魔法使い1人脱落
全くハラハラさせてくれるじゃないのよ。
本当にどうなるかと思ったわよ。
……でもコレであの子が育ってくれるのなら私としても嬉しいわね。
……って私の方が魔法に関しては下だったわね。
「さてとそれじゃあ…あの子達の事を出口で待っておいて……!?」
エルゼは何か気配を察したのか周りを見渡す。
「おいどうしたんだ?何だか顔が強張ってるぞ。大丈夫か?」
「………」
「おーい!無視すんなよ。」
ガイウスの声を聞く余裕等なかったのかエルゼは何やら深刻な顔をしながらラクト達の方へと急いで駆け寄る。
「おい!どうしたんだ!……たく!なんなんだよいったい!」
ガイウスもエルゼの様子がおかしい事に気づいたのか後を追いかける。
「お兄ちゃんお疲れ様。」
「ああ。……全く逃げろといったのに何で残ってるんだ。……でもいてくれたおかげで助かったんだもんな。その辺感謝しないといけないな。」
「そうだよ。お兄ちゃんのまだ燃え盛ってる炎…それ私の魔法で丁度微調整しているんだからむしろ感謝してくれないといけないよ。……でも何でまだ炎は燃え盛ってるの?」
「恐らくだがまだバハムートαは少しばかり満足してないんだろう。さっきよりかは全然燃える炎がマシになっている。……後ここでの熱源帯近くにこうやって生存できているのが寧ろ不思議なくらいだな。マーシャの魔法の力でどうにかコントロールしてるんだろう?」
「マーシャ……」
「あ!すまない。つい呼び捨てで言ってしまった。マルティーナの方が良かったか?」
「ううん。マーシャでいい。男の子にそうやって呼び捨てられたの初めてだからなんだか新鮮だった。」
「そうか。……ん?ガイウスは普通に呼んでなかったかお前の名前?」
「あの人とお兄ちゃんはまた別だよ。呼ばれ方に悪意を感じたねあの人は…」
本能的になんだろうかマーシャはガイウスの事が受け付けられないらしい。
……そんなゲーム要素あったけか?
「ともかくこの状態でもどうにかなりそうだし急いでここを出よう。」
「うん。出口の確保既にしてあるよ。あそこにガイウスとエルゼが…」
「いやいやそう簡単に出させるわけないでしょう。この劣等生が…」
デュイン!
「え?コレって…」
ドン!
マーシャの下に謎の魔法陣が浮かびあがり誰かがマーシャを逃がさないように声をかける。
しかしそれに気付くのが遅かったマーシャはその魔法陣の中に完全に入り込むのだが…それを阻止しようとマーシャの体を勢いよくタックルする。
「うわ!!」
ドスン!
ゴロゴロ!
「え、エルゼ!」
「全くそういう抜けた所…次回から直さないと駄目だよマーシャ。」
パチン!
ギュイーーーン!
ズドン!
ドゴン!
バン!バン!バン!
ドッカン!
「エルゼ!!!!」
マーシャを助けたエルゼは謎の魔法陣の中に代わりに入り込みその中で爆破が起こり周りが黒い煙と共にあちこち爆発が起こり始める。
「な!?おいどうなってやがんだ。え、エルゼはどうなったんだ。ま、前が見えねぇじゃねぇか。」
ブン!
ドシャーーーー!
「ら、ラクト!」
ラクトはバハムートαで黒い煙を薙ぎ払い炎の一部を消費させる。
逆にこの黒煙みたいなのが出てくれてありがたいが…状況が悪すぎる。
今のでエルゼはどうなった?
死んでしまったのか?
あの魔法陣はいったいなんなんだ?
「あれれ〜マーシャだけを殺すつもりだったのにエルゼがやられちゃったか。ううん私的には残念だけど…まぁ鬱陶しい魔法使いが消えてくれてラッキーだったかな。」
「だ、誰だ!」
「誰だと言われて姿を現す馬鹿がいると思う?」
「俺は馬鹿だから堂々と前に出てるぞ。」
「そう。じゃああなたも私の魔法の餌食になるといいわね。」
「馬鹿は馬鹿なりに魔法を曝け出す馬鹿がいるんだな。それはつまり自分の正体を現すのと一緒なんだぞ!」
「……ちょっと黙っててくれるかしらね。あなたと話してたら何だか馬鹿になりそうだわ。」
「は!馬鹿丸出しの奴が偉そうに言ってんじゃねぇよ!」
「馬鹿馬鹿うるさいわね!姿を現してないんだから私は馬鹿じゃないわよ!」
「いいや馬鹿だろう。今の状況で人を馬鹿にする余裕はお前にはないはずだぞ。」
「全くここには人を小馬鹿にする男しかいないのかしら。……それで?誰がどう馬鹿なんですって?」
「……はぁ〜一応忠告はしてやる。俺らはもうここから出るが…出口はここしかないんだぞ。それを分かっててこの神殿を爆破したのか?」
「……え?何だって?」
ゴゴゴゴゴゴ!
ズドン!
ズドン!
ズドン!
ダダダダダダ!
キュインキュイン!
神殿が爆発で崩れ落ちていく中。
モンスター達が壁を破壊しながらこの神殿を出ていく様子がみられる。
その間に俺達もここを完全に出るのを確認しながら俺は謎の声がする女に忠告した。
そして案の定その女は素っ頓狂な声でしまった!と大きな声をだしながら彼女がどうなったかは俺達は知る由もなかった。
ズーーーーーン!
