異世界召喚された聖女(笑)ですが思い通りになると思うなよ
「なんだここ」
「おお聖女様!我らの召喚にお応えいただけるとは……。
世に満ちた瘴気によりヒトは滅亡に瀕しています。どうかお救い」
「え、断る。帰ります」
「「「えっ」」」
「ネット小説で山ほど見てきたパターンを実体験するとはねー。
まずさぁ、自分らでなんとかしようって思うのが普通じゃん。
出来ないじゃないやるんだよ。
それを何?
異世界から誘拐拉致監禁して何の益もないのに働かせようとか畜生じゃん」
「ぐぬぅ。しかし」
「しかしも何もねーよ。
あたしこの世界に何の思い入れもないし、働く必要性ぜんぜん感じない」
「それに今なら帰れる気がするんだよね。
まだあっちと繋がってるっていうか。
それが出来る力があるって気がする」
「そんな!我らはどうすればよいのですか!?」
「だから自力で考えろというに。
言っとくけど何度呼んでもおんなじ事の繰り返しになると思うよ」
「ぐうう。召喚術の使い手どもよ!そなたらの失敗ではないのか!?」
「い、いえ、確かに世界を救う乙女をと術式に記しました」
「そうです。世界が救われるのであればと良識を殺して……」
「その世界にキミらヒトが含まれてないだけで世界としては瘴気とかいうのが満ちてから次のステップに行くのが正統なんじゃね?」
「ええい黙れ!ヒトは滅びるわけにはいかぬのだ!」
「え、なんで?恐竜だって滅びたんだぞ。
人類が滅ばないなんてそんなこと誰が決めたんだっつーの。
文化が発展してるからって永遠にその世界の王でいられるわけねーじゃんウケる」
「キョウリュウとは何か知らぬが、ヒトは世を創りし神のいとし子だろう!
その我らが滅びんとする時に救いが与えられぬなど有り得ぬ!」
「神様いるって信じてんだ。純粋過ぎんか?
あのさー、神様いるならさー、そもそも瘴気とやらで滅びかけることがないでしょ。
いや有り得るか。
どうせしょうもない事に魔法とかバンバン使ったり、戦争したり、色々やって愛想つかされたとかじゃない?
こんなんなら生むんじゃなかったとか思われたんじゃね?」
「いいトシこいたおっさんが涙目なのマジキモ。
ちょっと考えたら分かるじゃん。見捨てられてることくらい。
じゃ、あたし帰るね。
多分次の聖女?呼んでも帰られると思うし、自分らでなんとかしな?
適当に別の惑星に瘴気送る術とか考えたほうがいいと思うな。
じゃあね~バイバーイ」
「いってしまわれた」
「しかしワクセイとはなんなのだろうな」
「あのような若年でなんと教養のあるお方だったのか」
「問題の先送りとなると言われていたが、瘴気を凝縮して固体化する術をきちんと研究するか」
「そうだな。滅びると言っても五百年先にはという話だったし」
「ところであそこの王どうする?」
「不運な事故起こす?次の王のほうが物分かりよさそうだし」
「イイネ!」
とってんぱらりのぷぅ。