新しく編み出した日本特製オリジナル錬金術の錬金石
アトリエゲーム 知識
ウサギのモンスターラビリテリア
スライムのモンスターボルテリアライム。
クマのモンスターマーベベアー。
ウルフのモンスターバンバルウルフェン。
まともに浴びてしまったバンバルウルフェンは攻撃をやむなく中断し激しいクシャミと涙を流す。
「今です!モルティー先生。」
「よくやった!我が弟子よ!」
キュイーン!
ドサ!
バチバチ!
モルティーの周りにいたバンバルウルフェンを一気に一掃しそのままコッチに駆けつけてバンバルウルフェンの腹に向かって自身の武器である長い杖を刺し錬金魔法で電撃を流しダウンさせる。
「全く私の弟子に手を出そうなんてなんてやつなんだ。コレにこりたらもうこの平原に足を運ばない事だな。」
す、すげ〜単に頭の逝かれた先生じゃなかったんだな。
一瞬にして自分の周りを囲んでいたバンバルウルフェンを一掃してしまうなんて…
とてもじゃないが今の俺の錬金術また錬金魔法では到底できない事だな。
「にしてもやるじゃないかラク君。まさかバンバルウルフェンを足止めさせるなんて、やっぱり君は素晴らしい錬金術師だよ。」
「なら試験みたいなのは無しにしてくれても…」
「うんそれはダメだね。」
屈託のない真顔で普通に断られた。
何でなんだよ。
今危険な目に遭ったじゃないか。
普通にそのまま試験の流れって、やっぱりサイコパスな先生なんじゃないかモルティーって…
そう心の中で呟きながら馬の方へとトボトボしながら戻っていくラクト。
「………」
だけど本当に妙だ。
バンバルウルフェンの群れがまさかここにまで降りてきているなんて…
バンバルウルフェンがいるのは草原とかではなく山の麓にしか存続できないものかとばかり思っていたんだけど…
どうやら一足早く私も実行に移さなければならないみたいだね。
ヒョコ!
その様子を傍で元の形に戻っていたボルテリアライムがラクトの事を気にかけているのか口元?に手を当ててもどかしそうにしながら後をついていこうかどうか悩んでいる姿をこの時のラクトとモルティーは気付きもしないのであった。
「ふ〜ん。まぁ最初上々って所かな。」
スッ!
更にその様子を木の上で見ていた謎の影。
手に持っていま石の光が消えるのと同時にそれを握り潰しそのまま姿をふっと消しその場から消える。
そのまま馬に乗って草原大地を走り出すラクトとモルティー。
まだ目的の場所には程遠く夕陽が暮れてきた為ひとまず野営をする事となり2人はキャンプを張って一晩すごす事になった。
「野営をするんですか!」
「うんそうだよ。このまま村までいける事もできるけど、何せその先には森があるからね。そのまま森へ入る事はできないんだ。」
「え?どうしてですか?」
「その先の森の中にはバットトトマットというコウモリがいるんだ。そいつは惑わす力を持っているからね。下手をすれば森の夜営虫に襲われてしまう。そうなれば人間はミイラ化とかして虫に食われてお終いとなるわけさ。」
ああ確かにいたな。
そんな厄介なモンスター。
でも確か耳栓をすれば問題なかった気がする。
後は光系の魔法もしくは目眩しの錬金石でカバーできた気がするけど…
流石に馬と子どもを連れてそのまま森の中へ入るわけにはいかないよな。
「モルティー先生だけなら森へ入る事はできるんですか?」
「え?それはそうだよ。」
そう言いながらモルティーはテキパキと野営の準備のテントを2つ立てる。
俺はその間にたまたまモルティーの鞄の中にあった錬金で料理する道具があった為それを用意して食材もかねて準備をする。
「あれ?」
「どうかしたのかい?」
「いえあの…今晩食べる食材は?」
「ああそれならあそこにあるよ。」
「あそこにあるよ?」
そう言って目線の先には先程危ないと言った森の方を見ており俺は更なる嫌な予感をした。
「………ま、まさか。」
「そのまさかだよ。そう!日が暮れるギリギリまでに森の中から食材を集めればいいんだよ!」
「馬鹿ですかあなたは!」
あまりにも無計画なのか何とも急ぎな事を言われ馬鹿な発想をしたモルティーをおいて急いで森の中へと走っていくラクト。
そして森の中へと入りラクトは何とかして森の食材を鑑定しながら探しまわる。
「よ、良かった〜家でたまたまあった森の食べ物に関する知識本を読んでおいて、おかげで食べられそうなものを回収できたぞ。」
それにゲームでの知識もどうにかして役立ててこんなの食べれた記憶あったなとかも何となく覚えていた。
「やば!もうすぐ夜になるじゃないか早いとこ抜け出さないと………ん?待てよ。」
というかどうしてモルティーは森の中で現地調達なマネをしたんだ。
まだガキの俺には到底不向きな事なのに、何でそんな事を……
「いやあんなサイコパスな人間の事を考えたって仕方がない。とにかく急いでここから…」
ガサガサ…
そう言った矢先に森の茂みから何か潜んでいる者がいるのなガサゴソと物音をたてながら何か出てきそう雰囲気を漂わせてくる。
いやいやまだ暗くなる直前だぞ。
頼むから夜関係のモンスターは出てくれるなよな。
そう心の中で願いつつ先程バンバルウルフェンに攻撃したペッパー爆弾の錬金石を手に持ちながら構えを取る。
そして…
ガサガサ!
