呪縛霊のいる船長室
セピリアとアリシアをそのまま元の場所へと戻らせて俺達はこの船の原因について突き止める必要がありそのまま捜索を始める。
「さてとお二人には帰っていただきましたが、ここからどのような捜査を行うという話になりますね。法則性というのが分かりつつも危険が伴う事は変わりません。」
「だな。でももう大体分かっている事なわけだし、ここからはより一層奥深くへ潜るのが1番だと俺は思う。」
「あ!それは私も賛成かも!幽霊船は幽霊船でももしかしたらお宝が眠ってるかもしれないもんね。」
「そんなわけないじゃないのよ。全くポンコツすぎるのも大概にしてほしいわね。」
「……ひとまず先へ進みましょうか。危険が伴うというのは分かりつつもこの法則性に従えば恐らく目的の場所へは辿り着けるでしょう。そこでこの船を動かすのと存在についての証明も明らかになるのかもしれませんしね。」
「だといいのだけれど…」
俺達はそのまま法則性に従ってこの船の矛盾な仕組みを潜り抜けていき目的地かもと思う場所へ辿り着く。
「……ここが船長室でいいのだろうか?」
「そうですね。見た感じそんな風に見えるかもしれません。しかし開ける際は気をつけてください。もしかしたら何かとんでもない事が起こるかも…」
ガチャ!
あ!?
しかしそんな心配をする暇もなくルミナが船長室の扉を開けて中へ入っていき俺達は驚愕しルミナに待て待てと差し押さえる。
「ちょっとあなた何考えてるのよ!いきなり扉を開けて何か起こったらどうする気なの!」
「ムググ!ぷはあ!そ、そんな事ないわよ!ほら、アレ!アレ見て!」
あれを見てと言われてルミナが指す方向へ視線を向ける。そこには船長室と思われる机と椅子。
それに色々な家具が置かれており船長室っぽさみたいなのがまんま揃えられていた。
「特にこれといって何かがあるわけじゃありませんね。杞憂だったのでしょうか?」
「いやでも独特な何かを感じるぞ。マナか何かか?」
錬金術特有のマナ察知スキル。
錬金術を使わない者からしたらあまり気にはしないんだが、こういった禍々しい何かを感じるというのは主にマナか何かが噴出している事になる。
でもここまで露骨にアピールされるマナは初めてみるな。
「尋常ない程のマナの漏れね。普通のマナを扱ってる人間じゃなくてもひしひしと伝わるレベルよ。」
「およ?何かあるみたいね。コレはいったい…」
「ちょっとちょっと!本当に空気が読めない子ね!そこは普通警戒するのが流れでしょうに…」
しかしルミナは無警戒なまま机へと近づき広げられた地図を確認する。
「この地図いったいなんだろう?」
「バッテンの印がつけられてるな。もしかするとこの場所に宝があるとかそんな感じか?」
「昔の船長さんが残した秘宝…それが記された地図…そしてこの幽霊船…間違いなく罠としか言いようがありませんね。」
「!?」
みんなが宝の地図っぽい何かに夢中になっているのに俺も覗き込む。
みんなが言う通りコレは宝の地図だ。
でもこの宝の地図は財宝とか隠されている地図ではなくルミナの主人公の武器…この先必須とされている場所の地図が記されている物だ。
何でここにコレが?…大体こんな場所にこんなものが置いてあるのはおかしい…誰かの意図でここに置かれていた?それとも単なる偶然?…もしくは俺がルミナ達と関わった事で最強武器の地図の場所が移動されたとかか?
