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ルミナとマーシャの間にいる黒い影

ルミナ達の様子を遠くから錬金術で作っていた双眼鏡で眺めていたラクト。


「……はぁ〜別の方向で仲が悪くなっていきそうな雰囲気だな。……いやでもゲームだとあんな感じで雰囲気は悪かった気がする。その後にどちらかの錬金術か魔法の優劣で仲よくなったはずだから、結果的にはあの面子での組み合わせでよかったはずだ。でも…」


コルデリアに関しては謎だ。

彼女に関してはイレギュラーだからな。

最近こういった例外が多いからやばい。

あの子が2人の仲を引き裂かない形の立場だと言いたいんだが……

マーシャの事を殺そうとしていたからな。

いくら故郷の奴の命令だからって親友を殺す真似をするか普通。

だからまだ安心はしきれない。

ここからあの3人がどう行動にでるか見極めないと。


「にしても暑すぎるな。日陰に入ってるはずなのに今にも干上がってしまいそうだぞ。変にここにずっといるよりかは動いた方がましだな。……けどアイツらの所へ行くって言うのも絶対違うわけだし……さてどうしたものか…」


[ほう〜つまりお前は今暇だというわけね。]


「げっこの聞き覚えのある声は…」


デュィーーーン!


何もない場所からまたもや空間を歪ませながらひょっこりとぬいぐるみ状態で出てくるエスカ。

本当どこにでも神出鬼没だな。


「ゲッはなくないかしら。こうやって、あの子の前では控えてるつもりなんだけど…」


「だとしたら達が悪いよな。本来あるべきやり方でルミナの事を利用しているんならそれはそれで腹が立つ。」


「ふふ、何?もしかして怒ってるのかしら?私が彼女を利用している事に…」


「いいや怒ってはいない。寧ろ利用されているルミナが悪いというは百も承知だ。そうやって意味の分からない精霊と契約して自分のアトリエの為に研鑽して冒険をしていく。そんなルミナだからできるやり方なんだと尊敬はしている。でもその正直差が仇となって騙されて安くなるんだよな。」


俺がルミナのアトリエゲームで糞と思っているのがもう一つある。

それはあまりにも真っ正直な性格だからだ。

他人を疑う事はせず、他人を信じるといった性格で危なっかしいから色々と冒険途中で妙なトラブルでデバフみたいなのが発生してルミナが弱くなったりする。

そのせいでどれだけ冒険に支障がでたか…まぁそれを仲間がカバーしてやって、ようやく地の利に追いついたって奴はあったんだけどな。


「ふ〜ん。まぁそうね。あの子の性格上あのままじゃ他にも誰かに騙されるかもしれないわね。でも小僧ハッキリ言わせてもらうけれどお前にあの子をどうにかできるとでも思っているのならそれは単なる自惚れでしないわよ。」


「そんな事当然理解しているよ。だから俺は足を引いてアイツらに任せてたんだ。そうする事で俺に頼らずちゃんとした冒険に出かける事ができるってな。」


そうだ。

まだキーストーンを集める必要性はない。

今の段階だとあの祠を攻略しないといけないんだ。

キーストーンを集める神殿攻略は今のレベルでは色々と不便。

俺が介入して助けてしまったというのが仇にはなっているが…今回この2つの事に関しては致し方ないはずだ。


「ふ〜ん。そうまでして思いやってるというのにやたらと冷たい態度をとって、距離を置いてるのは何故かしらね?」


チッぬいぐるみで表情が分からないからとっつきにくいが痛い所をついてきやがる。


「単なるお節介だよ。お前だってそういった感じじゃ無いのか?」


「はい?私が?」


「ああ、そうやって何かと外野側の意見を出してはいるが…進行によってとどまってしまった所があったら助言する。あまりにも利用している奴側を助けてしまっているんじゃないのか?」


