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錬金術師の家庭教師且つ専属講師

………クリューダル家の錬金工房


コンコン!


「失礼します。ラクトです。いますか先生?」


………


ノックしても返事がない。

いないのか?


「ふぅ〜よしそれじゃあ久々にアレを試しみるか。」


と思い込んだのも束の間。


「きゃあああああ!」


ドン!ボン!


中からとてつもなく奇声をあげる声。

そして謎の爆発音。

俺は嫌な予感と開けたくもないドアを開けなければならないと覚悟を決めて開くと…


ギー


「失礼しま…」


「ラクちゃん!!」

「せ、先生おち…」


ムギュ!


思いっきり飛びついて抱きついてくる先生。

その抱きつきに思いっきり胸が顔にダイレクトして窒息死しそうになる。


「ラクちゃん!大変大変!今とてつもない発見があったの!……ってラクちゃん!大丈夫!いったい誰にやられたの!」


あなたですよ。あなた!

あなたの無駄な胸のデカさで殺されそうになったんですよ。


「せ、先生俺が来ない間に錬金やめてくれっていつも言ってるでしょう。」


「いや〜今日こそラク君に先生としての威厳を見せてあげなければいけないかなって思ってね。それでつい見栄をはりました。」


堂々と威張るおれの家庭教師。

だが何故だろう怒るに怒れないのがこれまた不思議。

外から来たと言うのもあってゲームではいなかったイレギュラーな存在というのもあり半ば憎めないのが現状である。


「それよりも先生今日の授業なんですが……ってまずは部屋の片付けですね。」


「あははごめんね。工房も借りちゃって部屋まで汚しちゃうなんて…これじゃあまるで居候みたいだね。」


「みたいだねじゃなくて居候なんですよ。」


この悪びれもなさそうに謝る人はモルティ・ブリューシャクー先生。俺と大して年は変わらないのに体の発育はとんでもないほど恵まれている。

たった4歳の差しかないのに何でこんなにも大人っぽい感じ如何ともし難い。


「あははそうだったそうだった。でも私こう見えて飛び級してるからね。この町では一応期待されてるんだから今からでも私の事崇めたててもいいんだよ。」


「はぁ〜なら俺が考えてた錬金作製したやつを勝手に作ろうとして勝手に工房を汚くしている人にどう崇めたてればいいんでしょうかね?」


「うっ!それは……くっいたい所を疲れてしまった。」


そう言って別に気にしてもないのに胸を抉られたような顔をして誤魔化すモルティー先生。


「そう言えばラク君はもうすぐ8歳の誕生日だね。何か欲しいものとかある?」


「いえ特に何も…」


「ええ!即答!何か言ってよ!これでもお金は結構持ってる方なんだよ。」


なら何故ここで居候して自分の工房を買わないんだ。

金があるなら自分の家でも何でも建てて借りてここへくればいいのに…


「はぁ〜モルティー先生俺の誕生日より先生の住む所をまず確保したらどうなんですか?もうここに2年いますよね?」


「そうなんだけどね〜何というか、ここの方が居心地いいといいますか何といいますか…」


ああ〜これはあれだな。

めんどくさくなって部屋を借りる気も建てる気もないという顔だ。

てか11歳の女の子が普通に一人暮らしって大丈夫なのか?

