抜き打ちテスト それぞれの信頼の証
何よ。どう言う意味よ。私がここを攻略できないって?
自分の素性を偽ってるから?
いやいやそんなの関係ないし。
というより…エルゼよりも私の方が優れているんだからコレぐらい直ぐに分かるんだから。
「……」
恐らくエルゼは気付いてるだろう。
俺がどうやってここを渡ったか。
エルゼ達は俺がいないとここを攻略できないみたいな事を言っていたが…そんな事はない。
単純に謎を解く鍵さえ分かれば誰だっていける。
まぁその辺に関してはダイヤモンドにあるわけなんだが……俺が渡った際にエルゼも恐らく。
ラク君は飛んでいく際にダイヤモンドにタッチしていった。
普通だったら火傷以上の大怪我をする事になるわけだけど…そうはならなかった。
そもそもダイヤモンドは熱に弱い。
この場所での熱源変化であるならばダイヤモンドの場所だけ弱くなる可能性があったかもしれないけれど…そうじゃない。
となればあの時ラク君がやった行動は…
「やれやれ、ギミック系ならば私にでも解く事ができそうね。難解な問題じゃないというのは大助かりだわ。」
そう言ってエルゼは前へと進み。
先程とは違った場所。
ラクトが飛んだ場所とは違う場所に飛んでいきトントンと飛んでいく。
そして何の変哲もなくラクトのいる所へ辿り着く。
「う、嘘だろう。」
「ぐぬぬ。」
「はい到着っと…」
「よく分かりましたね。」
「寧ろ頭の固い人だと分かりにくいかもしれないわね。……でもあなたも相当意地悪よね。ダイヤモンドが熱に弱いというのは勿論知ってての事よね?」
「勿論ですよ。」
「ふ〜ん。知ってて尚私達を試すみたいな発言をしたわけか……あの2人にここのギミックが解けるのかしらね。」
「さぁ〜それはあの2人次第でしょうね。でもガイウスさんの頭でならここは難なくと乗り越えられると思いますよ。」
「まぁそれは信頼かしら?」
「いえただの直感です。」
そもそもここを攻略したのってガイウス本人だし。
「ぐぬぬ。だーー!わかんねぇ!何であの女はああも簡単に飛んで飛んで渡っていたんだ。熱を感じないのか本当に。」
「ううん。そんな事はないはずだよ。ちゃんと熱源帯に触れていたのは間違いない。エルゼはそこをどうにか工夫して突破した。」
見た感じ魔法だとは思うけど…ただの魔法だけでそう容易く飛んでいけるのは無理。
宙を浮かぶ魔法でも上から出ている湯気で顔面に浴びるはずだから高く飛んではいない。
じゃあ残る手段となると…
攻略面としては他のエリアと比べてここが唯一鬼門ではあった。
地面が全て熱いせいで歩いていく事ができない。
ならどうすればいいか?
……答えはとても簡単錬金術を使えばいい。
まぁエルゼの場合は魔法をどうにか使って熱を感じさせない力を利用したとは思うけど……ゲームに出て来ないキャラクタを色々と頭の中で考えるのは面倒だ。
敵ではないしな。
「……地面が熱い。やっぱり俺の靴でもどうすることもできないか……地面が熱い。おお!なら地面を水か何かで冷ませばいいじゃないか。」
「その水は何処から持ってくるの?」
「………そうだな。何処から持ってこようか。」
「はぁ〜適当に答えるんじゃなくて、ちゃんと頭を使ってどうにかしないと。少なくともあの2人はそうしている。」
「だな。……となれば付け焼き刃だ。そーれ!」
「え!ちょっと!」
ガイウスは突然前へズカズカと走っていき。
ダイヤモンドから発生さている熱源帯をモロ喰らう事なく駆け抜けていく。
「え!え!嘘でしょう!どういう事なの!」
「……本当にどう言う理屈で熱を感じてないのあれ?」
「……はは、ははは。」
まぁそもそもガイウスがこのエリアを打破したのは全てのダイヤモンドを砕いたからというのが1番の理屈になる。
そしてガイウスには火の耐性スキルが備わっている為特別な熱に関しては小ダメージになる。
でもそれをしなくてもここのエリアは3つぐらい突破できる構造となっている。
つまり錬金術とまぁガイウスだけにはなるわけだが…火の耐性スキル。
そして後1つなわけなんだが…
「は、はは!どうだ見たか!男はやっぱり痩せ我慢だったな!なぁラクト!」
「はいそうですね。」
ここは適当に相槌をして促す。
「さてと残りは…」
「ええ。あの子1人になったわけだけど…でも本人も分かってるはずよ。どうすればいいかどうか…」
そう。
マーシャは分かってる。
でもそれをどうするかどうかは自分が力を他人に見せなければならない。
俺達と同じようにしてここを突破するというのは難しい。
まぁコレはマーシャがルミナの事を信頼して懐いていた時の限定による話しなるわけなんだが…
大丈夫。大丈夫。
3人に先に行かれたからって、焦る必要性はない。
私は1番の魔法使い。
あのエルゼよりも優れているんだから。
ジュ〜