「………」
「あ!この地図をもらっていけばもしかするとこの幽霊船をどうにかして解決できる方法がわかるんじゃないかしら。」
「本当気楽な頭でいいわね。もしそうだとしたらこんな未練がましい地図がこんなところに置いてあるわけないじゃないのよ。」
「ぶすーー!!」
そう言われて頬を膨らませるルミナ。
この地図にそういった意味合いがあるわけじゃないんだが……ひとまず勝手に話を進ませるとしよう。
「ではこの地図の意味合いとは?」
「そうね。……この地図…船の位置が記されているわね。だとするなら船の位置とされているこの真ん中の場所にバッテンとされている印が囲まれている。そうする事で宝かもしれないバッテンの点と点を結べば…」
「す、凄い!何か変な模様みたいなのが浮かび上がりましたよ。」
「……」
いやマジかよ。
その地図ってそんな風にもできるのか…けどその点と点を結んでの行き方って
「元に戻ってなくないか?座標とされている場所からこの場所に戻ってる気がするんだが…」
「マナの流れでもしかしたらここへ癒着するようになっているのかもしれないわね。」
「だとするなら僕達が今まで迷子となっていた場所って…」
「この船が宝と記されている場所へワープしていた可能性があるわ。」
凄い推理をしているぞ。
単に迷子になっていたのを名推理かの如くでこの場を翻していってる。
何も考えてないここの人は今どんな気持ちなんだろうな。
「ねぇねぇ!だとしたら近くに何か扉とかあるんじゃないかしら。例えば船長室といえば秘密の階段とかあったり!」
「ここは船なんだぞ。そんなのあるわけが…」
ギュィーーン!
ガタン!
「ありましたね。ここを捻ったらすんなりと下へ進む階段が出てきました。」
「お、お前…」
「さすがはロイぜね!何て頼もしいのかしら!」
そういって、ルミナは先々へと進み階段を降りていく。
「おいおい!だから勝手に行くなって!」
「そうですよ!たまたま道が開けたとしても先がどうなるかまではわからないんですから。」
「全くあなた達はちょっとはコッチの身にもなってほしいわね!」
「………行ったかな?さてと、階段へと降りる前に……いるんでしょうこの船を幽霊船に変えた魔法使いさん。」
………
「な、何故私がいるとわかったのだ。」
「亡霊なら恐らくここが留まるのが1番しっくり来ますからね。それに恨みや怨念があるというのは大体が船長室に集中されてるのが自分が知ってる知識なんです。でも船内全てに呪いがかかっているというのなら、何処かしら呪いになる物がある。それをあなたが知っている。違いますか?」
「ご名答だ。」
そう声がしてそのまま何も無い場所から声がするのと同時にだんだんと姿が見え始め火の玉が出てのおじさん幽霊が出てくる。
「しかしあれだな…君の仲間は相当ここでのミステリーを楽しむというか何というか…」
「ええ、その、何かすみません。妙な憶測みたいなのをしてしまって…」
「いや別に構わない。少し心が痛むだけだ。私にそういった頭があるわけじゃないからな。」
「ああ〜やっぱり単なる宝のある地図だったんですね。そんなあの〜この船の仕組みに関してまでは…」
「当たり前だ!この船を動かしているのもとある魔法使いのおかげで動かせているだけに過ぎない。私がこの船をどうこうできるわけがないのだ!それになんだ…私が呪縛霊みたいな形になって、他の船を留ませさせるという様なことになっているし…そこまで望んだ事はしていない。はぁ〜どうなってしまったんだ本当に…」
「すみません単刀直入に聞きたいのですが、この船は元々あなたのであって、それを魔法か何か…いや錬金術を使って何かしたのではないのですか?」
「はは!面白い事を言うね君は亡霊な私にそんな事ができるわけがない。さっきもいったが、コレを魔法か何かいや錬金術で動かせているというのはまずないね。」
なんか急にフレンドリーな話し方になってるな。
幽霊には全然見えやしない。
でもこの船が魔法使いだというのは確実になった。
と言う事はエルゼが言っていた魔法使いがここにはいたって話しになるのか……でもここにはその魔法使いがいない。
どうなってんだ。
「錬金術で動かせているわけがないですか。ならここの船の中の仕組みはどう説明がつくのですか?」
「それが私にもわからないんだ。寧ろ自分も困ってるんだよ。この船の面倒な仕組みを早く解除してほしいもんでね。君どうにかできないかい?」
素人相手に何言ってんだこの幽霊は…
頼む相手間違えてんじゃねぇの?
「僕にはそれをどうこうできる事はできません。けどもしかしたら彼女なら…」
「ちょっと何してるの?早く降りてきなさ……」
「どうしたのラクト君。何かあったっ…」
「おーい!何やってんだ。早く降りてこないと置いてく…」
「ラクト氏何か面白いものでも発見…」
「あっやべ…」
キュルル
バタン!
