コルデリアの凍った身体を維持させる方法とやり方について
ラクトはその後ギルドハウスを後にし急いで自分のアトリエと戻る。
目的のクエストを達成はしているはずだから後はアイツらにギルドへ行って確認してもらって…俺は俺でやるべき事をやらないとだな。
……ラクトのアトリエ
ガシャン!
「す、すみません。遅くなりました。はぁはぁはぁ…」
や、やべこんなに全力疾走したのっていつぶりだったけか…モッグマッグの時もそうだっけど、やっぱり走るのは嫌いだ。
「あ、やっと帰ってきやがったか!遅いぞラクト!」
「………」
「何をしているのですか。早く彼女の所へ行ってあげてください。今とてもまずいことになってるんですよ。」
「………」
「お、おいラクト。だ、大丈夫か?さっきから反応がないというか…なんか顔色が悪いぞ。」
「………うっ!は、吐きそう。み、水をく、ください。」
バタン!
「ら、ラクト!」
「クリューダルさん!」
そのままぶっ倒れたラクトをガイウスがラクトをソファで寝かしつけアリシアは厨房へと行き急いで水をコップに入れ飲ませる。
「くっ!何で私がこの人に水を飲ませなきゃならないのですか。」
「仕方がねぇだろう。俺は水を飲ませる加減をしらねぇんだ。お前しかできねぇだろう。こう言うこと…」
「そうかもしれませんが…何か納得いきません。」
「んぐんぐんぐ…ぷは。あ、ありがとうございますってうわ!」
アリシアが膝枕をしてくれていたのか、俺が御礼を言うとすぐさまに立ち上がりそのまま地面に転がってしまう。
「いったた。あ、あれ?僕今確かひざ…」
カチャ!
「それ以上言ったらこの火種があなたを貫きますよ。」
「あ、はいすみません。」
思いっきり銃口を向けられてる。
ああ〜そうだった。
アリシアは銃口使いの錬金術師だったけか。
今まで撃ち殺されてなかったのが奇跡だな。
「はぁ〜アイツ本当男嫌いだよな。……あれ?でもそれなら何で膝枕なんか…」
カチャ!
カチャ!
「それ以上の疑問はセクハラとみなします。私の裁判形の銃口を浴びたくはないでしょうガイウス?」
「あ、ああ。そのすまん。」
「ふん!それにさっきの膝枕は緊急事態でもあったんです。さっきのこの前の幽霊船での貸し借りは無しですからね。」
いや俺命に関わるぐらいの水分不足での全力疾走だったから、貸し借りの云々問題とかされても困るんだけどな。
「は!それよか今はそんな話し後回しだ。ひとまず地下の方へ急いでくれ、ルミナとマーシャが今にも氷体になったコルデリアの氷が溶けそうになっているのを必死になって氷魔法と錬金術でどうにかしてるんだ。俺とアリシアじゃどうしようもなくてだな。」
「分かりました。……あれ?妹のセピリアは?」
「ああお嬢ちゃんなら、ちょっと用事があるからここを任せると言って、出ていったぞ。」
おいおい自分のというよりも俺の店を赤の他人の奴等に任せる奴があるか普通。
とんでもない妹だな。
「そ、そうでしたか。それならば仕方がありませんね。……セピリアがいるから大丈夫だと思っていたのに…いったい何の用事ででかけたのやら…」
「え?」
「ああいやその…何でもありません。地下に急ぎます。」
危うくアリシアに今の発言が聞かれてしまってないかの不安を抱きつつどうやら本人には聞かれてなくてホッとしながらラクトはそのままルミナ達のいる地下室へと向かう。
「俺達も行こう。何か手助けができるかもしれねぇからな。」
「待って!」
グイ!
