無謀と思われるモンスターにどうにか脱出できるかどうかの賭けにでる
クレイジースネーク。
体力はそこまで少なくモンスターではあるが。
一撃での即死がヤバい敵。
と言うか何でクレイジースネークがこんな所にいやがる。
ここは単なる神殿だぞ。
クレイジースネークが生息している場所は主に遺跡や祠といった場所にいる。
そしてほぼ裏スタージ出てくるモンスター。
「今ので丸呑みされたという事はルミナはまさかもう…」
「いいえルミナはまだ生きている。呑まれてはしまっているけれど、完全に消化はされていない。」
「ルミナが生きているとかどうか分かるのか?」
「そりゃあね。私とあの子は契約しているんだもの。もし死んでいたなら直ぐに分かるわ。それよりもルミナの心配ばかりしている場合じゃないんじゃないの?」
「おっしゃる通りで…今目の前にはとんでもない化け物が3体いる。正直言って完全に詰んだと言わんばかりの状況だな。」
「ならどうするの?ルミナを見捨てる?」
「そうだな。普通に考えて俺1人なら即死なのは当然だろうしこんな奴等相手にするなんて不可能だ。」
「にしては全然怯えてないのは何故かしら?何か奥の手でもあるのかしら?」
「ああ。だからルミナにはあの服を身につけてもらったんだ。単なる外見誤魔化しで身につけさせているわけじゃない。」
「へ〜ならここからはお手並み拝見という事かしらね。」
何がお手並み拝見なんだか…俺は別に戦う必要性は一切ない。何せ戦闘するような錬金術はほとんど皆無だからな。
だからルミナには申し訳ないが辱め覚悟でここから一緒に脱出させてもらうぞ。
……クレイジースネークの腹の中
「うわーー!もう!!また呑まれた!!最悪!本当にあり得ないんだけど!何で私だけこんな目に合わなきゃいけないのよ!てか今度は完全に細長いから体が垂直状態で身動きができない。このままじゃ溶かされて死んでしまうというオチしか見えないよ。」
ルミナはクレイジースネークの腹の中をあちこち蹴ってみるが、中々図太いのか全然柔らかいのが感じとれず自分の錬金術でも無理があるんだというのを認識する。
「ど、どうしよう。本当にこのままじゃ溶かされて死んでしまう。周りはなんだかネチャネチャして気持ち悪いし…それに…」
ルミナは着ている服に違和感を感じだしどんどんと薄くなっていくのを感じ取る。
「コレ明らかに服溶かされてるよね!マジで最悪なんですけど!このまま服が溶かされてしまったら私素っ裸になるわ!というよりも私が溶かされてしまっては元も子もない!いったいどうしたら!」
やたらと困っている最中自身の服がどんどんと溶かされていくのに気付きだしもう見える所が完全に見えてしまう領域にまで進行して隠しきれない状態に陥ってしまってる事にルミナは最早なす術もなくなっていた。
「あ〜ラクト君ともっと一緒にいたかったな。絶対に楽しい日々をおくれただろうしもしかしたら私達…」
そう言って未来の事を想像し走馬灯の様に浮かび上がるルミナ。
しかしその時ルミナの服が光だす。
「え?何何?何コレ…」
ルミナの服が光だしたの同時に周りに猛烈な粉末が吹き起こりだしクレイジースネークの胃の中は大変な事になる。
「ぐ、ぐぐ、ぐへ、ぐへ…」
「な、何?何だか様子が変みたいだけれど…」
「うし!上手くいったみたいだな。」
「な、何が上手くいったの?」
「多分ルミナが吐き出されるから、またあの空間でモンスター達の視覚を遮ってほしい。後ルミナが吐き出されそうになった位置を伝えてくれ。」
「は?ちょっとどういう意味なのよってお前出口に進んでどうするのよ!まさかそのまま1人で逃げる気なんじゃないんでしょうね!」
ああ逃げたい逃げたい。今すぐにでも1人で逃げたいよ。でもね逃げたら色々とヤバいんだよ。正直主人公補正であるルミナが色々とちゃんと賄って用意してくれてないのが悪いんだ。
人のせいにするなんて最低だと言うのかもしれないがコッチはコッチで必死なんだよ。
だからもうここからはギャンブルだ。
ラクトは出口付近まで辿り着き懐にもう一つのワイヤーガンを取り出しながら鉄の部分を取り外し細長いロープ状の奴に切り替える。
所謂縄だ。
カシャ!
「さ〜て、何処から吐き出してくるんだ〜」
「ぐぐ、ぐぐ、ぐっぐっぐへ!!」
「そこ!」
クレイジースネークが吐き出したと思われる位置にエスカが場所を示す様に光る何かで俺に合図を送る。
そしてその光る何かは体の温度なのだろうか。まるでサーモグラフィーみたいな形になって俺の目ではそう見える様になる一気にワイヤーガンのトリガーを引く。
カチャ!
シューーーーン!
シュルルルル
パン!
見事にルミナがいると思われる位置に俺が放った縄状のワイヤーガンで体をぐるぐる巻にしてくれてそのままコッチに引き戻してくれる。
そしてそれを俺はルミナをキャッチする構えをとり…
パシン!
