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ドクターと一緒に地獄体験します。

「と、とにかくだ、これから2人で地獄巡りをしてくる。イノリを連れて行かないと、早々に地獄そのものが崩壊するからな」

『は、はい…それは構いませんが…』

何か酷い言われような気がしないでもないですが、連れて行ってもらえるなら、安心です。


『はぁ…全住民に伝えておきます』

閻魔さんは、項垂れたまま、脱力感満載な足取りで部屋を出ていきました。


『何でこうも早く復活なされたのか…あねさんも無茶苦茶ですし…怖い人が倍になったとか、シャレになりませんがな…』ボソッ

とか、呟きながら…。


「………」

「あぁ、アレは気にするな、閻魔は少し寝不足なのだろう、ただそれだけだ」

誰のせいですか?

って、私も含まれるのか…ガーン!


「つか、ドクター?もう、私に遠慮する事なく、普段通りにしてもらえませんか?」

「それはちょっと…」

「なら、もう一度!」


カァァー!


「わ、わかったわかった!これ以上、結界の無い場所でブレスを吐くのはやめてくれ!」

「わかればよろしいです!」

「イノリ、お前、そんな性格だったっけ?」

「こういう性格になってるみたいですよ?知りませんけど…うふふ」

「自覚はなしか…」

「まだ成長中なので…」

「……そ、そうだったな」

どうやら、ドクターは諦めたようです。


私の勝ちー!!


「はぁ…ヨーコ、各施設を集めてくれ!後、サーキットと射撃場、リンチ場もだ」

『承知しました…では』


カチャッ…スタタタ!


流石はキツネ、動きは素早いです。

ミーコと、どちらが早いのでしょう。


って、サーキット?射撃場?リンチ場?

かろうじて、リンチ場だけは、地獄での《《何たるか》》は理解できましたが、サーキットと射撃場の存在理由がわかりません。


「イノリは、どの地獄を見てきたんだ?」

「えと、川とビル、放火に爆発、建築っすかね」

「あー、それな。1番人数が多いエリアだな…見てただけか?」


「いえ、川は体験しましたよ?死者とも遊びましたし」

「な、何をした?」

「えと…罵声を浴びせてきた死者を沈めたり、泳いでる死者の肩を石化させたり…ですかね?」

「………」ニヤリ

私の言葉に、ドクターは何やら良からぬ考えを思いついたようです。

しかし、あえて「どうされました?」とか聞いてみる私。


「イノリも、俺の《《娯楽》》に付き合えるかなと…」

「え?もしかして、リゾート地って、ドクターにとってって意味ですか?」

「いや、罪を償って、転生できるレベルになった奴らには、結構楽しい施設を用意している…ただし!喉元過ぎれば熱さ忘れるってやつは、自動的に、出戻りするがな…後、転生できない可哀想な奴らとか…」


ドクターの説明によると、いくら罪を償って改心しても、普通の暮らしに戻ったら、また悪い事を考え出す人がいるのだとか…だから、100年を猶予期間として、その間、魂を見定めるとの事。


次に、転生できない人達とは、遺族が、いつまでも、毎年《《魂》》が帰ってくると信じてる部類の人。


人はやがて死を迎え、次の代に転生するのが、世のことわり。

死んだ人の生前を慈しみ、毎年、その《《偉業》》を讃え、現状報告をするのが墓参り。


しかし、地獄に来るような悪い奴にも、死後、毎年、《《その人の魂が帰ってくる》》と信じている《《哀れな》》関係者、地域、宗教が存在するため、次代に転生したくてもできない、ある意味可哀想な魂が存在してしまうとの事。


何か、複雑な心境です。


ちなみに、戦争で無理矢理駆り出された人でも、人を殺していたら地獄行き。

戦争を起こした人、煽った人も地獄行き。


基準は何なんでしょう?


「武器を作る人に地獄行きは少ないが、使った人は、ほぼ地獄行きだぞ?」

とドクター。


つまり、人を殺す気で武器を開発、製作した奴らは地獄行き、それに付き合わされる人はセーフ。


戦争に無理矢理駆り出されても、相手を《《たまたま》》殺すという事は、皆無に等しく、殺さなければ殺されるからと、自身の保身ためにやったとしても罪は罪。


『少人数を殺すのは悪人だが、大量殺人をしたら英雄』

なんてのは、ただの言い訳だ!


というのが、ドクターの持論だそうです。


そんな持論に、私は思いっきり同意しました。


☆☆☆


「って考えてると、この地獄って、案外《《世知辛い》》だろ?だから、その手助けが必要なんだよ」

手助け??


「死者は死なない」

「まぁ、確かに?」

「しかし、心を入れ替えるまで、自分のやってきた事を見つめ直してもらう必要がある」

「だから、それぞれの死因にまつわる地獄を作ったと?」

「正解!」

まぁ、それが一番、本人達には《《堪える》》でしょうけど…。


以前の地獄は、書物に載っているような、針山地獄だの、血の池地獄だの、岩転がし地獄だの、石積み地獄だの、《《ただ苦痛を与えるためだけ》》の場所が多かったのだとか…。


そこで、閻魔大王に直談判し、コテンパンにノシて、実権を握り、地獄を(ドクター視点で)あるべき姿にしたのが、現在のここ。


ドクターって、案外やりたい放題ですよね?

知ってたけど!


①現代社会が気に入らないと言って、生命維持装置を作ったり

②神様に喧嘩売ったり

③その神様から『神の宝玉』を奪い取っていたり

④冒険者にもなってないのに、魔結晶を買い取りさせたり

⑤国で一番の宿のスィートルームを貸し切ったり

⑥冒険者登録して、いきなりS級冒険者にしろって言ったり

⑦三王国と、いつの間にか取り引きをしていたり

⑧龍族と一戦交えたり


こうして挙げ出すと、この地獄の魔改造を含めて、ドクターって、最初からやりたい放題だったんですよね…実は。


「でだ…戦争の話をしたついでに、射撃場に行こう」

すみません!

ついでの意味がわかりません!


案内されたのは、地球にある〇〇ドーム的な、コロシアムとは違った装いの建物。


「戦争加担者、違法銃使用、刃物を使った自殺者、殺人者は、大抵ここだ」

入ってみると、まるで《《サバゲー》》でもしているかのような、思いっきり戦争状態。


「死者は死なない」

「えぇ…それはさっき聞きました」

「死なないのであれば、地獄にならない」

「…と言いますと?」


死者に痛みを感じさせ、死の代わりに、悶絶しながら気絶する、それが死者の死。

そして、体は再生され、また始めから、同じ地獄を繰り返す。


「まぁ、百聞は一見にしかず…だ。やってみたらわかる」

「は、はぁ…」

よくわかりません!


ドーム内では、激しい銃撃戦が行われているのに、通路には音が漏れてこない。


「遮音結界が張ってあるんだ…廃棄場には、こうした便利な物があるから、魔法を使えなくても何とかなるんだよ…今は魔法、使い放題だがな…ハッハッハ!」

「………」

ヨーコさんの言っていた、《《ドクターのお気に入りの場所》》…。


ガチャッ


「さぁ、着いたぞ!射撃場だ」


入った部屋には、政治家風な人や、軍隊の偉いさん風な人が、窓のない部屋…檻のない牢屋??的な場所に、ひしめき合って座っていました。


カチャッ…ポン。


ドクターから手渡されたのは、一丁の拳銃。


ジャキン!


ドクターが手にしたのは、明らかに機関銃。


射撃って…まさか!!

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