うちの母さんはモルティー先生を本当の娘の様に可愛がってる節があるし……それに因んで一人暮らしさせないと言う可能性もなくはない。

真意はともかくモルティー先生はここがお気に入りみたいだ。

俺がここからいなくなった後も居座り続けそうな気がして何処か心配したりもする。


「まぁモルティー先生がここから離れて行くなんて予想だにすらできませんけどね。」


「…………」


「モルティー先生?」


「え?ああううん何でもない何でもない。というより失礼だよ。いくらなんでも先生の事馬鹿にしすぎもし私が離れてラク君が困る様な事があったら……」


その先の言葉に言葉が詰まったかの様にして唸るモルティー先生。試行錯誤しながら一生懸命考える。


「………もしかして私ラク君がいないと生活上やばかったりする?」


「そう言う自覚があるなら生活面に関して見直した方がいいですよ。」


「そ、そんな〜〜」


何がそんな〜なんだか……


「全く日常生活だけちゃんとしていればそれなりに可愛いのにな。」


「え?」


「あ…いや今のはその…」


しまった迂闊なことを言ってしまった。

いくら歳が近い者同士だからといってストレートに思っていた事を言ってしまった。

コレはあれだ…咎められるやつだ。


「ふ、ふ〜ん。まぁラク君がそう思ってるなら別にいいんだけどね。」


「え?いやよくないでしょう。日常生活を正さなかったら先生ヒモ人間になってしまいますよ。」


「そこ!いや話しの流れ的にそこじゃなかったよね!だよね!」


何で2回聞き直したんだ。

重要な部分でもなかった気がするんだが…


「というよりも早いとこ錬金術の訓練しましょうよ。俺は先生に珍しい錬金の作製の仕方を教えるから先生はその構成させた部分を俺に教えるやり方を教えてください。」


「ああそうだったわねごめんごめん。でも私が教える限りラク君は基礎ができてるから問題ないと思うんだけどな。」


確かに基礎的な部分は俺でも何とかできるようになっている。この事に関しては俺と先生との間での秘密にしている。

この年で錬金の基礎と部分的な応用ができている年頃はまずいない。

そう言った奴等はホムンクルスという紛いな存在でしかいないと言われている。

今回そう言った話が露見に晒されない様に先生は俺の事を生徒としてもみつつ弟みたいな形で大事にしてくれるところがある為何とも至り尽せりといった状況でもあったりする。


※ここでのホムンクルスの存在は世間ではもうほとんどいなくなっておりほんの僅かな存在しかいない。

なのでホムンクルスというワードは町や市街等では禁句されておりホムンクルスについては差別を受けているという話にもなっている。

そしてホムンクルスは小さな頃から錬金術については取得しておりそれを人間の間では気味悪がれる存在となっていた。

コレだけでいったい何で気味悪がれる理由なんだという人はいるかもしれないが、このゲームではそう言う設定となっておりホムンクルスの事を毛嫌いしている。

まぁ関わらなければ済む問題だから俺にとってはどうでもいい話でもある。


「基礎ができていたとしてもその基礎の基礎の工程をしっかりしなければ俺の作れる珍しい錬金術の作製はできません。だから俺はモルティー先生に基礎の基礎を教わってるじゃないですか。」


「あははそうだったそうだったね。私とした事がうっかりうっかり。普通にやっていける分には問題ないのにそこをこだわっているんだものねラク君は…」


そう唯一の錬金術の欠点は基礎の基礎である複合的錬金術。

この錬金術は基礎を媒体にした応用をきかせなければ自分の考える錬金術で生み出せる物が作れない。

普通の錬金術で作る物なら基礎段階でできる物ならなんだって作れる。

しかし俺が作る物はゲームで培ってきた知識だけでは意味がなく元いた世界での日本を題材とした物を作りたいのだ。

しかしそれをするには頭の中で考えるトレースの基礎だけでは無理があるためこうやって先生にお願いして基礎の基礎を学んでいる。

まぁ部分的にできる物にも限りがある為未だに自分ができる複合的錬金術は2つが限界だ。


「拘ってるというよりかは…できるんだろうなって思い込んでるからだと思います。じゃなければ先生に頼んだりしませんよ。」


俺は棚に置いてある試験瓶を2つ引っ張り出しそれを錬金窯の近くへおく。


コトン

コトン


「じゃあ先生今日もよろしくお願いします。」


「ええもちろん。今日も任せて頂戴。」


そう言って別に腕のコブがあるわけでもないのに自分を鼓舞するモルティー先生。

そのやる気に俺も鼓舞され今日の家庭教師との授業が始まる。


………1時間後


「う〜ん………まぁ中々よくなったんじゃないかな。基礎の基礎はやっぱり積み重ねが大事っぽい感じだけど、この調子ならいずれいい錬金術師になれるじゃないかな。自分のアトリエが作れるのも時間の問題ってかんじもあると思うしね。」