「うっやっぱり熱い。……ここを通るには自身の魔法を使う他ないわけだけど……どうしたものかってなるんだけど…」
こんな所でうだうだと考えてる余裕はない。
自分の為でもある。
条件を出されて少し焦ってしまったけれど…要するに私の実力を見たいって事なんだよね。
それなら隠さないでやってやる。
あのお兄ちゃんを信じるっていった手前心の何処かで信じられない自分がいる。
それなら…
「今の私でここを攻略するのは不可。それなら…」
マーシャの立っている場所に魔法陣が浮かび上がる。
そこから浮かび出てくる白い霧。
そして発せられる魔法の言葉。
「凍れ!アイスクルーシング!」
地面に目一杯広がる氷の地面。
マーシャは自分の力を包み隠ず発揮させ。
自身の力を証明させる。
「はぁはぁはぁ。こ、コレでどう。」
「あらあらよくやったわねマーシャ。」
「おお!やるじゃねぇかちびっ子!」
完全に熱源帯の部分が発するダイヤモンドの場所を凍り付かせるマーシャ。
「………」
やっぱり鋭い奴だな。
何処をどう言う風にするべきなのをちゃんと理解している。
ただ単に地面全体に氷を張り付かせるだけじゃなく。
要領よく熱源帯が発っせいしているダイヤモンドの一部分に氷の魔法を使う。
一見全体に向かって魔法を発せられている状況に見えるかもしれないが…それはゲームと同じで…そういったモーションを見せつけられているだけにすぎない。
彼女はちゃんとその辺を分かっての魔法を放っている。
「ふぅ…水魔法じゃなくてよかった。俺はそれで選択ミスをして水蒸気爆発を起こしてしまったからな。ここでのマーシャは賢い子で良かった本当に…」
俄かに信じられない部分があったから不安があったりはしたけれど…うん本当に良かった。
「マルティーナさん。さすがですね。よく自分の魔法を打ち明けてくれました。」
「……お兄ちゃんは知っていたんだね。私が氷の魔法が使えるって…」
「知っていたというよりなんだか曖昧な表現をしていましたよね?それでもしかして僕に秘密をしている?と言う風に思ったんですよ。」
「え…あんな分かりにくい言い方でそんな風に疑われていたって事?…お兄ちゃんって結構疑り深い性格してるの?」
「うう〜ん。言い方に難ありですね。別にそう言った形でマルティーナさんを疑ってはいません。ただここから先もし僕の事を信頼して任してくれるなら…お互いイーブンの関係にしとかなきゃいけないなってそう思ったんですよ。神殿に入る前は信じると言われたばかりなのにこういった変な試しみたいな事をして申し訳ありません。」
「……何だかお兄ちゃんって変わってるね。私お兄ちゃんの事好きになっちゃってきたかも。」
「おお!それって、もしかして愛の告白かな。」
「エルゼは黙ってて、鬱陶しい。」
「あらら〜あまり生意気な事を言うと私とんでもなくキレちゃいそうかもね。」
「ふ〜んだ。私にはお兄ちゃんがいるもんね〜べーーだ!ってあだだだ!」
エルゼはマーシャの顔を鷲掴みにしながら生意気な顔をへし折る。
「お、おお…何と言うか女の熾烈な戦いってやつか。」
「そ、そうかもしれませんね。」
そんなわけないけどな。
「さてここからはあなたの指示通りに動く形でいいのよね?」
「そうですね。今回は皆さんを試すような形をして申し訳ありません。次から僕が最終奥深までそのままやりますので。」
「いやいやさすがにそこまで任せるわけにはいかねぇよ。俺達も頼ってくれよ。何せ目的は一緒なんだからな。」
まぁ主にルミナの差金の人に頼る気なんて毛頭ないわけだけどな。
「そうだよ。もうさっきの事は気にしてないから大丈夫だよ。」
「別に私達はなにもかもあなたにやらせるなんて思ってないわ。あなたの知識を貸してほしいとそう言ってるだけなのよ。」
と言ってはいるが…この2人にも対して期待などしていない。
俺は一刻も早くこの場所から抜け出してこいつらと関わりたくないだけなんだ。
俺が関わる事で何かしら変わってしまうというのはもう逆らえないのは目に見えている。
だからここではもう仕方がないという形で今後こいつらとの接点を控えるというのが今の俺の考えだ。
後俺のアトリエに住み着いてるあの主人公をどうにかして排除せねば。
「いえ。ここからは本当に僕だけでどうにかなります。なので残りのエリアは何も心配は必要ありません。そのまま信じてついてきてくれれば大丈夫です。」
「………」
「………」
「………」
3人は何でこんなに自信満々に残りのエリアを攻略できる発言ができるのかとという疑問を抱きながらラクトの後をついていく。
エリアを全て自分1人で攻略するですって?
いや確かに私の方から依頼した部分はあったけれど…そんな1人で全てを突破する事なんてできないはずよ。
ましてや未知なモンスターだっていたりする可能性だってあるわけなのに…この自信はいったい何処からきているのかしら。




