03_聖母
陽が落ちかけた空に一つの球体が高く放り投げられる。
球はすぐに地球の重力に引かれ、放物線を描いて地面に落ち、べしゃりと破裂した。
何かが飛んできた、と即座に反応して銃を向ける者もいた。
すぐに警戒して球体の落下地点にライトを当てる者もいた。
しかし、光も、音も、爆発も、何も起きなかった。
武装集団が首をかしげながらも再度周囲の警戒を始めると、その『異変』はすぐに姿を現す。
「……ぐっ!?」
「くっ……!」
「くっっせぇぇぇーーーーっ!?なんっ……だぁっ!?」
硫黄臭と甘い匂いが混じった強烈な異臭が上空に静止しているヘリからのダウンウォッシュによって一気に周囲に拡散され、その場にいる者たちは老若男女漏れなく、鼻と口を押さえてせき込み始める。
「この臭いは……ドリアンかっ!?ゴホッゴホッ!」
武装集団の一人が悪臭の正体にたどり着くが、彼の記憶の中にある果実の臭いとは全く度合いが違っていた。中の実が一つや二つのレベルではなく、周囲がドリアンに囲まれたような逃げ場のない悪臭の渦。臭気の元を封じ込めることが出来ないため、自らの穴を塞ぐしかない。
「しまっ――!?」
そして、気づいた時には手遅れ。
武装した男の一人が片手持ちになっていたサブマシンガンを奪われその場に組み伏せられる。
「敵かっ!?くそぉっ!?」
「おいっ!無闇に撃つな!」
他の男が思わず銃を何発か撃ち、周りの村人から悲鳴が上がるが、他の男に制される。
この集団の目的が聖母の拉致というのであれば、そうぱかすかと銃は撃てない。
平常心ならもう少し冷静に対応できたかもしれない。
光や音、はたまた毒ガスの訓練なら、多少なりとも受けているかもしれない。
――が。
とある町の怪しい路地裏の露店で売られていた、暴動用に作成されたが未使用のままお蔵入りとなった『超熟特濃ドリアン果汁原料の特性ペイントボール』に面食らわない者はいないことを、勇治は確信していた。
ホテル持ち込み禁止は当然、空港で所持していると間違いなく逮捕される代物だと売人から釘を刺されていたが、こういう想定外の物はどこかで使えると大事に取っていたのであった。その後、一人で対ドリアン訓練を行っていたため、こんな悶絶臭気の中でも人一倍動けている。
他の兵がようやく異常の元を捕えて銃を向けるが、勇治はすかさず組み伏せた相手の上体を引き上げて盾代わりにする。さらにその盾の脇から通す形で、奪ったサブマシンガンの銃口を覗かせていた。
「撃てるものなら……もう遅いっ!」
武装集団の男達の注意が完全に勇治に集中したところで、新たな隙が生まれる。
今度は後ろから聖母の案内係の男が警棒を持って襲い掛かり、武装集団の一人の後頭部を強打する。その勢いで今度は他の村人たちも次々に残りの敵に背後から飛びかかり、その場で全員取り押さえることとなった。
「すごい……銃を持った相手をあんな風に……!」
「お兄ちゃん格好いいー!」
遠巻きにトビーが感嘆し、ララが歓声を上げる。
しかし、勇治はその声に反応することなく、そのまま武装集団の持ち物を淡々と引っぺがしていく。
聖母の案内係の男もかえって警戒を強めた様子で、武器を回収し終わった勇治に近づいてさらに顔をしかめながら尋ねた。
「礼は言う。だが、今の立ち回り……お前も治療目的で来たのではないな。……何者だ?」
「ただの旅行客ですよ」
「お前も、聖母が目当てなのだろう」
「そうですけど、会って話をしたいだけです。それに、まだ終わってませんよ」
勇治はこの場でこれ以上交渉しても無理だと悟っており、すたすたと聖母のいる建物の入口の扉に向かう。武装集団が乗り込んだ後にドアが閉じられているが、先程の立ち回りでは逆に好都合であった。