「か、完全に出入口が塞がれてしまったな。」
「ああ。だけど問題なのはこの神殿の中にいたモンスター達が外へ出てしまった。それが問題だな。」
「ならクエストがもしかしたら頻繁に出される可能性があるな。」
「かもしれない。でもそこに関してはこうランク達のギルド達がやってくれるだろう。」
「いやコレは俺達の責任にもなる。だから俺達が何とかしたい。」
「……そうか。ならその件に関しては任せるよ。」
「………え?お、おい!任せるって!手伝ってくれねぇのか。」
「手伝う?何で俺が手伝わきゃならないんだ。」
「いやだって…こういった事態を招いたのって俺達のせいで……ってそれよりもエルゼはどうなちまったんだ。急いでマーシャを抱えて走ってきたが…本人はずっとこんな感じだし…色々と2人で話をしていたが…お前あまりにも冷たすぎやしないか。」
冷たいか。
まぁエルゼとはあまり深い関わりがあったというわけじゃないし。
このゲームでの主要人物でもない。
ただ単に彼女が俺達…このゲームでの冒険に関わってしまったのがいけなかったというのが1番の本音にはなるんだが……それを言った所でガイウスにはどうしようもできない。
「……そうかもしれないな。確かに冷酷な言動だったのは謝るよ。色々とエルゼにも世話にはなったからな。……ただエルゼがあそこで完全に死んだとは俺は思えないんだ。」
「!どういうこと!」
とここでマーシャがかなりの落ち込みぶりをしていたのが急に我に返ったかのようにして前のめりになって俺に近づく。
「お、落ち着けマーシャ。可能性の話をしているだけだ。……あの爆発した魔法陣。見た感じ威力はそこまでなかったんじゃないかって思われるんだ。」
「どういう意味?」
「あの場で近くにいた俺とマーシャは一緒に巻き込まれてもおかしくはなかった。……それもマーシャを吹き飛ばせる程の威力のある爆発だった場合だけどな。でもそうはならなかった。恐らくだけど、エルゼは反射的に魔法の何かを使って爆発の威力を打ち消したかはたまたそれを弱らせられた可能性がある。」
「成る程な。確かにそれなら確かにそうかもしれないな。でもそれなら1つ疑問がある。何で場での爆発だけが他の壁側にも爆発が起こったんだ?被弾したわけじゃねぇんだろ?」
「いや被弾した可能性はあるよ。魔法陣はそれを連なって爆発を引き起こす様に設定していたのかもしれない。確実ではないけれど…あの馬鹿な女がやりそうかなってそう思っただけなんだがな。」
「ふふふ、馬鹿で悪かったわね。」
デュイン!
パン!
突如聞こえてくる女の声。
どうやら先程洞窟で爆発を起こした女がこっちに魔法陣を発動させ現れようとしている。
てか生きてたんだな。
「ぷは!全く自分の爆発した魔法でこんな有様になるなんて思いもしなかったな。さてさて……私が生きていたという事で話を元に…」
タタタタ!
ばこん!
「ぐえ!」
ドスン
ゴロゴロゴロゴロ!
「おいおい。」
「あ〜あ〜」
謎の女性が姿を現したと同時にマーシャが勢いよく走ってその女の顔面を思いっきり殴る。
そして勢いよく飛んでいき地面へゴロゴロと転がる。
「いった!!!!何すんのよ!」
「何するのはコッチの台詞。何であの時私に爆発さようとしたのコルデリア。」
「え!?知りあいなのか!」
「うん。私とエルゼの事を目の敵にしてる馬鹿な奴。」
「また馬鹿って言ったわね!」
「馬鹿は馬鹿だよ。エルゼが死んでたら今の拳だけじゃ足りないよ。」
「そんなのどうかしらね。エルゼが死んでないってどうやって分かるのかしら?」
「それは俺がさっき説明した。エルゼは恐らくお前の気配を察知していたんだろう。それでマーシャが気を抜いてる最中に自分を犠牲にして身を守る様に保護魔法か何かを使って庇った。……それでも爆発する威力はそこまで高いものじゃなかったからもしかすると自分を犠牲にしてもいいかもと思ったかもしれないな。」
「ふん!だったら何でここにエルゼが現れないのさ。私の起こした爆発魔法で死んでなかったら普通ここに現れるよね?」
「さぁな。それを今から何かで説明してくるんじゃないのか?そこに光ってる何かで…」
「え?」
「え?」
「ほ、本当だいつのまにあんな所に光ってる何かがあったんだ。」
「あれに俺達は触れる事はできないしきっと魔法使い関係の人達じゃないと無理なんだろう。それなら…」
ブン!
「ぎょえええ!」
「ぐええええ!」
ズン!ズン!
ズン!ズン!
「残りのバハムートαの力でここいらのモンスターを始末すればいいだけの話だしな。」
ビュン!
ボッ!
「お!丁度バハムートαが納得してくれたみたいだ。割にあった養分で満足してくれたらしい。じゃあ俺達は戻るとしようか。」
「え?でもあの2人をあのままにしていいのか?」
「あっちはあっちの事情があるんだろう。それに俺達は俺達の役目を果たした。後は魔法使いの問題だ。コレ以上余計な事に首を突っ込みたくないね。」
そう言ってラクトはこの場から去っていく。
「お、おい待てよラクト。おいってば!」