アリシアはラクトの後を追うガイウスを服を掴んで引き留める。
「お、おいなんだよ急に…」
「ガイウスあなたに聞きたい事があるんです。」
「だから、な、なんなんだよ。」
「私に何か隠し事等していませんか?」
「は?隠し事?いったいなんの?」
「あのクリューダルさんの事です。どうにも不信感しか抱かないんですよ。そりゃあ確かに助けてもらった部分はあるのですが…何ら素性を隠しているというか…身分を曝け出さないと言うか…どうにも怪しみがあるんですよね。」
す、鋭いな。
俺が今まで気付けなかった事をコイツはこうも簡単に疑って推察ができるのか。
やっぱり天才令嬢は違うな。
「む!今私の事綺麗でお淑やかな天才令嬢だと思ったのではないのですか?」
「綺麗でお淑やかは余計だな。」
「あ!やっぱりそう思ったのですね!あなたやはり女垂らしだったのですか!」
「違えよ!ひとまずラクトの事については後回しだ。その内アイツからお前に接触があった時色々と言うだろうよ。」
「あ!ちょっと!」
ガイウスはそのまま駆け足でラクトの後を追いながら地下へと向かう。
「………ラクトですか。あなたやルミナはいったいどうしたっていうのよ。あんな男のどの部分に惹かれたというの?私にはさっぱり分からないわ。」
……… 地下室アトリエ工房
「すみません。遅くなりました!」
「ラクト君!」
「お兄ちゃん!」
「状態はどうなっていますか?」
「どうにかして氷体のまま保らせているわ。ただ…溶ける早さが尋常じゃない程に早いのよ。」
「溶ける早さが早い?…でもマーシャの魔法ならまた氷を維持し続けられる方向へ促せられるんじゃないんですか?」
「ううん。私が作る氷はその場所でのエネルギーが必要なんだ。ただ自由奔放に出せるわけじゃないよ。」
「え?じゃああの時どうして…」
「あの時はスパーク現象が起きていたから、その分から出ていたエネルギーを養分として氷魔法が使えられた。…客観的に見たら強くて凄い魔法に見えるけれど、私の魔法はあまりにも使い勝手が悪い魔法なんだ。」
確かに側から聞いたらそこまで便利と言うほどいい魔法じゃないな。
でも逆に考えるとマーシャの魔法は誰よりも狂気になるし…可能性として魔力で魔法を連発できる事が可能という事もあるわけだ。
「いや…今はそんな事よりも改善策をたてなければ…マーシャひとまず氷魔法を使うにはエネルギー補填が必要なんだよな?」
「え?う、うん。そうだね。でもその肝心なエネルギーがないから…」
「問題ない。」
ラクトは凍ったコルデリアの近くに磁電鉄鉱石を置く。
「そ、それは?」
「!?ラクト君その石もしかして、磁電鉄鉱石なんじゃ!」
「あ、ああその通りだ。」
ルミナも知っていたのかこの石について…
「その石がどうし……!?微かにだけれど、魔力みたいな…微弱な力を感じる。…何この石。」
「見かけはただの真っ黒な石だけど、この石実は電気が流れているんだ。まぁ名前からしてそのままの意味なんだけどな。」
「…じゃあこの石は」
「ああ恐らくだけど、マーシャにとってのエネルギーになるはすだ。それと俺はコレを使ってある物をつくる。」
「あるもの?」
「ああ。でもそれには1週間かかる。その間マーシャには悪いが…」
「うん。頑張る。どれだけ凍結されてもそんな一瞬には溶けないはずだから…」
「ラクト君。私はどうすればいい?何か手伝う事がある?」
「ああ勿論。ルミナにも手伝ってもらう。ただルミナは2つの役割でやってほしいんだ。」
「え?2つも?わ、私にできるかな…」
「ああお前ならできるさ。何せ将来は有望なアトリエの錬金術師になるんだからな。」
「え?何でそんな事ラクト君にわかるわけ?」
「え?…え〜と…まぁその何となくというか…そんな感じがするかな〜って思ってな。」
何となくと言って苦笑いをして誤魔化す。
少し不自然かもしれないが今はこう言って誤魔化すしかない。
「ふーん。まぁいいわ。私がそれほど超越した錬金術師だどう言う事をあなたにようやく認められたという事だものね。それならそれで悪くない響きだわ。コレからどうなるか分からないけれど、あなたにそう言われて悪い気はしないわね。」
「は、はは、そう言ってくれるとこっちも嬉しいかな。」
ひとまず煽てておくとしよう。
どの道この件が片付いたら後はルミナに任せればいいしな。
「それで私は何をしたらいいのかしら!」
「ルミナにはコレを使ってマーシャとの魔力を維持を補填してほしい。」
俺はルミナに小型扇風機マグネットを渡す。
「な、何この妙な形をしたもの…コレをどうすればいいのかしら?」
「それをあそこに置いてある磁電鉄鉱石に引っ付けてほしいんだ。」
「え?コレ引っ付くの?嘘でしょう!石にどうやったら引っ付かせる事ができるの!」
「説明は後回し…ほらささっとやったやった。」
ルミナはラクトに言われた通りにして磁電鉄鉱石にマグネット扇風機を引っ付ける。
「つ、つけたけど…何も起こらないわね。」
「そう。ただ単に引っ付かせるだけなら何も起こらない。けどそこにルミナの錬金術を流しこませれば…」
「……うわ!本当だ!なんだか冷たい風が出てきたわ!」
「よし!そこからマーシャ。マーシャはコッチの磁電鉄鉱石を触れてくれ。触れたら大体予想はできるはずだ。」
デュィーーーン!
「……!そう言うことなんだ。微弱な力が働いてるのがあったけれど…コレあらゆる力を吸収してエネルギー変換することができる。それも魔法だけじゃなく錬金術もできる。」
「ああ。マーシャはその石で氷魔法を使ってコルデリアの体を凍らせるのを維持し続けてほしい。」
「で、でもそれでも時間的にキツイと思う。」
「ああ知ってる。だからルミナにお願いしたんだ。ルミナの中には潜在能力が秘められている。それで俺が渡した道具でそのままコルデリアの凍った体を維持し続けてほしい。ずっと流す必要はない…その道具にはちょっとした温存装置がついてるからな。」
「温存装置?それっていったいなんなの?」
「物にも人にも絶対にあるもの…それはエネルギーの温存量だ。」