ドアにそっと触れてみると、きっちりと閉まっている様子で、隙間を覗いてみると中から鍵がかかっているのが確認できた。
そんなよそ者の、どこか手慣れた様子に焦りを覚えたのか、武装集団から銃を奪った村の男達が勇治の後に続いてくる。
「おい、よそ者風情が、勝手に動くな。彼女は俺たちが助ける」
「……先頭に立って弾除けになってくれるんなら、喜んで援護に回りますよ」
勇治が軽いジャブを入れると、村の男達は顔を引きつらせながら足を止めた。
素人なら仕方ない、と勇治は鼻で笑って肩をすくめて見せた。
「この家の造りは?部屋は何個あるんですか?」
「部屋は一つだ。入口が二重になっているだけで、あとは便所くらいしかない」
「裏口とかは?」
「そんなものはない」
「なら、入口は正面だけ、か」
外の兵士は四人、建物の中に入っていくのが見えたのが三人。
降下してきた兵士は計七人ということで、確認を取る。
頭上ではヘリが一機、まだ静止している。一機であれば、搭乗人員的にも伏兵の心配は薄い。
ヘリ側も、村全体を覆う鬱蒼とした木々のお陰で地上の状況が見えてないのか、次の手を打ってくる気配はまだない。無線連絡をされたら展開は悪くなるだろうが、それはひとまず置いておく。
「この村に、他に武器は?銃火器で」
「あっても猟銃くらいだよ」
「なら、相手さんも下見をしているってことですよ。降りてきた人数と装備からしても、このくらいで聖母が確保できる、と見込んでいる」
勇治はそう分析しながら、サブマシンガンの弾倉を確認し、構え直す。
他の男もその様子を見て、慌てて銃を何とかしようとしていたが、勇治に軽く制止された。
「こいつは先進国の銃です。初めての奴じゃまともに扱えない。脅しだけに使ってください」
「くそ……お前も彼女に撃ったりするなよ?」
「俺だって脅しにしか使いませんよ」
家の中に敵が三人いるとして、制圧不可能な数ではないが、聖母の安全が最優先だ。
まずは無理に入ろうとせず、中の様子を伺おうと思い、勇治はドアにゆっくりと耳をつける。
「……何も、聞こえないな」
「この家は、中の音が漏れないように内側を防音壁で覆っている。彼女と患者のやり取りに聞き耳を立てられないようにな」
勇治は、先に言ってくれ、と膝を落とす間もなく、気を取り直す。
「けど、逆に言えば、外の状況も分からないってことだ。俺たちがこうしていることも」
「ああ」
「……結局、正面突破しかないか」
再度、周囲の様子を確認。
固唾を飲んで見守っている村人と、その外側に逃げ遅れた患者たち。
安全な場所に避難させるか、相手の逃げ道を数で塞ぐか悩みどころだが、初めての地ゆえ、ここは後者を採用する。
「鍵は外から開けられるんですか?」
「合鍵は持ってはいるが……」
「もう一人、鍵開け要因がいります。突入も二人ずつですね」
「おい、まさかまた、さっきの悪臭をばらまくんじゃないんだろうな?」
「二個目はちょっと怖くて買えませんでした。なので普通に突入ですよ。度胸がいる」
「……俺が行こう。よそ者も来い。上手くいけば話くらいはさせてやる」
案内の男がどこか譲歩した様子を見せるが、目が合っていないため、これは手を借りるための方便だな、と勇治は受け取っていた。
他の男が声を掛け、周囲の人だかりの中から、中年のふっくらした女性が重い表情で連れて来られる。
「彼女はこの家の掃除係だ」
「鍵を開けたらすぐに離れてくださいよ」
「は、はい……」
「行くぞ」
中年女性が震える手でゆっくりと鍵を差し込み、一気に回す。
ガチャリという音と扉が開かれる音の差はコンマ数秒。
「動く……なっ!」
部屋の中の襲撃者に銃を突きつけるのと、相手が鍵の音で振り向くのはほぼ同時。
一気に事態は睨み合いになる。
(聖母は……!?)
