ガイウスのトラウマ・克服…悩み続ける理由とは
死亡フラグみたいな事を言ってしまったけれど…実際の所事実でしかないためそう言わざる負えなかった。
だからこのままどうにか入口近くまで何もなく戻れる事を祈る他ない。
「……」
周りにいるモンスターをひとまず悟られない様に進んではいるが……どうしても息を潜めて進むというのは慣れない。
「………」
「俺達が入った入口まで後少しだな。」
「そうですね。ただここから問題なのが…」
「ああ。」
入口前にやたらとリザードマンの数が多い。
まるで誰かを逃がさない為に配置されるかの様にして警戒されている。
「やっぱりキーストーンが目的か?」
「可能性としてはありますね。ここを出ればその心配性はないかと思いますが……何せ大量ですからね。」
「どうする?お前の試作品の奴で爆破させて気絶させるか?」
「いえその前に地面に置いた瞬間爆破してしまうでしょう。今この段階でも十分に火傷近いダメージを受けてますからね。」
俺達がこうやって我慢してここまで来ているのはマーシャの氷魔法で自分達の足元を冷やしてくれているからだ。
しかしコレは逆にかえって危険な事になる。
水蒸気爆発を起こして体が飛んでしまってもおかしくはない。
でもそんな悠長な事なんて考えている余裕がない為一か八かの賭けにでた。
「しかしなんだな。意外にも火傷みたいな感覚はあるが、そこまで熱くなってるわけじゃなくて助かったぜ。」
「ただずっとここにいるわけにもいきません。早く出る事に専念しなければ…」
「だけどよ。ここからどうすればいいんだ。迂闊に前へ出て戦闘なんてマネできやしねぇだろう。」
「いいえ。できなくないこともありません。」
そう。別に俺は戦えないわけじゃない。
単純に戦う事をリスクを避けて今までやってきたんだ。
だからこういった展開にならない様にしていたのに主人公面子達と会ってこうなるなんてな。
「すぅ〜はぁ〜作戦変更です。皆さんすみませんが囮役をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「囮役だ?何で俺達がそんな事を…まさかお前ここで裏切るつもりなんじゃ…」
「ここで僕が裏切って何の得があるんですか。違いますよ。僕がアイツらを打ち払う錬金術魔法を放つんです。」
「な…そんな事ができるのかよ。」
「一応はですけけどね。」
一回しか試した事がないから正直上手くいくか半信半疑だけど……やられるよりかはやった方が1番いいしな。
「ほぅ…良かったねエルゼ。」
「ええ。でもまだ安心はできないわ。私達が囮役になったとしてもどれぐらいの時間稼ぎが必要なのかしら?」
「5分。5分耐えてください。」
「5分だ〜!!」
グィ
グィ
グィ
ガイウスの大きな声で周りにいたリザードマン達が俺達のいる方へと視線を向ける。
「ば、馬鹿。大きな声を出さないでよ。気付かれるちゃうでしょう。」
「わ、悪い。」
ガイウスは口元を塞ぐ様にして手元を口に抑えながら謝る。
「……大丈夫みたいねまだ。でも次はそうはいかないから作戦を立てたらそれぞれ囮を決行しましょう。」
話し合いでは多いに頼りになるエルゼ。
正直な所このゲームの中では出てこなかったキャラクターで不安があったりしたのだが…
ここぞと言うときに纏めてくれるんだよな。
「ラク君。ラク君はアイツらを一掃する為の錬金魔法の完成まで5分はかかると言っていたけれど具体的にはどうするの?」
「そうですね。………いや正直確実に仕留めたいので…ガイウスさん。」
「お、おお。」
「ガイウスさんの鍛冶師としての鍛治の錬金術の力を貸してくれませんか?」
「お、俺のをか?」
「はい。僕が錬金魔法で作る物は…たった一つ薙ぎ払う得物です。」
「薙ぎ払う得物だって?」
「はい。ただ物理的に見える物じゃありません。それを具現化させるだけです。」
「具現化……それって所謂内包した力だって事?」
「察しがいいと話が進みやすくて助かりますね。……その通りです。僕の中に…主に想像する物を掌に錬金術を生み出します。そうする事で1つの具現化となる物を作り出せます。そしてそれを鍛冶師であるガイウスさんに鍛錬してもらうんです。」
「成る程。俺の錬金術の力でよりバッファーをかける事でラクトの生み出す得物が強くなるってわけだな。……だけどな。俺そういった謎の類の物を鍛えるというのはやった事がなくてな。成功できるかどうか…」
「成功できます。僕が保証しますよ。あなたはコレから…いえ今後世界一の鍛冶師としての錬金術で周りを圧倒するほど凄い人間になるんですから。」
「そ、そこまで言われちゃ、こ、断るわけにはいかねぇよな。」
そう。
コイツはとんでもない鍛冶師として世間を賑やかす存在になる。
まぁルミナとガイウスエンドっぽい奴ではあったけれど…幼馴染としてのコレからの未来という話であれば間違いはないよな。
……あれ?でも2人っていい雰囲気にはなるけれど引っ付く要素とかあったけか?
