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バイオロイドサーヴァント  作者:


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22/75

第22話「囮となる覚悟」

次なる戦場に足を踏み入れたとき、ナイアチームは一瞬、緊張を緩めた。

敵チームはこれまでと違い、攻守ともに整った構成。

開戦からしばらくの間、互いの技量をぶつけ合う好試合が続いた。

タイチとユウロが後方から的確に援護し、ナナミとミミミが前衛の隙を突く。

レントとガルドは鉄壁の防御で味方を支え、ハイネとリラリは機敏な連携で敵を押し返す。


「いいぞ、このまま押し切れ!」

ナイアが声を飛ばす。

その瞬間だった。


――バンッ!


乾いた銃声が戦場に響いた。

次の瞬間、レントの肩が激しく揺れ、血飛沫が宙を舞った。

「……っ!?」

ハイネが目を見開き、ナナミが悲鳴を上げる。

「レント!!」


ガルドが即座に身を投げ出してレントをかばい、前に出ようとする敵を弾き飛ばす。

「……レント様、応急処置を!」

しかしガルドは盾となり続けるしかない。レントを置いて前へ出ることなどできなかった。


戦線は急速に崩れ始めた。

「……ありえない……!」

タイチが狙撃位置から叫ぶ。

「人間を……直接狙っただと!?」

「そんなの、ルール違反じゃ……!」

ナナミが震える。

だが敵チームの人間はまるで気づいていないように淡々と前進を続ける。

――最初から、そのつもりで指示されていたのだ。


観客席の高みで、サイトは頬杖をついて笑っていた。

「やっぱりその方が面白いよねぇ? 人間も、撃てば壊れる。」

隣のバイトが視線を落とす。

「……想定通り、前線が崩壊しました。」

「ははっ、いいねぇ。もっと見せてよ、壊れそうな顔。」


戦場に戻る。

ガルドがレントを守るために動けず、ナナミとミミミは必死に隙を埋めようとするが、押し寄せる敵の勢いを止められない。

タイチの弾丸が飛び交うが、数で押されていく。


「……このままじゃ……!」

ハイネが銃を握り直し、リラリと目を合わせた。

「リラリ、俺が前に出る。お前は俺を守れ!」

「ハイネ様!? 危険です!」

「分かってる。でも、このままじゃレントもガルドも守れない!」

リラリが一瞬だけ迷い、しかしすぐに頷いた。

「……わかりました。必ずお守りします。」


ハイネは深く息を吸い込み、前線へと飛び出す。

銃弾が土を抉り、敵のバイオロイドが刃を振り下ろす中を、わざと派手に動いて敵の視線を引きつける。

「こっちだ! 来いよ!」

その叫びに複数の敵が一斉にハイネを狙い始める。


「ハイネ様、後ろ!」

「大丈夫だ、分かってる!」

リラリが背後を守り、鋭い動きで敵の攻撃を受け止める。

ハイネは囮として戦場を駆け抜け、敵の集中を自分に向けることで、味方の前線を再構築する時間を稼ぎ始めた。


ナイアが通信越しに叫ぶ。

「……いいぞ、そのまま耐えろ! こっちも援護する!」

「了解……! でも……長くは持たない!」

ハイネが息を荒げる。

「持たせろ! 俺たちの勝利は……その先だ!」


激戦の最中、ハイネはリラリの存在を感じながら戦った。

「……俺が守るからな、リラリ!」

「……いいえ、私が守ります。だから、どうか生きてください!」


銃声と爆音が交錯する戦場で、二人の声は確かに響き合っていた――。


銃弾の雨の中、ハイネはわざと視界の開けた瓦礫の上に飛び出した。

「こっちだぁぁっ!」

その声に、敵の照準が一斉に彼へと向く。

火花が弾け、瓦礫の破片が飛び散る。

ハイネは転がるように避け、撃ち返す。


「ハイネ様、右から!」

リラリの声に即座に身を沈め、背中越しにリラリが敵機を切り裂いた。

「助かる!」

「……私は、守ると決めましたから!」


前線の敵がこちらに夢中になっている隙を、ナイアは見逃さなかった。

「今だ! ナナミ、左から回り込め!」

「了解!」

ミミミがシールドを広げ、銃撃を防ぎつつ前進する。

ナナミはその陰から飛び出し、巨大なハンマーを敵の関節に叩き込む。

「まだまだぁ!」

「ナナミさん、後ろから来ます!」

「わかってるって!」


タイチとユウロが後方から援護射撃を加え、敵の防御をさらに崩す。

「右のやつ、頭部狙え! ユウロ!」

「はい、タイチ!」

閃光弾が炸裂し、敵がひるむ。


一方で、レントはガルドに抱えられたまま、奥歯を噛みしめていた。

「……役に立たんとは……悔しいな……!」

「レント様、今はご無理をなさらず。」

ガルドは周囲を見据え、槍を構える。

「俺が……必ず護る。」


ハイネはなおも敵の注意を引きつけていた。

弾丸がかすめ、頬を裂く。視界が赤く滲む。

「……っく……!」

「ハイネ様!」

リラリの声が悲鳴のように響く。

「大丈夫だ……まだ動ける!」


そのとき、ナイアの声が全員の耳に飛び込んだ。

「前線、押し上げろ! ハイネが稼いだ時間を無駄にするな!」

「おおおっ!」

ナナミが叫び、ミミミと共に敵の前衛を突破する。

ガルドもレントを安全地帯に下ろすと、一気に突撃。

「退け、雑兵ども!」

大剣が唸り、敵を弾き飛ばす。


タイチが狙撃で敵のコアを削り、リラリがハイネを庇いながら敵の刃を払う。

「今だ、ハイネ様!」

「わかってる!」


最後にハイネがとどめの弾丸を撃ち込む。

砕けたゲームコアが爆ぜ、フィールドを震わせた。


――審判の笛が響く。

「試合終了! 勝者、ナイアチーム!」


全員がその場に崩れ落ち、息を荒げた。

「……生きて……る……」

ハイネはその場に座り込み、リラリがそっと肩を支える。

「お怪我を……」

「へへ、かすり傷だよ……ありがとう、リラリ。」

「……いえ……ハイネ様を守れて……よかった。」


ナナミが倒れ込んだミミミを抱きしめ、タイチはユウロの羽を整える。

「レント、大丈夫か?」

ナイアが駆け寄る。

「……問題ない。だが……あの一撃、忘れん。」

レントが悔しげに拳を握った。


その様子を、観客席からサイトがじっと見下ろしていた。

「……人間を前線に出しても、壊れないんだなぁ……面白い。」

口元に冷たい笑みを浮かべ、バイトに目を向ける。

「次は、もっと強いのを用意しないとね。」

「……了解しました。」


勝利の余韻に浸る暇もなく、彼らは次の戦いの影を感じていた。

ハイネはリラリの手を強く握る。

「……これからも頼むぞ。」

「はい、ハイネ様。あなたがいる限り、私は戦えます。」


再び立ち上がる彼らの瞳には、確かな決意が宿っていた――。

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