ヒョコ!
茂みの中から出てきたのは…
「キュピー!」
「は?」
スライムのモンスターボルテリアライムだった。
「いやお前さっきバンバルウルフェンに噛みつかれて原型すら無くしたスライムじゃないのか?」
何でこんな事を覚えているかというと俺はあの時指先が触れるか否かという状態でボルテリアライムの鑑定ができていたのだ。
なので遭ったモンスターの特徴をどうにかして見極められる事ができる。
一応ちゃんとした鑑定ができればという話ではあるが…
「お前何でここにきたんだ。というかあんなだけの距離でもうここまで追いついてきたのか。」
「キュイー!」
「……スライムってそう泣くんだっけか?何か普通の小動物みたいな鳴き声だな。」
「キュイキュイ!」
何を言ってるのか分からなかった俺はとりあえずそのボルテリアライムを置いてここを去る。
「おお!どうやら何とか間に合ったみたいだね。よしよしさすがは我が弟子だ。」
「な、何を偉そうに、こんな子どもを使って、食材を取りにいかせるなんて、正気の沙汰じゃありませんよ。」
コチラは完全に息を切らせて帰ってきたのにも関わらず本人はなんともまぁ申し開きもなさそうな平気な顔でお帰りと言われ俺は素をだしかけになりかけていた。
「まぁまぁそう怒らないで、ほら言ったでしょう。コレは錬金を兼ねての試験だって、だからラクトくんには色々と経験を積み重ねなくちゃいけないと思ってね。」
「自分は普通にアトリエで平穏に錬金をするのがいいんです!誰も外に出てまで錬金としての腕を磨きたいとかそんな事言ってません。」
「同じ事だよ。アトリエに篭っていたとしても自分がお眼鏡に叶う素材がなければアトリエなんてできない。そもそも君は自分1人で錬金してるみたいな言い方をしているけれど、その素材元はどうするつもりなんだい?」
「え?普通に依頼をかけてお金を出して持ってきてもらうつもりですけど?」
「ぐぬぬ、最近のちびっ子はどうも錬金販売に頼りすぎている。コレが若者の時代か…」
あなたも十分に若いのでは?
「それはそうとラクト君。さっきから気になってはいたんだけど、その子どうしたの?」
「え?その子?」
指を刺された場所へ視線を向け下を見下ろす。
するとそこにいたのは…
「キュイ!」
「………なんでさっきのボルテリアライムがここに?てかついてきたのか…」
「キュイ!キュイイ!キュイ!」
そうだ!と言わんばかりの鳴き声なのかボルテリアライムは自分の身体の形状を変えながらうんうんと頷いていく。
「やっぱりその子君に興味があったんだね。良かったじゃないか新しい友達ができて、まだ1人も友達いないんだろ?ならコレを気にまずはモンスターと友達になっていけばいいさ。」
この人、人の心を抉る趣味でもあるのか…
前世ならぬ現世の俺に酷い追い討ちを…
くっ!コレだからワンパクな頭を持つ女性は嫌気がさす。
「そうですね。そんな事を言うモルティー先生よりもこのボルテリアライムと仲良く友達になった方がいいかもしれませんね。」
「ガーン!ご、ごめんよ!別にそう言う意味で言ったわけじゃないんだ。お願いだ私とも仲良くしておくれよ〜」
情緒がわかりやすすぎるぞモルティー。
子どもの年齢なのにさっきまでの大人対応はなんだったんだ。
「キュイ!」
「それにしてもやたらと人懐っこいスライムだな。何でこんなに人を怯えないのだろう。」
「うんそれは私も思ったね。きっと君にしかない魅力をその子は見つけたんじゃないかな。例えばあの時バンバルウルフェンで君の勇姿を見ていた時とか…」
「アレは単に自分の作った錬金術でオリジナルのペッパー爆弾を浴びさせただけですよ。特に魅入る要素なんて何もなかったですよ。」
「ふふ、そういうがね。そのボルテリアライムが君を慕っているのを見るとそれだけでも十分な素材だも私はそう思っているよ。」
「そうでしょうか……」
俺の鞄に興味を抱いているのかボルテリアライムは何やらコソコソと弄り出す。
あまりベチャベチャにしないでくれよな。
「そうそう君に聞きたいことがあったんだ。さっき言っていたペッパー爆弾アレは所謂胡椒の事を言ってるんだよね?」
「はいそうですね。」
「けど単なる胡椒爆弾にしてはあまりにもの粉末量が多すぎる。君いったいどんな錬金構成をしたらあんな胡椒爆弾できるんだ?」
「オリジナルなんで、特にそう言った構成はありませんよ。単に練度を上げたというだけです。」
「練度?でも君のレベルでの練度では…」
「そうですね。僕の練度ではたかがしれていますしそんな頻度の錬金なんてできません。なので日常的な物を僕はその練度を上げていたんです。」