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ラクトのもう一つの錬金術

……昔のラクトとモルティー 錬金講座


「うーーーん。」


「どうですかモルティー先生。」


「正直な所私からみてもさっぱりわからないというのが答えかな。君のやってる今のやり方は何も無しで生み出す錬金魔法だからね。見てるとしてはただ単に無駄な力を使ってるとしかいいようがないよ。」


「そうですか。」


モルティーでも俺から知りたいと言われる幾つかの錬金方法でもやっぱり今の俺の錬金術はさすがに分からないよな。


ラクトは掌から謎の光が輝かせる事ができるというのに気付きだしそれが何なのか家庭教師であるモルティーに聞く。

しかしモルティー自身も現状それが何なのかはさっぱり分からずにいた。


「やっぱりコレは無視した方がいいんでしょうか?」


「ううん。寧ろ何かで発動できるのかもしれないね。さっきは分からないとは言っていたけれど…自分の考えてる事をそのまま具現化できる錬金術。わりかしないとまではいいきれないと思う。」


「といいますと?」


「ちょっと待っててね。」


モルティーは本棚にある一冊の本を取り出しそれを俺の方へと持ってきて見せる。


「コレなんだけど……ラク君と同じ錬金術を使える人というのはまた別になるんだけど、その仕様についてここに書かれてるいるんだよ。」


「ほ、本当だ。」


中身は大してそこまで複雑な事は書かれていない。

単純に手の平から出される光を上手くコントロールして何かを生み出す錬金術がこの本に書かれていた。

しかしその中身は俺の思ってる内容とは些か違う点がある。


「先生この本と僕が先程言った内容なんですけど…」


「うん分かってるよ。ラク君が今私に聞いてる事とこの本に書かれてる内容は若干ズレが生じてるって話しだよね?」


「はい。」


「そうだよね。この本に書かれてるのは何かに触れる事によって錬金術が発動する。確かに手には何も出されていない状態で錬金術が発動してはいるけれど…ラク君の場合手の平から物を具現化させる話をしている。この場合瓜二つではあるけれど少しズレがあるね。」


「そうなんですよ。生み出す物と再現する物…似た感じではありますがコチラ側が今求めているものとは違いますね。」


「……ただやろうと思えば一緒なんじゃないかなって私は思うかな。この先その力がラク君にとって必要不可欠な可能性だってあるんだしね。」


「やろうと思えばって……」


「試しにそうだな〜〜……さっきラク君は何か連想させてからその光から物体を生み出そうとしたんだよね?因みにどんな風に連想させてたのかな?」


「僕が考えて連想させていたのは……便利なアイテム。日常生活で役立てる物ですね。」


「ふむふむ。因みにそれはどんなのを想像したのかな?」


「ゴミを吸い取る物ですね。」


「へ〜ゴミを吸い取る物ね〜確かにやろうと思えば作り出せる品物ではあるかもしれないね。それで連想させていたのはどんななの?」


「ゴミを吸い取る。なので連想的には…穴が空いてる状態の口、そして風を生み出し、そこからゴミを溜める置き箱ですね。」


「ふむふむ。成る程成る程3つの連想したわけなんだね。ならもう一度それで試してみようか。」


「え?でもさっきそれをして駄目だったんですよ。」


「そうだね。確かに駄目だったんだと思う。でも一手間そこに何かを加えたらもしかして生み出せるかもしれないでしょう。」


「一手間工夫させるですか。……わかりました。やってみます。」


俺はモルティーに言われた通りにもう一度頭の中に掃除機を浮かばせながら1つ1つの工程差を連想させる。


デュイン

ラクトの手の平に白い光が浮かびあがる。


「くっ…」


単純にそこから何かを生み出すというのは中々に難しい。

ここにはない物…それを俺は日本の世界で使われている物をここで再現させようとしているんだから。

尚且つその構造を更に捻り出すというのは酷というものだ。

だけど……


「そうそうそうやって集中させて……ゆっくりと慌てなくていいから。……じゃあまず1つ目今考えて生み出そうとしてる中で君は何を思い浮かべる?」


そんなのさっきと変わらない。

まず始めに生み出させる物それは吸い取る穴だ。

だからそれを頭の中に浮かべて生み出させる。


ポワワン〜〜


「………」


「………くっここから一手間付け足すってどうしたら…」


「慌てない慌てない。ゆっくりゆっくりでいいから私が今君の手の上に重ねるようにしておくよ。そこから一手間付け足せばいい。……今私と君は錬金術でのパスを繋げてるような形になっている。コレはお互いの何をどのように力の流れを共有できるかが肝心になるんだよ。」


それはつまり

俺がモルティーに今思い浮かんでるのを橋渡しにするかのようにして突き出せばいいのか?


「………」


デュイン!


