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5ページ目・おやすみエリザ

毎晩、お父様は私が眠るまでずっとそばにいてくれます。

「今日は街の様子を見れて、とても楽しかったです。少しドキリとすることもありましたが、お父様の意外な一面も見ることが出来てとても面白かったです。また連れていってくださいね?」


柔らかなベッドの上、幸福感に包まれながらお父様に言いました。お父様も「ああ」と答え、おでこにキスをしました。


私は照れくさくなって、顔を少し掛け布団へ沈めました。

その様子を見て、お父様はふっと笑い立ち上がります。就寝の時間が迫っているのです。

私は、それが少し寂しく思い、まだ話したい思いが半分、興味が半分で尋ねました。


「今日、ヨハンさんとお父様が私の『呪い』がどうとかって話していましたよね。私には何かあったんですか」


尋ねてから、私ははっとしました。お父様の顔がいつもの穏やかなものから険しいものに変わっていました。しかしそれはゆっくりと苦笑いへと変わっていきました。


「それを話すには、お前のお母さんの話が必要だな。しかし、その、なんだ。俺が言うのも恥ずかしいし、もう少しだけ、そのことは思い出したくないんだ。気になるなら、メイドのサーシャに聞け。あいつは噂には明るいだろう」


私は彼の事情を知りませんし、産まれるまでのことは全く知りませんでした。なので、きっと思い返したくないこともあるのでしょう。これ程温厚なお父様が、私に手を上げるほどの事なのですから。


「もう寝ようか」


お父様がそう言って、ロウソク台へと歩いていきます。


「ま、待って、えっとね―――」


私はもう少しお父様との会話を楽しみたかっのです。話しかけたものの、咄嗟に出たのは剣や魔法を習いたいと言う話でした。特に話題はなかったので、以前から思っていた事をここで打ち明けました。しかし魔法はともかく、剣なんて危ないものに自分がそれ程脅威を感じずにそう言ったことに驚きました。

お父様は少し困ったように顔を顰めましたが、講師を呼んでくるように約束してくれました。


エリザの体に感化されたのか、自然と「お父様、愛しています」と口から言葉が出ました。


それは間違いなく私の本心でしたが、果たして私宮原風音の本心でもあるのでしょうか?


宮原風音としての感情は、だんだんと遠のいていくような、そんな不安が頭をもたげました。


お父様は微笑むと、私の不安を包むように言いました。


「おやすみ、エリザ」

今回短いので、夜方にもう1話投稿します。というのは建前で、もう少し進めたいので連休中は一日2、3話更新します。

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