護射撃を繰り返した。


ナイアの声が通信機から響く。

「アイツらに心臓はない! 足ねらえ、足!」

ハイネがすぐに叫ぶ。

「了解!」

タイチとユウロが狙撃ポイントから次々に脚部パーツを撃ち抜いていく。

脚を破壊され、動きを失った機体たちは、センドのシールドに弾かれて転がった。

ナイアは戦闘区域の後方でタブレットを操作しながら、にやりと笑う。

「リサイクル、リサイクル~っと。顔がサイトなこと以外は有能だしね~!」

破壊された脚部の機体を回収ドローンが次々と運んでいくのを見て、ハイネは思わず苦笑する。

「……ほんと、そういうとこだよな……。」


―――


戦闘が終わり、夕暮れの中、ハートシールドの面々はナイア邸へと帰還した。

玄関を開けた瞬間、ハイネたちは固まった。

広間いっぱいに、さっき戦場で見たあの顔が――いや、何体もの“バイト”がきちんと座っているではないか。

「……な、なんだこれ。」

ミミミがナナミの背に隠れ、リラリも一歩下がった。

その中央で、ナイアが両手を広げて宣言する。

「――全員雇っちゃった☆ えへっ!」

ハイネは額を押さえる。

「……いやいやいやいや!? どうすんだこれ……!」

「大丈夫だって! これからしっかり調整するし、バイトくんが兄弟の教育係だ!」

「……え、えぇ……?」

バイトは戸惑った声を漏らしたが、すぐに広間の“兄弟たち”を見回すと、胸の奥が少しだけ温かくなるのを感じた。

「……愉快、ですね。」

そう小さく呟いたバイトを見て、ハイネはため息をつきながらも微笑をこぼすのだった。

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