受付嬢との交渉材料についての鑑定
ラウラの目の前に現れる人物。
それはラウラの顔を見れば一目瞭然と言わんばかりの呆れた顔をしながらコチラに向かって溜息てくる。
「あの〜今何時か分かっていますか?」
「は、はい。その時間的にギリギリいけるなかと思ってきたんですけど…やっぱりダメでしたか?」
「内容次第にはなりますが…今回だけ特別にします。それでラクト・クリューダルさん。この時間帯にここへ来たからにはしょうもない内容でしたら容赦しませんよ。」
「ああ、それなら大丈夫です。今日受けたクエストでの報告をしにきました。」
「え?報告をしにですか?もしかして辞退になさられるとかでしょうか?」
「ああいやそう言った事ではなくてですね。ただ単にミッションをこなしたという事です。」
俺はラウラに先程集めた磁電鉄鉱石を2つ渡す。
「この真っ黒な石はいったいなんですか?」
「コレで僕が受けたクエスト…プレデシアさん達が引き受けたクエストのクリア対象にしてほしいんですよ。鑑定すれば分かると思うのですが…コチラ物凄く希少価値が高い品物となっているはずです。」
「素人の冒険者が言うセリフではありませんね。何の根拠もない口だけの言い方だけではそうとは限らないものなんですよ。」
全くそれで私が定時に帰れられなくなるって前代未聞ですよ本当に…さっさと鑑定してコレがただの石ころだと思わせて帰らせるしかありませんね。
「………」
デュィーーーン!
ラウラは手の平を広げて磁電鉄鉱石を鑑定する。
そこから広がる光には俺とはまた違った鑑定仕方でラウラは操作を行う。
デュン!
デュン!
デュン!
「ふむ。わりかし悪くない性質をしていますね。確かにクエストに出していたその分でありましたらこのクエストはクリアするでしょう。」
「なら!」
「しかし残念ですが…」
ラウラは鑑定スキルを解き磁電鉄鉱石の上に指を軽くツンツンしながら俺に指摘する。
「残念ですが?」
「石に備わっているエネルギーとでも言えばいいんでしょうかね。その部分が欠けていてとてもではありませんが商品としては成り立ちません。」
「……お金にはならないって言う意味ですか?」
「その通りです。あなたがそもそも受けていたクエストはレアアイテムの素材回収。コレがそれに成り立つとは到底思えませんね。」
妙だな。
まだ磁電鉄鉱石の価値がそこまでこの街に広がってないのか?
大体高値で売れるのが相場だったんだが……いやそもそも欠けているという話にも少し違和感がある。
ちょっとやそっとじゃ傷つく物じゃないはずなんだが……
「……でしたらそれを使った物を作らせていただけませんか?」
「はい?」
「その石にはそれ相応の価値があります。主に錬金術師が束になっても手にいられない素材でもあるんです。なのでそれを僕が証明できる物を作ったら今言った発言を撤回していただけると幸いですね。」
そうだ。
まだ磁電鉄鉱石の価値をラウラは気付ちゃいない。
寧ろ鑑定したと言っても希少価値に値する物じゃないのを独断で決めているだけにすぎない。
他の人なら鑑定した場合いい素材だというのに気付いてくれるはずだ。
「はぁ〜全くコレだから俄か冒険者は困るのよね。」
「はい?」
「いいですか?あなたは今目の前にいる腕っぷしのある鑑定職人にこの鉱石はきっといい値で売れます。コレから先あなた達に不憫な事をさせませんというチンケな売りつけ売人が高値で売ってくれと押し寄せてくるのと同じ事を言っているのですよ。それがどう言う意味かお分かりですか?」
「いや僕は単純に証明としてあなたに立ち合い人として申しているだけで、そんな押し付けがましい事はしていませんよ。」
「……自覚なしかよ。はぁ〜全く嫌になりますね。ちょっとそこで待っていてください。」
「え?でももう定時なんじゃ?」
「………い・い・か・ら・そこで・ステイ!分かった!」
「……あ、はい。」
なんだろう。
ラウラの機嫌を損ねるような事をしたっけか?