「………ふむふむ成る程成る程。穴を出したいんだね。それにその中には風が入って循環させている。挙げ句の果てには吸い取った奴を閉じ込める様なポケットが必要。………なるほど。となれば…こういうのを出せばいいのかな?」


「え?」


デュワーーーーン!

シュパーーーン!


手の平中で何かが弾けだし光る。

そしてその物体が俺の手の平の中に現れる。


「こ、これは……まさか本当にできたというのですか。」


形はそれそのものであり小さかった。

しかし意外にもコンパクトサイズであったため思っていたのとは違うがそれを生み出す事に成功した。


「やたらとソフトサイズなのね。コレで何かできるの?」


「いやコレだけじゃ無理ですね。それに…」


ヒューーーン!

パリーン!


「あ!砕けちゃったわね。」


そう今のが仮にできたとしてもコレはただの贋作でしかない。

似たよう物を作っても所詮は他人の力を借りてできたものだ。

何となく予想はできたいたけれど…こうも簡単に砕けてしまうと萎えるな。


「そうですね。恐らく自分の力不足というものがあるんでしょう。先生の錬金術があってこそ作れたというものですよ。」


「そ、そうかな?そ、それだと嬉しいかもね。」


頬を染めながら生徒に褒められて嬉しがるモルティー。

先生だとしてもやはりまだまだ子どもなんだな。


「しかしコレで大体わかりました。僕にはこのやり方での錬金魔法は不向きなんですねきっと…」


「え?何でそう思うの?」


「先生からちょっとして一手間を加えたらいけると言ってはいましたけれど、それは先生の力があってこそだと思うんです。だから僕個人で何かを生み出すというのは正直な所今後の未来に繋がらないかと思います。」


卑下するわけじゃないが…どうやっても無理な物は無理なんだ。

俺にはせいぜいアトリエで何かを作ってそれを周りの人を助けられる生商品を生み出す事が唯一の取り柄なんだろう。

だから別にいいんだ。

何か戦える事に役立つとかそういうのは別に今の俺にはどうでも…


「そうなのかな?私はそうは思わないけど…」


「え?」


「だって、その力って所謂万能の力に近いんじゃないのかな?私の予測が正しければその力は君にとって周りにとっては今後(・・)脅威になり得る可能性があるよ。」


「いやいや何かを生み出すには今の僕の力量じゃどうしようもできな…」


「どうして今の話をしているのかな?私は今後の未来の話しをしているんだよ。」


「………あ。」


そうか。

まだ俺の体が子どもだから上手くできないという事もあるって事なのかな。

だとするならモルティーの言う通り今後の可能性として考えられるならこの力はもしかすると…


「君にとってその力がどのように使っていくのか私にとってはいい楽しみではあるけどね。まぁその時まで私がここにいられたらの話にはなるけど。」


「いや先生はずっといそうなイメージがあるので多分何処かに行く事はないでしょう。」


「いやいやいくら私が駄目人間だとしてももしかしてという可能性だってあるもんなんだよ。」


「自分で駄目人間って言ってるじゃないですか。」


でも何となくだけど確信はできた。

他人の力を吸い取って本来自分では成し遂げられない具現化の力。

それを糧にして得られた力はきっと強大な力になる。

もちろんいずれは武器を自分で作られる日がくる可能性もある。

今はまだ小さな物やほんの些細な物でしか作る事しかできないかもしれないけれど…いずれ誰かと何かを作る日がくるかもしれないな。


………そして今に至る。


ジュワジュワジュワジュワ


「こ、コレは……か、刀か?」


メラメラと沸るその夥しい気。

見えない剣がラクトの手の中で燃え盛る。


「そう。刀は刀でも普通の刀じゃない。あらゆる物を薙ぎ払う伝説の神話で用いた様相を注ぎ込んだ剣…バハムートα。」


「ば、バハムートαだと。」


てかわざわざバハムートαじゃなくて、普通にバハムートて名付ければよかった。

何かそんな風に呼んだらカッコいいこなと思ってついギリシャ文字を付け足してしまった。

日本だと側から聞いたらただの厨二病だよなこんなの…


「くっ…ちょっと恥ずかしく思ってしまった。」


「いや何でだよ。恥ずかしいものかよ。立派な剣じゃねぇか。……剣なんだよなそれ…」


「あ、ああ一応はな。」


まぁ側からみたらただ紫色に光るだけの何かがとしか言いようがないもんな。

それを剣かどうかって判断するというのは少しばかり無理か。……でも


ズゥゥゥン!


「コレでこの第1エリアを突破できるというものだな。」


「!?お、おい!お前腕が!」


「え?……嘘だろう。」


自分の手がいつのまにか燃え盛っていたのに気付く。どうやら今持っているこのバハムートαは自身の腕を凌駕してしまう程の熱さが煮えたぎっているらしい。


「くっ!熱さは感じないが時間がないのは確かだな。早々にやるしかない。」


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