隣の案内の男の声が漏らした声が答えだった。
三人の男のうち一人が、ちょうど聖母に重なるように立っていたのだ。
その男も相手の反応に気がついたらしく、口元を緩めながらゆっくりと聖母の後ろへと移動する。
「……邪魔が入ったか」
「彼女をどうするつもりだ!」
案内の男が吠えるが、その返事とばかりに銃口を向けられる。
お前らも迂闊に撃てないだろう、とばかりに。
「我々の国の指導者が、危篤状態になっている。それを救ってもらうのだよ。彼女の力で」
それを聞いて勇治は月並みな回答だ、と思い、小さく鼻を鳴らす。
遅かれ早かれ、こういう輩が出てくるだろうと考えていたからだ。
「……さて、協力して頂けますな?聖母よ」
聖母と呼ばれた女性の頭は、襲撃者の男の胸の位置にあった。
背が低いのではない。
彼女もまた、車椅子に座っていた。
この地には似合わないブロンド長髪の白い肌の女性。ゆったりとした水色のブラウスと白いロングスカートを履いており、これまた現地の服装とはかけ離れている。
何より聖母と呼ばれるには若すぎる風貌であった。
勇治の見立てでも二十代半ばくらいに感じていた。それ以上に、知っている顔ではない、というだけで、やや肩が落ちる思いであったが。
「その方が、あなた方にとって大切な人であるなら……治療いたします」
穏やかで、そして、拒絶が出来ないくらいに透き通ったような若い女性の声。
「ですが、その後はすぐにこちらに帰してください。ここには、私の治療を望む方が多くいらっしゃいますから」
聖母の後ろに回った男は口元を上げて笑い、拳銃を彼女のこめかみに突き付ける。
「それは貴方次第ですよ。その力が本物か、それとも、ただのインチキか」
男はそう言うと、ごく自然な所作で、顎を上に降った。
勇治は反射的に後ろに飛び退くが、その一瞬の差が仇となり、隣にいた案内係の男の顔に無数の小さな穴が空けられる。
消音器付きの銃のためか、気が抜けたような音は部屋の中にしか伝われない。
「……折角です、今ここで、この憐れな男を治して見せてくれませんか?」
男は挑発するように言ったが、聖母は静かに頭を横に振った。
「私が治せるのは『治りたい』という想いがある方々だけです。既に亡くなってしまった方や生を望まない方は治せません」
彼女の淡々とした答えに、男達も声が上ずっていく。
「そおですか。なら、この村の中から……」
「それには及びません。あなた方自身の体で試してみればよいことでしょう」
僅かに強くなった語気に呼応するかのように、部屋の中が笑いに包まれた。
「なるほど!思ったよりも気丈な方のようだ!『聖母』などという認識は改めないとなぁ!」
一方、ドアの入口の影に隠れた勇治は、会話の声だけを聞いて相手の品定めを済ませていた。
外の兵の実力といい、殲滅だけならおそらくできる。そう踏んではいた。
ただ、問題はその後。
「おい、ユージ!中で一体何が起こっている!?」
外の聴衆の中からトビーが声を上げ、勇治はドアから一旦離れる。
外にいた武装集団は、村の人々にタコ殴りにあった上で拘束されていた。
ヘリはまだ上空をゆっくりと回っている。
「案内の人が撃たれて殺された。聖母が一人で奴らと言い争ってるけど、人質なのには変わりないな」
「くそっ!どうやって助ければ……」
「……それよりも」
勇治はトビーの心配などよそに、村人たちに向かって目を細めて尋ねる。
「あの聖母、明らかにここの人間じゃないな。何者だ?」
「あ……」
フーポックの村人たちに強い疑念を遠慮なくぶつける勇治に対し、トビーが食いかかる。
「ユージ、今はそんな事を言っている場合じゃないだろう!」