というよりもラウラなら普通にこの鉄鉱石を見ただけでコレはきっと凄い価値のあるものになるって言ってたはずなんだけどな。
……時期が悪かったとかそこら辺あたりで間がよくなかったのか…うーーん。
先程体を震わせながら俺に待機するように言っていたラウラは何やら箱に詰めた宝箱を持ってくる。
「それはいったい?」
「いいですか?コレはあなただけに特別にお見せする物です。少なくとも私と同等に石に目がついているみたいですからね。アドバイスをあげてもいいと私の心の中のもう一人がそう言っていました。」
「は、はぁ…」
つまり良心的な思いでやってくれるとそう解釈して良さそうだな。
「いいですか?よーくこの宝箱の中身のある物に目を通してくださいね。そこで1つ1つ丁寧に説明させていただきます。」
「わ、わかりました。」
宝箱を開け中身を俺に見せてくるラウラ。
そこには光る石が…少なくとも5つありカラフルかのようにしてテカテカと光沢の様に眩しい。
「それぞれ違った色の石。コレはいったい…」
まさかとは思うがこの石って…
「赤、青、緑、黄色、紫…コレらの光る石は鉱脈石と言われる貴重な石です。」
やっぱりか…
鉱脈石…単なる色違いだけというだけと思うかもしれないが…コレにはちゃんとした意味が存在する石だ。
主に錬金術師にとっては大事になってくる。
「因みになんですが、この鉱脈石に関してはご存じですか?」
「え?ああ、いやそこまで詳しくはありませんね。」
「やっぱりそうですか。でしたらこの鉱脈石についてお話しさせていただきます。私がどうしてあなたの事を俄かな冒険者といったという意味が直ぐに分かると思いますので…」
いや大体分かるんだけどな。
「端から順に説明しますね。この赤色に光る鉱脈石は火を錬成させる事ができる石になります。まぁそんな石ぐらいなくても単純火を使う錬金術を学べばいいだけというかもしれませんが…」
いいやそう言うわけにはいかないんだよな。
火の鉱脈石がある事で錬金術や錬金魔法はその数倍に至る数値を発揮させ自分の力を何倍ものにも引き出せる事ができる。
そんなバッファー向けな石だが…そんじょそこらの店には売り出してはいない。
だからこうやって厳重に保管されているんだろうな。
「人それぞれによって術の扱い方が違うというわけでしょうか?」
「……へ〜ちゃんと理解はしているのですね。細かい部分での説明は必ずしも重要性があるわけじゃありませんしその辺に話しては省いても良さそうですか…では次にこの青色に輝く石なんですが…」
青色の鉱脈石。
コレは水を司る力を宿っている鉱脈石。
あらゆる水で困ってる物もそうだけど…それだけじゃなくて相手を足止めをしたりデバフ系として役立つ石だ。
おまけに水関連に対する錬金術も色々と豊富的に作れる事ができて…ゲームではどうやっても落ちない品物だ。
くっ!やっぱりどれを見てもレアモンスター討伐でしか手に入らないアイテム。
ほしい!ほしいが…中々手に入らない物を目にすると欲しくなってしまう衝動が…
「あの?聞いてますか私の話?」
「え?ああはいもちろんですよ。その青色の鉱脈石は水を司る石なんですよね?しかも武器とかに組み込ませるとより武器の品質が高くなって切れ味も相当とか…」
「はい?私そんな話なんてしていませんよ。そんな事ができるのですか?錬金術で組み合わせる事で武器の品質が上がる話は聞いた事がありませんね。」
やば今のは裏技でやる青色鉱脈石でのありかたでの話をしてしまった。
当然そんなのただの受付嬢の人にわかるかわけがない。
……一応という意味では今はまだただの一般受付嬢だよなこの人…
「そ、そうですかね?なんだかそういった価値がありそうだなと思っていっただけでした。」
「なんですかその子供じみた感想は……青色の鉱脈石は水を司るだけじゃなく非常措置という意味合いで使う事もできます。なのであなたがコチラに持ってきた磁電鉄鉱石みたいに価値は……いえそうでもないかもしれませんね。」
「はい?」
あ、あれ?
さっきまで否定的だったのに急に顰めっ面な顔をして何やら思う所でもあったのか?
やたらと俺が取ってきた磁電鉄鉱石をまじまじと見ている。
………あ!そうか黄色の鉱脈石は
「やはりそうでしたか…先程は失礼しました。俄かな冒険者と言った発言は撤回させていただきます。アマチュアな冒険者とそう言わせてください。」
うん明らかに俺が初心者だというレッテルだけは剥がさせてくれないらしいなコイツ。
「は、はぁ…それでどうして撤回発言を?」
「黄色の鉱脈石…コレは本来なら光を纏う物なんですが…電気を纏っています。そしてもしかしますと…」
ラウラはラクトが持ってきていた磁電鉄鉱石に向けて近づけさせる。
すると…
バチン!
バチン!
ビシャーーン!
「きゃあ!」
「うわ!」
「な、なんだ!」
ギルドハウス全体に電気の稲光が発生し他の人達を驚かせる。
「………あまり考えたくもありませんでしたが……コチラ欠けていなければ恐らく品種としては最高の物となっていましたね。」
「つまり売れる可能性があったと言う事ですか?」
「……そこまでに至るには少々情報不足ではあります。コチラ1つだけお預かりしてもよろしいですか?何人かの鑑定スキルを持った人達を集めて調査をしてみたいと思います。」
「そうですか。それならよろしくお願いします。」
ふぅひとまずはラウラが俺の持ってきた物に意味深を抱いてはいたみたいだけど、どうにか評価してくれる可能性が出てきたってわけか……後は鑑定もそうだけどラウラにはさっき言ったもう一つの証明をしなければならない。




