女主人公のファッションショー
単なる親心と言えば聞こえはいいかもしれない。
でも実際にはそうじゃない。
コレはルミナを少しでもこの世界で長く生きながらえる為の補正にしかすぎないのだ。
今俺がしている事は単にエッチな服装だから違う服に衣チェンジさせるという名目からのルミナ自身を耐久させる為にわざわざ珍しい鉱石で錬金釜を作ってでの話にすぎない。
コレは親心ではなくルミナを…ルミナのアトリエゲームをしていた俺からの思いやりの置き土産だ。
「ね、ねぇコレって…」
とそんな事を思っている中扉の奥から声が聞こえてくる。
着替えが終わったのだろうか、ルミナの声が聞こえてくる。
けれど…
「なんだか自身のない声の張り方だな。いつもの自身のある声はどうしたんだ?」
「む、無理だよ〜こんなの恥ずかしくて出られないよ。」
「恥ずかしい?……まさかあなた変な服を作ったんじゃないの?」
「そんなわけないだろう。ちゃんと服のサイズとなも脳裏に刻んでるんだ。間違いなんて起こるはずもない!」
「真顔で堂々と言えるあなたがとんでもない事を言ってるのは私の気のせいかしら。といいつつも私も気になるわけだしちょこっと覗かせてもらうわよ。」
「え?いやちょっと!」
全くもって遠慮もなしに扉の奥から声がするルミナのいる部屋へすんなりと透けてはいってくエスカ。
アイツ体を透明にさせて入っていけたんだな。
前のキャラもそんな能力みたいなのがあったから特に気にはしなかったけれど…キャラが違いすぎて違和感ありがちで少し戸惑うな。
「へ〜ふ〜ん。いいんじゃないかしら。ほらさっさっと見せてらっしゃいよ。」
「え!ちょっとエスカ押さないでよ。」
バン!
無理矢理エスカに押されて扉から勢いよく出てくるルミナ。
ルミナは恥ずかしそうにしながら自分の今着ている服の裾を掴みながら顔をあからめる。
「おお。」
うんやっぱり似合ってるな。
俺の世界での現界風だけれど、学生に因んだ制服姿に背中には魔法使いみたいな感じでのマントを羽織っている。
コレにして正解だな。
「ううっやっぱり恥ずかしいわよ。」
「何言ってんだ。普段来ているデニムパンツとかよりかは断然ましだろう。寧ろスカート入ってたほうご周りからしたら断然にマシな方に見えるぞ。」
「そ、それは…そうなの?」
「私に疑問を問わないでくれるかしら。」
「ああ、そうよね。ついテンパっちゃってて普通にエスカに聞いちゃってた。でもやっぱりスースーするわよ。ズボンの方が気軽に動き回れるから下の方をあんまし気兼ねなく動き回れるからそっちがよかったのに…」
「は?ちゃんと下にはスパッツもついてただろ?別に恥ずかしがる事は……いやまてまさかお前。」
嫌な予感をしつつ俺はエスカに視線を送る。
エスカは俺の意図が伝わったのかそのままあんぐりっとしてルミナのスカートの中を覗き込む。
「きゃあ!!!ちょっとエスカ何やってるのよ!変態変態変態!」
バシン!
ルミナは思いっきりエスカを横から叩いて吹き飛ばしエスカはそのまま何処かへと消える。
空間の中に入っていた。
てか上手く壁にぶつからないようにしたな。
ブワン。
「スパッツ履いてなかったわよ。モロ下着が丸出しだったわね。」
「言わないで!何で言っちゃうの!」
ルミナは涙目になりながら顔を真っ赤にしてエスカに激怒する。
そのエスカを引っ捕まえて両頬を引っ張る。
「はぁ〜ただでさえ、内太ももとかヤバいってのにスパッツを履かないって…羞恥がないのかお前は…」
「私を痴女か何かで勝手に認定するのやめてもらえないかしら。単にスパッツを履いたらオシャレ的に意味ないと思ったから履かなかっただけなのよ。」
まぁそうかもしれないな。
でも今時の女子学生って普通にスカートの中にスパッツを履いてるんじゃないのか?
