また元に戻る第1エリア・抜けられる魔法
無銘のギルドだろうがなんだろうが…俺にとってはめんどくさいモンスターには変わりない。
寧ろ相手するのはごめん被る。
「それで後1つの問題は何?」
「後1つは……僕のペンダントの効果が薄れている事です。」
「薄れてる?効果が消えかかってるって事なのか?何か理由があったりするんじゃねぇのか?」
「勿論それはあると思います。ただコレばっかりは何とも…」
「確証が得られないという事なのね。」
「いえ…確実しも確証がないと言うわけではありません。主な原因が2つあります。1つは先程仰った様に効果が消えかかっている。所謂僕の錬金術が薄かったという結果にはなりますね。そしてもう一つは……モンスターが僕のペンダントとしての効果を持つ装飾品を壊したか…」
「!?」
「!?」
「!?」
「おい待て。それはモンスターがヤバいもんだと自覚して破壊したって事なのか?それってヤバいんじゃないのか?」
「うん。モンスターに自立精神があるとは到底思えないなけど…そういった解釈になるよね。」
「でもそれだと尚更ここを出た方がいいよね。ペンダントに頼って脱出するのも大事だけど、ずっとここにいるわけにもいかないし。」
「だけどリスクがありすぎるだろう。俺達4人が僅かに強いかもしれないモンスターを相手にするというのは最早無謀になる。」
「………」
ガイウスの言う通りリスクありで脱出したして…それがかえって、誰かが大怪我をしたんじゃ意味がない。
それならちゃんとした対策をしてここから出る優先的な作戦を立てた方がいい。
「………そうですね。ガイウスさんの言う通り4人が犠牲になるよりも何かしら作戦を立てて無事に脱出する。その方が1番いいと思います。」
「でも私達はあなたの言う通りにここまできたのよ。それを今更作戦変更となると……色々とややこしい展開になるのじゃないかしら?」
「言いたい事はご尤もです。それならエルゼさん。エルゼさんは自分の愛用している武器が無くなった場合どうしますか?」
「え?唐突になによ。」
「すみません。ひとまず僕の質問に答えてくれませんか?」
「………そうね。もし私の愛用としている杖がなくなってしまったら……何かを救う為に犠牲の道を選ぶわね。」
「というと?」
「何かを犠牲にする。それが私の答えよ。それ以上の言葉を述べるか気はないわ。」
なんだ?
何故そんなに重たそうな顔をする。
何かを犠牲にしてまで救う道を選ぶ。
俺はそんな事を聞いちゃいない。
聞きたいのは道を切り開ける方法だ。
何もかも失ってまで助かる道を俺は選びたくはない。
だからそうならない様に1番話が分かってくれるエルゼに聞いてみたんだが……どうやら聞いても参考にはならなさそうだ。
「ふぅわかりました。とりあえず今の話しは聞かなかった事にしてもらって大丈夫です。……先を急ぎましょう。」
「お、おい!いいのかよ。まだ門番が何処かにいるかもしれないんだろ?」
「大丈夫です。そうならない為に僕のペンダントは追加術を含ませています。だからここでのエリアでの危険性は皆無だと思ってくれれば問題ありません。」
「そ、そうか。それならいいんだが…」
「……」
いやよくはないでしょう。
ここでのエリアでの危険性は皆無と言われてはいたけれど…肝心な第1エリアが危ないかもしれなくはないと言うお墨付きの言葉をもらってない。
それはつまり次の第1エリアでは何かしらが起こる可能性がある。
……はは、私本当にここから出られるのかな。
第2エリアをどうにかして切り抜けて先へと進むラクト達。
本当に何事もなく済んで良かったと心の中から一息つきながら安心の吐露をする。
そして、第1エリアへと戻ってきたラクト達は…
「嘘だろう。」
周りの熱源帯とされている場所を俺はほとんど把握していた。
しかし何故か配位地が変わってしまい。
自分の知ってる攻略が出来なくなっている。
「……まさかここまで展開が変わってしまってるなんて…」
「よーしここからは猪突猛進でいけるな!」
「君はそうなんでしょうね。でも私達みたいな繊細な人間はそうじゃないんだよ。」
「おいおいそれは俺が繊細な人間じゃないとでもいいたげだな。」
「そう言ってるんだよ。ばかなのかな君は…」
「おうおう!喧嘩売られたからには上等だ!表へでやがれ!」
「馬鹿だねやっぱり。ここ神殿の中じゃん。脱出しない限り表にどうやって、でるのさ…」
「ぐぬぬぬ!」
「はいはい喧嘩はそこまで。全く状況を理解しているのかしらこの子達は……ラク君。ここも問題ありそう?……ラク君?」
攻略ベース的には今の熱源帯の位置は3からの要素にはなっている。
たまたまその攻略手順になっているのか?