「………」


確かに基礎的な事はできている気はする。

でも自分が作りたい物ができない以上コレはまだまだ先の話になる。

自分が新しく欲するアトリエ…この町から独り立ちする為の第一歩として自分ができる最低限の事を俺はいち早く習得しなければならない。


「じゃあ今日の授業はここまでだね。1人で帰れる?なんなら泊まっていってもいいんだよ。」


「帰れるに決まってるでしょう。てか隣なんだから普通に帰れるってば……」


「あははそうだよねごめんごめん。でもでも!私もうちょっとラク君と一緒にいたい〜」


今日はやけに絡んでくるな。


「あそういえばモルティー先生今日って、何か予定とかあったりします?」


「ううん何もないけど……あ!もしかしてデートの誘いかな〜もうまだ未成年なのにお茶目なんだから。」


「あなただってまだ未成年でしょうに…そうじゃなくて母さんが今日一緒にご飯どうかなって聞いてきてほしいって言われたんですよ。」


「ああ〜成る程……うん!是非いかせてもらおうかな。私もたまにはラク君家族との交友関係深めたいしね。特に何故か妹さんは私の事毛嫌いしてる節があるみたいだし…」


そうなんだよな。

何故か妹のセピリアはモルティー先生の事を嫌っている?ようにみえる為いったい何を嫌っているのかその心が分からない為モルティー先生の事を庇い立てる事ができずにいる。

それでもモルティー先生のフォローはしているが…やはり2人とも相容れない部分があるらしい。


「ラク君〜どうにかして妹のセピリアちゃんとの間を見繕ってよ。私何もしてないのにこのまま嫌われちゃったら…」


「嫌われちゃったら?」


「一生アトリエに閉じこもっちゃうかも。」


「いやそれいつも通りじゃないすか。」


そんな情け無いモルティー先生にお願いをされてしまったらやむを得ずに俺は2人の仲をどうにかしようと心に決めそのままアトリエを後にし自分の家へと戻る。


きぃ〜バタン。


「はぁさてどうしたものかな。」


モルティー先生とセピリアとの仲よくなる作戦。

この場合セピリアに問題があると思うんだが……どう話をしたものか……案外アレで賢いところがあるからとても6歳とは思えない頭をしていて正直こっちの企てがバレる場合もある。


「う〜〜〜ん。」


「そう言えばラク君。」


「はい?」


「この前コソッと古代遺跡に向かったんだよね?」


「……何故それを先生が?」


「そりゃあここまで大きな声で遺跡がどうのこうのと叫んでたらなんだなんだって不思議がる人がいてもおかしくないよ。それにアトリエで篭ってる私からしたら興味でる話題だしね。」


まぁアトリエから近いってのもあるしそりゃあ聞きたくなくても勝手に聞こえてくるよな。


「そりゃあそうですよね。……だけどこの事秘密にしておいてくださいね。」


「当然だよ。にしてもそうか古代遺跡に行ったんだ。……それでどうだったの?何か目ぼしい物は見つかった?」


そうだそういえばこの紫色の玉についてもしかしたら先生なら何か知っているんじゃ…


俺はそう思って首にぶら下げていた紫色の玉を先生に見せる。


「どうですか?コレがいったい何を意味するかわかりますか?」


「ううん〜見た感じキラキラと光紫色水晶って感じがするね。そこまで珍しくもない様にみえるけれど……コレがどうかしたの?」


「いや実は…」


紫色の玉の事について先生に詳しく話しをする。

しかし先生はそれを理解できなさそうな顔で困り果てた顔をしていた。


「ごめん何がどうなって2つに分かれたのかその明白な理由がないと何とも言えないかな。」


「そうですよね。モルティー先生でもやっぱりわかりませんよね。」


「ちょっと!人にお願いしておいてそのガッカリはあんまりじゃない!」


とは言ってもこの世界でのモブである俺や先生にとってはこの謎めいた石の事に関して関与するのはやはり無理があるか…正直あまり首に飾りたくはないが何処かへ無くすと嫌な予感がするしひとまずこのまま身につけておこう。


「だけどそれらしい目ぼしいものがなかったのは残念だったね。まぁそんなにくよくよせずに今日は一緒にご飯を食べてもりあげよう!」


と息巻いてはいるがセピリアとの問題忘れてないか?


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