……単に前の世界での日本の話ではだけれど…
「見た目を気にしているのならスパッツはやめるか?」
「それだと私がみんなに動き回ってる最中にスカートの中が見られるでしょう!」
「いやだから別の提案をしているんだよ。動き易くてあまり周りには見えずらい履き物…パンストとかにしたらどうだ?」
「ぱ、パンストですって………ありかもしれないわね。」
そう言ってどうにかギリギリ妥協点範囲で認めるルミナ。俺があらかじめコッチでも行けるように水よけ防止のパンストをルミナに渡し急いで別部屋に行ってパンストを履いて再び俺達に自分の着替えた格好を見せつける。
「どうかしら!我ながら似合ってると思うのだけれど…」
「ああ、まさに清純派の格好だな。」
「待ってそれだとさっきの私の格好は清純派じゃないみたいな言い方なのだけれど…」
「アレを清純派だと認定する奴等がいたらそれはもう単なる犯罪者だと思うぞ。」
「待って待って!じゃあ私はその犯罪者を引き寄せる為の服で歩き回っていたって事になるわけ。」
「ああ、けど一応は露出が少ないわけだし特に気にする事はないんじゃないか。」
「それ上手く遠回しな言い方をしているだけで、ほぼ引き寄せているという言葉に関しての否定はないのね。」
「率直に言えばフォローにすらなってない。可愛い服を褒めてあげればいいだけなのにね。」
「そうだ!そうだ!」
「やかましいわ!ひとまず濡れた服は乾かしといてここからの話をさせてもらうぞ。」
「おっ!作戦会議ってやつだね!待ってました!」
「何でそんな嬉しそうなんだ。緊急事態って事になってるのを自覚しているのか?」
「勿論よ!でもキーストーンは手に入った事だし後はこの神殿を脱出すればいいだけじゃないの?」
「だと言ってはいるがどうなんだエスカ。」
「何でアタシに聞くのかしら?その辺に関してはアナタ達で解決しなくちゃならない問題じゃないの?」
「本来ならそうだな。でも神殿には精霊種にも関わっている。その文献はちゃんと調べ物をした時にみていたから全く無関係っていう事はないな。」
「チッ目敏いやつね。本当気に食わない男ね。」
「お互い様だな。わざわざ切開けられる道を知ってるのにも関わらず俺達を危険な場所へ踏み入れさせてしまっている。この事について別にとやかく言う必要はないんだが…精霊なら精霊らしくそれらしい何かをするべきなんじゃないのか?」
「………」
一触即発と言わんばかりの空気の流れになりつつあるのをルミナは何かを察したのか2人の間に入ろうと静止の言葉をかけようとする。
「え、えーと、ふ、2人とも落ち着いて…ねぇ?今は協力する前提で話し合うことが大切よ。」
「ルミナに何かしらさせるつもりならお前はそれを上手く裏でサポートする必要性がある。だがあの状況の中でお前は何をした?キーストーンを入手する前に忠告をするべきなんじゃないのか。」
「ら、ラクト君。」
ルミナの静止する言葉にラクトは聞く耳を持たずそのまま坦々と話を進めだす。
ラクトはよっぽど怒りで周りの声を聞こうとしないのかただ目の前にいる精霊が許せないと言わんばかりにエスカだけを集中して睨みつける。
「……はっ忠告ですって…馬鹿馬鹿しい。あなたそれを私に言ってどうするつもりなの?私は単なる精霊種なのよ。何か勘違いしているみたいだけど、私はこの子を導き出す為に言動をしているわけ…忠告云々の問題なんて物は些細な言動でしかないのよ。それを信じる信じないかはこの子次第にもなる。けど人間に助言を施して私にいったい何のメリットがあるのかしら?」
エスカはやはり俺がやっていたこのアトリエゲームの裏切りの精霊とほぼ似ている。
叶うならばそれは違うと心の中で否定したつもりだったのだが……今のでより分かった事がある。
コイツは完全にルミナを駒扱いしていると…
「それにここへたまたまあなたが介入した事で単に巻き込まれてしまっただけじゃないのよ。御門違いにも程があるわね。」
「そうか、まぁそう言った道筋による話しならそう認識せざるを得ないよな。コレが単にまぐれでたまたまだったらの話しならな。」
「何が言いたいのかしら?」
「言わせたいのかよ精霊もどきが、自分の話した言動にすら気付けないほど間抜けになったのかよ。最早精霊種として終わりだな。」
「口を閉じなさい。いい加減その憎たらしい口調に嫌気がさすわよ。」
「ほぅ〜ならまだ話した方がいいみたいだな。ただ高みの見物で俺達を見下す外道な精霊様よ。」
「ほざくなよ童。あまり行き過ぎた言葉どのように自分に返ってくるのか身の程を知るべきだ。」
ブワーーーン!
ブーンブーンブーン!
謎の空間を開きエスカはそれを溜め打ちするかのようにしてエネルギーを充電する。
「………」
「あら?もしかしてさっきまでの威勢のよかった態度は最初だけだったのかしら?あなたから喧嘩を売ってきたのよ。謝ってももう遅いんだから。」
「は?誰が謝るかよ人工物精霊が。」
「………死ね。死んで詫びろ人間。」
ヒュルルルル
貯められたエネルギーはドンドンと凝縮していき1つの暗黒空間ができあがっていく。
それをラクトの方へ近付かせていきその中へ引き摺り込ませようと重力を働かせる。
「悪いけど単なるこけおどしじゃないから。その辺理解してもらうと助かるわね。」
「一々確認しなくていいんだよ。やるならとっととやりやがれ。」
「言葉の減らないクソガキ目が。死にたいならお望み通り死なせてやるわよ!」
重力が発生しつつラクトの体が浮かび上がりそのまま暗黒空間の中に入り込ませようと磁場が周り全体に発生し如何なるもの全てがその中へと吸収する。
さて俺の作戦はここからが本場だ。
さっき2人に話そうとした作戦その要が今この時俺がコイツを怒らせた1つの作戦。
何でエスカを怒らせたのが作戦なんだというのがよく分からない所という奴は恐らくいるだろう。
実際話してもどうしてだと言うやつは絶対いる。
俺がエスカを怒らした理由それは…