「分かったわ。いったいどんな物かできるかはひとまずあなた達に託すとして…5分あればいけるのよね?」
「すみません少し訂正させてください。5分ではなく3分で大丈夫です。」
「おいおい!3分って!そんなすぐにできる品物なのかよ。」
「ええ。僕とガイウスさんの力が合わせれば3分で十分なんですよ。」
「……お前そこまで俺の事を信頼して。」
こうでも言わなきゃガイウスは2度と俺の事を信頼しないだろう。
ならばここは意地でもお膳立てをしとかないと…
「分かったわ3分ね。私達が時間稼ぎをするけれど…できるだけ早くお願いするわね。」
3分か……正直言って私の魔法でどれぐらい持つか分からないわね。
でもそれならそれで構わないわ。
「では皆さんよろしくお願いします。」
「おう!」
「ええ!」
「分かった。」
すぐ様に行動を起こすラクト達。
まず最初に動くのは勿論。
「さ〜て注文対象を私に変えるのはもうわけがないわけだけど……」
「エルゼ分かってると思うけど、まだ副作用効果は出てないはずだよね。それならちゃんとここを出られるまでは協力するわかった?」
「ええ。勿論よ。」
こんな風に心配してくれる仲間がいるものね。
もう少しだけ頑張ろうかしら。
ブン!
エルゼはリザードマン達がいる所へ向かって杖を向ける。
「……コネクト。」
デュイーーーン!
その発動した魔法はリザードマン達が自分達だけを対象にする魔法。
それを残り2人には気配を遮断させる魔法を残させたまま自分達にターゲットとして見なされる様に魔法をかける。
しかしこの魔法にも欠点がある。
それは……
対象とされる者を絶対に殺すか相手側が気絶しない限りこの魔法の効果は消えない。
だから賭けるしかないのよあの子達に…
………
「それじゃあ始めますよガイウスさん。」
俺は掌に僅かに出す光をガイウスに向ける。
「この光は?」
「コレが僕が言っていた得物です。しかしコレはまだ未完成のままです。」
「あ?どう言う意味だ?」
「具体的な説明はできませんが、僕があのリザードマン達を排除できる得物を頭の中で想像して生み出す事ができるんです。それが今自分の掌の中浮かび上がる光…コレが僕の作り出す強力な得物なんです。」
「……そんなわけの分からない物を俺は鍛錬しなきゃならねぇのか。……言っちゃ悪いが何か分からない物に鍛治としての錬金術を施すというのはあまりにも無謀すぎるぞ。確率的にいい品物が出来ないというのが俺の率直的な感想だ。」
ああ知ってるさ。
お前はそうやって、目の前の事以外から視線を逸らす奴だよ。
それはプレイしていた俺が1番分かっている事だ。
でもなそんなお前をルミナがちゃんとお前としての存在価値を認めたんだ。
それでちゃんとした鍛治の錬金術師になった。
正直言ってコレをまださせるというのは無理がある気はするんだが……やるだけやるしかないだろう。
「すぅ〜はぁ〜ガイウスさん。あなたには目の前にない物でもちゃんと鍛えあげられる事ができる鍛冶師です。それがどんな物だったとしても…」
「いやお前…俺の何を知って…」
「知りませんよ。たかが短い付き合いながらの出会い…別に分かりたくても知りたくてもありません。僕はただ純粋にアドバイスをしているだけです。あなたにはトラウマがありますよね。」
「!?ルミナから聞いたのか?」
「ひとまず誰かから聞いたかどうかは置いておいてください。今のあなたにはトラウマがある。それを克服したくはありませんか?」
「いや俺は…」
ガイウスのトラウマは周りからの劣等感扱い。
周りに卑下されながらも鍛冶師として、親からの代々伝わる伝統を守ってきた。
そんな中…村でひっそりと鍛錬し続けていた彼はルミナと出会って色々と巻き込んで…ちゃんとしてまでは言わないがガイウスにとっては感謝してもしきれないぐらいにルミナの事が大切に…ルミナの事を信じられる存在となった。
そうすることで一緒に活動をすれば自ずと自分のなす全てを達成できるんじゃないかとギルドを一緒に立ち上げた。
でもそれは…ただの効率でしかない。
自分の為になるといえば嘘かもしれないがそれでガイウスはここまできたんだ。
ならそれを一足早く俺が覚醒させてやってもいいんじゃないかとそう思ってしまった。
いやしなければ俺達はここで死ぬ事になる。
「………まだ迷っているのですか?」
「お前には関係ねぇよ。俺は俺の都合でやってきてるんだ。あ〜だこうだと他人のお前に言われるとすげ〜腹がた…」
「……はぁ〜やめだやめだ。ここで人情ぶっても打開なんてできやしねぇ。」
「は?ら、ラクト。」
「ごちゃごちゃ五月蝿いんだよ!他人がどうのこうのと言う前にこの状況を何とかしようとそう思わないのかよ!」