うわーー!
俺が話している幽霊を目の当たりにしたルミナ達。
ルミナは倒れエルゼは腰が抜けたのかそのまま地面に膝をつき…ガイウスはビックリしながら武器を構えロイぜは驚きしつつ目が光る。
それぞれが反応する一部分があるのは分かるが…ロイぜだけは期待を裏切らないな。
「お、おい!な、なんだそいつは!」
「お、お化けですか!まさか本当に実在するとは!」
「そ、そんな、じょ、冗談の、つもり、だった、のに…」
おっと〜ここでまさかの幽霊がいるとは思えない反応をする魔法使いが1人いますよ。
自分の口で言った本人が信じられないってどう言う事なんだ。
「エルゼファアールさん。幽霊が存在すると言う事は魔法使いも存在するっていっておいてどうしてそんなへなってるんですか?」
「へ、へなってなんかないわよ!単に腰が抜けただけなんだから!それよりも隣でばたんきゅになってるこの子が1番やばいわよ。」
それもそうだ。
でもあなたも同類ですからね。
「とりあえず後で起こすことにしまして、この人どうやらこの幽霊船での呪縛霊みたいなんです。それでどうにかしてこの幽霊船の仕組みの魔法を解いてほしいって話をしていました。」
「え?待ってください。それじゃあさっきの地図による色々話し合った流れと関係しているという話しをしたって事ですよね?つまり僕の言っていた事は正しかったとそういうことでしょうか!」
「わあははは!!……そんなわけないじゃろうが。」
「…………」
あ、黙りこくって意気消沈してしまってる。
「まぁその…気にすんなって、そう言う事もあるわな。」
ガイウスの慰めの言葉にロイゼはぶすっとしながら顔を晒す。
「えーと、船長さんはここを仕掛けた奴の原因で困ってるって事らしいんですけど、エルゼファアールさん。どうにかすることでぎすか?」
「へ?そ、そうなの?……そういえばここに私と同じ魔法の力を持つ者がいると思うんだけど…まずはその人に会わなきゃどうにもならないわね。」
「その事なんですけど、どうやらこの船にはいないらしいです。それをかけたまま放置されているみたいですね。」
「……嘘でしょう。つまり魔法だけをかけてそのままいないって事?……じゃあこの船は何年も…いえ幾万年も彷徨っていたって事になるの?」
「そうじゃな。もうかれこれ100年以上は経ってるかの……こんなくだらない力をかけられてたまったもんじゃないわ。」
「この船が別の船の廊下につながるというのもその魔法のせいでありますから、どうにかして解放させてあげたいんですけど…」
「………何とかできるかもしれないわね。」
「ほ、本当か!」
「本当ですか?」
「ええ、微弱だけれどさっきよりかはこの場所がよりいっそう魔法の力が濃くなっているわ。恐らく何だけど…」
そういってエルゼは船長室の棚に手を当てていきながら僅かに流れる魔法の力を探知していく。
そして…
「うん。ここかな。ごめん男の子達。ここの棚を退かしてちょうだい。」
「あ、はい。」
「いや俺がやるよ。俺の方が力もあるし手っ取り早いだろう。」
「そうですか。それなら助かります。」
ガイウスが率先として俺達の代わりに棚を無理矢理力づくで退かし思いっきり部屋に埃が舞いながら周りに充満する煙と埃で前が見えなくなる。
しかし…
ピカン!
「な、何か光ってますね。」
「魔法陣ね。」
「ま、魔法陣ですって?そんなまさか!」
「あら?魔法を信じないって言う割にやたらと興味津々なのね。」
「そりゃあ目の当たりにしたら話しが違ってきますよ。しかし魔法陣があるとは…錬金魔法でも滅多にない部類の1つですよ。」
「ええ、魔法陣が何もない場所で現れるというのは私個人からしても興味があるわ。主に…」
船内にいたネズミを目にしネズミが魔法陣の方へと走る姿を目にする俺達。
ビビビ!
バシャン!
ネズミは黒焦げになって姿を消す。
「生贄の魔法陣。なるほどね。」