「違う、今確認しておきたい」
フーポックの村人たちは答えに詰まっていた。
勇治が一人一人の顔を睨みつけるが、誰も彼もがすぐに目を伏せてしまう。
だろうな、と、勇治は銃の弾倉を抜いて本体を地面に投げ捨てた。
「俺も無理に危険を冒してまで、あの人を助ける義理はない。もともと関係ない人だしな」
「え……?」
「顔はどんなものか見れたし、とっとと帰って、土産話にでもするよ。短い間の夢だったってな」
突如として気の抜けた態度を取る青年に、村人は慌てて声を荒げる。
「まてっ!それは……だめだ!」
「どうして?俺は別に聖母の世話にはなってないし、どうせ連れていかれるなら、いくら話してもいいはずだろう?この村の迷惑にもならないはずだ」
やがて、何人かの村人がポツリポツリと口を開き始める。
「彼女は、たしかに、お、恩人だ……けど……」
「私の息子の怪我を治してくれた……」
「おらの母ちゃんの病気も治してくれたけど……」
どうにも煮え切らない態度に、勇治は大きく息をつく。
「なぁ、あんた達も、彼女の扱いに困ってたんじゃないか?けど、彼女が、ここに匿ってほしいとでも頼んでいた……違うか?」
それを否定する回答はなかった。あっても弱々しい、微かな声であった。
徐々に語気を強める勇治に比例して、トビーの声も苛立ちを含んでいった。
「いい加減にしろユージ!この人たちを詰めたところで……!」
「俺の質問の意図が分からないなら、すぐに逃げた方がいいですよ。トビーさん」
勇治の低い返事にトビーも思わずたじろいだ。
先程までの、見ず知らずの家族を助けるような、思いやりに溢れた好青年の顔が、完全に深い闇を含んだものに変貌していた。
「どういうことだ……?」
「正直俺も……あの人が聖母とか言われて崇められるような人には思えない」
「違うよ!お兄ちゃん!」
勇治の疑惑に真っ向から反対したのはララであった。
つい数時間前とは打って変わって、大きな声で勇治をまくしたてる。
「あのお姉ちゃんの声、凄く優しかった!怖くなんてないよ!」
「そ、そうだぞユージ。彼女の力が理解できないものってのは分かるが……」
勇治は反論しようとしたが、命の恩人を擁護しようと必死な少女の様子を見て、言葉を飲み込む。
根拠は頭の中でのみ、反芻された。
(ほんの一瞬の出来事だったけど、彼女は、案内の人が撃たれた時に『全く動揺していなかった』。そして、何より――)
――――似ている。
勇治には、その雰囲気に既視感があった。
五年前、自らの手では決着をつけることのできなかった人物。
その者は既にこの世からは消え去り、やりきれない想いだけを彼に残していった。
いくら事情を聞いても、自分自身の中でどうしても納得がいかなったからこそ、日本を離れてしまった。
「彼女は――」
ひとまずの表向きの回答を出そうとした瞬間、建物の中から銃声が外へと響き渡った。
それも複数。そして、長く続く。
中にいた男のうち二人は、サブマシンガンを装備していた。威嚇のものとは思えない。
勇治の発破で僅かに行動の意思が芽生えた者たちも、この銃声で完全に心を折られてしまった。
音が止み、足を前に踏み出そうとするトビーを勇治が手を上げて留める。
「――助けないのだな?」
不意に後方から聞こえてきたのは、第三者の声であった。
それも日本語。
この場で勇治だけがその主に反応した。
その顔には見覚えがあった。
フーポックに来る前の村で勇治を遠巻きに見ていた、東アジア人の男。
「お前がこの件から降りるのなら、我々が遠慮なく行かせてもらう」
「何だ、お前たちは……」