「よし!成功だ!」
そのまま引力に従って俺は後ろに吹き飛ばされるかのごとく出口へ思いっきり飛んでいきながら神殿への境地から切り抜けられお互い命かながら無事に脱出成功となる。
「へ〜やるじゃないのあの子。ふふ、面白い物を持ってるしわりかしどこか利用する価値はありそうね。今回はギリギリ危なかったけれでもコレから大いに役立ってくれるのなら私は今回多めに見てやるわ。」
そう言って神殿の出口から続いて脱出するエスカ。
エスカはそのまま神殿の出口を不思議な魔力を使って閉じさせ脅威であるマッドイーターとクレイジースネークそして大蛇を閉じ込めさせる事ができたのであった。
「いてて、勢いすぎて完全に受け身の構えができなかった。けれどどうにか助けて脱出できたのは御の字だな。」
ルミナを庇ってどうにか神殿の外へ出てこれたのは本当に良かった。
正直神殿の中に入るという要素は頭の中に入ってはいなかったけれど…まぁどうにか起死回生できたって事だよな。
「ルミナ大丈夫か?ルミナ?」
「ほ、ほえ〜〜」
「き、気絶している。それにあちこち服が溶かされているな。目も当てられない姿だ。」
柔らかな感触があるなとは思ってはいたが、まさかほぼ裸に近かったとは……ギリギリ間に合って良かった。
「……変態。」
「おい妙な誤解はやめろ。」
そうエスカに言い返し俺は来ていた上着の一枚をルミナに被せる。
「お前もしかしてルミナを裸させる為にその服を錬金させたんじゃ…」
「だから誤解だって言ってるだろう。まぁこの服に関してはちょっとした細工を仕込ませていたから正直反論できない部分もある。」
「仕込ませていた?……因みにその細工として仕込ませていたのはいったいなんだったのかしら?」
「服によるダメージで周りに胡椒を散らばせる仕組みだな。」
「は?」
素でその返事はやめてくれない。
マジで心にくるんだけど…
「ごめんなさい。もう一度だけ聞かせてもらってもいいかしら?何を仕込ませたですって?」
「だから胡椒だよ胡椒!調味料として使う胡椒をルミナの着ている服に仕込ませたんだ。」
「何で胡椒なの?」
「モンスターがいっぱいいただろう。どれもコレも鼻の効く奴や呑み込んでしまった後に対処できる事ができるかもしれない物を仕込ませたんだ。」
「それが胡椒なの?」
さっきから胡椒?胡椒?胡椒?って首を傾げながら尋ねるのやめてくれないか?
地味に腹が立つ。てか何がいけないんだ胡椒の何が…
「わ、悪いか?」
「いいえ。単にこの子が助かったのが胡椒のおかげなのだと思うと何だか情け無いというか残念がるというか…」
「どう言う意味だ?胡椒に関してなにかルミナが嫌がる事でもあるのか?」
「いいえ。まぁただあまり胡椒胡椒とその子には言わない方がいいかもしれないわね。何で助かったと問われたら間違いなく下がると思うしね。」
「下がる?……何が下がるんだ?」
「まぁそこはお前が考えなさい。私は当初の目的通りキーストーンが回収できたのならそれでいいわけだし何も問題はないわ。」
「お前はそうかもしれない。ただ部外者である俺からしたら災難だったさマジで…ルミナのおかげで巻き込まれてと言っても過言じゃない。おかげで化けの皮が剥がされたよ。」
完全に表の顔で接して何もかも興味がありませんみたいな反応を示していたというのに危機迫る状況の中またしてもあの洞窟と同様素が出てしまった。
もうルミナには猫をかぶっていた俺のフェイカーとしての面は意味がなくなる。
まぁそれでも周りにいる奴等…一部の奴等には伏せるつもりだから何もかもが失ったというわけではないんだけどな。
「しょうもない事を気にするのね。まぁそれが人間のあり方なら別にいいのだけれど……さて、そろそろ私から本題に入らせてもらうわよ。」
ルミナがちゃんと入手していたと思われるキーストーンが入ってるポーチの中身を探りそれを取り出して空間の中へ放り込みエスカは改めてコチラへ真剣な物言いで俺に話してくる。
「クロミスカル。お前はあの時その言葉を言った。あの言葉は私達精霊種しかしらない所謂合言葉みたいな単語。それをお前がどうして知ってるのか教えてもらおうかしから。もし返答次第で妙な誤魔化しをするというものならば私はお前を殺さなければならない。」
まぁそうだよな。
単に脳裏に浮かび上がった単語だから忘れてくれなんて白々しい発言は不可能だ。
かと言って嘘でもない言葉でそれをエスカが信じるかどうか…ほぼ五分五分な気がして嫌な予感しかしないが…一応言ってみるだけ言ってるか。
どのみちはぐらかしても今更意味がないだろうし何かしらこの世界での変動が起こるわけでもない。
それならば…
「分かった。俺が知っている範囲で話す。それをお前がどう捉えるかはお前に任せる。いいな?」
「ええ、話しを聞いてそれをどう私が判断するのかを十分に見定めさせてもらうわ。……ひとまずはね。」