既に訪れてのリセット形式はまだ今の段階ではならないはず。
それがどうしてこんな直ぐに熱源帯の場所が変わったんだ。
「………」
「ラク君!」
「!?す、すみません。少し考え事をしていました。」
「大丈夫なの?もうここを抜ければ後は大丈夫なのよ。ここに来て何か不穏な事でもあるの?」
「……そうですね。後の問題点とすればモンスターの出現と後は熱源帯の位置ですね。そこにさえ気を付ければ問題はないのですが…」
「なら簡単じゃねぇか。俺が率先して熱源帯の場所を確かめればいいだけの話だろう。ほら俺熱には敏感なわけだし。」
「それだけなら問題はないのですが…恐らく今回の熱源帯の配位地は…」
そう言ってラクトは落ちていた石ころを拾って遠くへ投げる。
そして投げた場所の石ころは…
シューーー!
じょおおお!
プシュ!
「………やはりそうなりますか。」
「ひえええ!!と、溶けちまったぞ!熱くなるだけじゃなくて溶けちまった!」
「まるでマグマね。」
そう。
この熱源帯はただ火傷するだけの熱さじゃない。
人が触れれば必ずその肉体は溶けてなくなってしまう。
ヤバい所……それが一気に熱を増したとなればそうやすみやすみに動けるわけじゃない。
「ねぇ?それだったら私の氷魔法でここ一帯を冷たくすればいいんじゃないの?多少暑さを還元できるのならガイウスでもどうにかして通れるんじゃないかな?」
「……そうですね。ガイウスさんだけならの話しはなりますがそれは可能だと思います。しかし…」
「しかし?」
「ずっとここにいるのはまず不可能だと思った方がいいでしょうね。」
ズンズン!
シューーー
ドスン!ドスン!
シューーー
「な、なんだアイツら。アレがケンタ―とゴルテスか。何か見た目の雰囲気がガラッと変わってやがるんだが…」
「変異異食でしょうね。ここのエリアでずっといたせいか…熱で体を覆った結果あの姿になったんだと思います。ギルドランクは高位ランク上級者でしか太刀打ちできないレベルですね。」
「マジかよ!そんな奴等が何でここに!いやそんな変食する話し聞いちゃいねぇぞ。」
俺だって同じだっての。
何でそんな変異異食したモンスターがこんなところにいるのか逆に聞かせてほしいっつうの。
「それなら変に刺激しちゃだめよね。」
「そうなりますね。なので皆さん一塊になってここを一気に出ます。多少の火傷は我慢してください。」
「私に任せて、ある程度の火傷なら治癒魔法も習ってるから大丈夫だよ。」
「お、おう。なら安心だな。」
「なに?私だと何か不満でもあるわけ?」
「いやお前に任せてしまうほど俺は弱いんだなって自覚しただけだよ。」
「それが不満だって言う意味でしょうが!」
「あなた達状況を理解しなさいって言ってるでしょう全く。」
「すみません魔法使いの2人に言うのもあれなんですけど、気配を悟られないように存在を打ち消す魔法とかってありますか?ほんの数分程度いいんですが…」
「え、それは…」
「ああ〜私あるわよ。私ならここにいるみんなを気配を悟られないようにできる魔法を付与できるわ。」
「ちょっと!エルゼ何を勝手に…」
「大丈夫よ。私にだって役に立てられるというところを見せてあげないとね。」
「で、でも!」
「はいはい。あなたが1番格好つけたいのはわかるけれど、今のあなたにそんな力はないでしょう。」
「うっ…その通りだけど…」
そう。
まだマーシャはそういった魔法は覚えていない。
気配を消す魔法はルミナがいないと習得はできない形になっている。
だから今の段階で使えるわけがないのだ。
それで横取りでもさせられるのが嫌だったのか…マーシャは頑なに気配を消す魔法を使わせさせないような態度をとる。
「エルゼさんには気配遮断魔法がおありだったんですね。」
「まぁね。けどその話しは後後、ほらさっさっと集まって集まって!」
エルゼはそそくさに全員が囲むような形をとる様に指示をだす。
それに従いながら全員輪になって組む。
「………」
「どうかしたのですかマルティーナさん?何か浮かない顔をしていますが。」
「え!?ううん何でもない。何でもない……何でもないよ。」
とても何でもないような発言には聞こえない。
何かあるのか?
マーシャがこんな頑なに誤魔化す態度何かあるのは間違いない。
取り返しがつかないようしっかりと周りを確認する必要があるな。
「そーれ!インビジブルスケール。」
ヒュイン!
エルゼが俺達にかける気配遮断魔法。
コレにより周りからのモンスター達からの気配を察知されにくくなる。
もしエルゼの魔法遮断レベルがかなり高かったら問題なく進めるのだが……果たして上手くいくかどうか。
「声は大丈夫よ出してくれて、でも大声だすのは禁止。そこで出してしまえば対象とみなされて場所が把握されてしまうから。」
「分かりました。……では皆さん僕の後についてきてください。絶対にここから脱出します。」