「お前の敵だよ。だが、お前と争っているほど暇ではない」
歳は顔の皺からして三十代後半から四十代といったところ。
髪は短く逆立てており、服の上から分かるほどに頑強な肉体が盛り上がっている。
明らかに勇治に対して敵意を持っている様子であったが、ここは見逃してやると言わんばかりの威圧的な態度。
その両隣には、現地の人間らしき、これまた明らかに目つきの違う男が二人。
固唾を飲んで見守ることしかできない人々は次々に道を開け、聖母のいる建物の前へ歩みを進めていく。
「聖母を助けるつもりか?」
「違うな。我々は元から迎えに来ただけだ。拉致などではなく、な」
男三人はそのまま建物の中へとずかずかと入って行く。
奇妙なのは、三人とも丸腰だったこと。
「あいつら……まさかっ!?」
勇治も慌てて駆け出し、家の中へと駆け込む。
今度は、銃を向けられることもなかった。
狭い部屋の中に、男が六人、立ち尽くしていたのだ。
もちろん、後から入った男三人は丸腰のまま。先の襲撃者三人は呆然としていた。
部屋の中には薬莢の残り香が充満しており、勇治の鼻を強く刺激する。
「た、弾がっ……!」
「当たらないっ……!?」
聖母は相変わらず、車椅子に座ったまま。
その周りは無数の弾痕が作り出されている。
「お前ら如きでは彼女に触れる事すら出来んよ」
「何だと……!」
「ユーリア殿ですね?迎えに上がりました」
名前を呼ばれた聖母は、どこか虚ろな目をしながら、車椅子の向きを変える。
「貴方達ですか……ペルルらをそそのかしたのは……!」
「説明は省いてよさそうですな。しかし、そそのかしたというのは語弊があります。彼らは彼ら自身の意志に沿って行動している」
「あの子らはまだ子供です!それを……」
「親は子供の夢を、応援するものでしょう」
ユーリアの顔が微かに歪む。
それが怒りなのかどうか、感情の込め方が違うのか……それは分からない。
「親殺しをさせてもですか……親は子供に手を出せないと知っていながら……」
「父親の最後は見事なものだったと聞いています。ただし、親としてよりも男としての性が強かったようですな。恋人の貴方を逃がすために」
明後日の方向から、どたり、どたり、と床を叩く音が響き渡る。
最初に襲撃してきた男三人が床に崩れ落ちた音だった。
勇治も意識が逸れていたとはいえ、途中の物音が一切なかったことに、悪寒を覚える。
「大丈夫、眠っただけですよ。薬学の方も日進月歩でして、何でも最近は、軽く嗅がせるだけで安楽死させる薬もあるようですしな……だろう?岳杉?」
男は当て付けるかのように、手を上げて後ろを振り返る。勇治も思わず身を乗り出していた。
「お前ら……あの薬品工場のことも知っているのか……?」
「あぁ、だが我々にとっても厄介だったものだ。お前が始末してくれたんだよな?」
「そして俺の名前を知っているということは、お前達は……黎明の残党かっ!?」
「残党、か。ふん」
男は小さく嘲笑する。
「黎明という組織は既に滅びた。……いや、正確には乗っ取られたんだったな。篠田浩輔という男に」
「……そうか、お前たちはそう思ってるんだな」
「違うのか?お前がここに来たのも奴の命令か?今度は一体何を企んでいるのかな?」
勇治は静かに首を降って否定する。
「……俺はあの人とは、もう何年も連絡を取っていない。ここにいるのは、たまたまだ」
「そうか、お前も袂を分かったのか?」
「なに?」
「違うのか……?どうして、奴を見逃している?何故、奴を倒そうとしない?」
「何が言いたい」
「奴こそ、『この世界の根本にはびこる悪党』ではないのかね、ということだよ。正義のヒーローくん?」