「ふん。前にも言ったかもしれないけど…賢い坊やは嫌いよ。」


「同じ意見だな。高みの見物でコチラを客観視しているお前はもっと嫌いだけどな。」


お互い視線が合っているのかは分からないが火花を散らしながらバチバチとさせ…何故こんな展開になったのか分からずにいた。


「はぁ〜変に挑発するもんじゃないわね。それよりもあなた今暇なのよね?ちょっと手伝ってほしいんだけどね。」


「今からか?今大事な問題を解決しようとしているんだ。お願いならルミナに頼んでみたらどうだ?」


「暇そうにしているあなただからこそ言ってるのよ。まぁそんな大したお願いじゃないからお前でも普通にできるはずよ。」


「俺にでもできる?いったい何をさせようとしてんだ。」


「単純な話しよ。モッグマッグがいる場所に私の欲しいアイテムがあるのよ。それを拾ってきてほしいのよね。」


「ああ?なんでそれを俺が?そもそも俺にメリットがないだろう。」


「メリットならあるわよ。遠くから傍観者気取りしているお前に私がお前の為をもって接触をはからせようとしているんだから。」


「………だとしても、ただレアアイテムを入手してお前に渡すまでは別に構わない…だけどそれでアイツらとの接触を試みるお前の親切心はいったいなんなんだ?」


「単純な話し…あのコルデリアという奴…外側ではちゃんとした形で装ってるみたいだけど……心の片隅ではルミナを消しかけようとしているわ。」


「何?」


どう言う意味だ?何でルミナを殺そうとする。


「おっと…今の少しいい間違いだったわね。既にあの子の心の中は操られているわよ。理由は分からないけれどあの2人の関係を剥奪させようとしているみたいね。」


「……何でそんな事になっているんだ。コルデリアは操られているって事か?」


「お前もあのいけすかない魔女から話は聞いてるでしょう。」


いけすかない魔女?……ああエルゼの事か…魔女って…いやまぁ魔法使いの女だから魔女か…


「マーシャ達のいる故郷が怪しいから探りを入れるって話しだったか?」


「魔女関係という村はあまりにも歪なのよ。しかもそれがちゃんとした任務を遂行しなかった。じゃあ後に残ってる問題は?」


「コルデリアは失敗に終わった。つまり消される対象になったという事か?」


「でしょうね。あの場ではどうやってもあの魔女が死んでしまったという流れにはなってしまっているけれど…殺したかったのはあの別の奴…」


「マーシャだったな。……となれば今のコルデリアは…」


操られ人形状態ってわけか…


………ルミナ達がモッグマッグとの接触により一時魔法を見せつけられている状況


「こ、コレが魔法なのね。間近で見ると爽快感が半端ないわ。」


「コレはまだ序の口だよ。それよりもコレしきの事で事を荒立てるようじゃ錬金術師も大した事ないんだね。……あっお兄ちゃんだけ別だけども…」


「くっ!その内私だってすんごい錬金術を見せてあげるんだから。今はまだその時じゃなかったって話しでだけで…それに今の地中に潜られたら誰だって迂闊に錬金術を使えるわけないわよ。」


「そうだね。でも魔法ならそんなの関係ないんだもんね。」


「くっマウントを取ってくるなんて、そんなの卑怯よ!」


「卑怯でも何でも関係なんてないよ。そもそも魔法と錬金術に対してそういった概念なんてないよ。」


あれ?でもお兄ちゃんは規格外というか、ちょっとハイスペックというか…私達とは違う立ち位置にいる感じだったな。

アレを何で言えばいいかは分からないけれど…少なくとも錬金術魔法としては別格だったな。


「そうかもしれないけれど…ああ!だったら次は私が錬金術の本当のあり方をやってやるんだから。」


なにを頑なに意地っ張りになってるんだろう。

そんなに私の魔法に嫉妬したのかな?

だとしたら私が1番上みたいな感じだね。

それはそれで嬉しいかも。

お兄ちゃんもきっとこの子よりも私の方が凄いと認めてくれるに違いないんだ。


「…………しなきゃ。」


「うん?何か言ったコルデリア?」


「え?あ、ううん何でもない…何でも。……可能性があるなら今ここでやらないといけないわね。」


コルデリアは自ら決意を意思表示し自分が何をどうするのかを覚悟する。


「さ!次の所へ行くわよ!」


「あっ待って!というより何でそっちが率先してるの…私が行こうとしている所にあなたが先に行っちゃ意味がないでしょう。」


「あ、それもそうか。」


「ば、馬鹿なのもしかして…」


「ちょっと私は馬鹿じゃないわよ。寧ろお馬鹿さん担当はガイウスだけで十分なんだから。」


それもそれでどうなんだろう。

確かにガイウスは馬鹿であるけど、根本的にそこまで馬鹿じゃない気がする。

単純にこの子の前だとお馬鹿になるって事なのかな?


「2人ともちょっといいかしら?」


「どうしたのコルデリア?」


「私が率先してもいいかしら?2人は自分達の力を見極めてどっちが上なのか決めるのよね?それなら力は温存しておいた方がいいんじゃないの?」


「そう?それならお言葉に甘えさせてもらうけど…」


「私は別にどっちでも大丈夫よ。あ!なんなら私が前へ出て今度こそ私の錬金術を…」


「だ〜か〜ら。それなら別に後方にいても問題ないでしょう。変にせっかちにならないでほしい。」


先走るルミナをマーシャが服を引っ張って呼び止める。

よっぽど慌ただしくマーシャ達にいい格好を見せつけたかったのかルミナは率先と前へ行こうとする。


「………」


殺せ殺せ殺せ。

奴等は歪だ。

お前は失敗した。

奴等を殺してしまえば今お前の中に抱えている物は払える。

命令を遂行しろ。


「……そうだ。私は失敗したのよ。それなら失敗した報いはきちんとはらさなければならない。………そうよね()?」


僅かに綻ぶ笑顔。

果たしてその笑顔とは?

ルミナとマーシャの危機に迫る闇の手が直ぐそばに押し寄せてくる。

コレをどこまで予想しているのか…エスカは陰ながらそれを見てニヤっとするのだった。



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