表の顔で出していたラクトはあっさりと裏の顔を曝け出す。
ルミナが防いでくれているこの時がチャンス。
俺は懐に持っていた袋に火縄を取り付け点火させる。
それを上から回転し続けるマッドイーターに向けて投げる。
すると…
ドッカン!
爆発して思いっきり遠くへ吹き飛ぶマッドイーター。派手に転び落ちてゴロゴロと回転しながらダンゴムシの様に腹を見せて立てなくなりジタバタとする。
「よし!どうにか成功だな。」
「成功じゃないわよ!今の何!思いっきりコッチにも爆発の勢いで吹っ飛びそうになったわよ!」
「ああ、まぁ生きてるんだからよくね?」
「いいとしても限度ってものがあるでしょう。それにさっきのって錬金術じゃないわよね。あなたが作った何かなの?」
「御名答。まぁ作るにしても材料が必須にはなるけれど…普通にしいられる物だからそこに関しては問題はくて、1番要とするのはこの袋だな。」
「中身にも問題があるんじゃないの?」
「勿論。でもそれを今説明している余裕はないな。ひとまずここから離れよう。アレがまた変に起動するか分からない。ただのモンスターじゃないからな。」
「でもあなたのさっきの道具でまたやれれば消滅させられるんじゃないの?」
「それができればいくらでも投げ捨ててやっているよ。俺の持っている袋は後四つなんだ。そうバンバンに投げ捨てられるものじゃない。」
それに火縄の方だって、どうにかして時間をおかないと乾く事ができないとさっきみたいに上手く爆発できなく不発になる可能性がある。
「はぁ〜こんな時の為に用意していたわけじゃなかったんだけどな。」
ギュィーーン!!
「やべ、そんな事話してるウチにまた奴が動きだす。とりあえずこの場所から離れよう。ここではもうどうにもできない。ひとまず外側の扉を解除する為のギミックをときにいくぞ。」
「え?でもアレを倒したらアダマンナイトを手に入れられ…」
「放置してても問題ないって、いずれまたお前達は合間見える事になるんだ。このままギミック解除に向かうぞ。」
そう言って俺はルミナの手を掴みとり引っ張って復帰する寸前のマッドイーターを放置し辺りにあった穴を使ってこの神殿のギミックをとく為の場所へと移動する。
………
「やっぱり迷路式だな。ここからあそこに行けるとなると向こうの方へ歩いた方がいいか…いやそれともあっちか…」
「ね、ねぇ。」
「でもそれだと違う道でアイツに鉢合わせになる可能性もあるわけだし現れない事を考えて、現れない階層へ行った方が…」
「ねぇってば!」
ルミナは勢いよく俺が引っ張っていた手をグイッと引っ張って足を止める。
「うおっ…どうした何で急に止まるんだ?」
「いやその手!手をずっと握ってるんですよ。いつまで繋いでるつもりなんですか。」
「あ、悪い。」
あのままあそこにいたらヤバいと思って、急いで手を握ってここまで逃げたから全然気付けなかった。
「全くもっと女の子として丁重に扱ってほしいよ。あんまり強引すぎると女の子に嫌われちゃうからね。」
「状況によるだろう。それにさっきのは強引で仕方がなかったんだ。その辺は許してくれないと困る。」
「だとしてもだよ。気軽に女の子の手に触れるなんてナンセンスなんだから。」
それが日本の世界だったらな。
普通にゲームの世界の人間だと自分が操作してる感覚があって、それほど気にしたりする事がない。
でも普通に動く女の子なんだもんな。
「はぁ〜性格さえどうにかなるのならまだ可愛げがあったものを…」
「!?ちょっとそれどういう意味!」
「いや何でも。」
そういいながらラクトは先々と前へ歩き先導しながらルミナに被害が及ばない形で周りを警戒する。
何なのよラクト君。
もう猫被るのをやめたのかしら。
普通にラフな感じで話していて何だか男の子って感じがして気が狂いそうだよ。
「ねぇ!まだ話があるんだけど。」
「何だ。急いでこの神殿のギミックを解除しないといけないんだ。話すよりも先々へ進んだ方がいいぞ。」
「だとしてもだよ。ラクト君には話さないといけないことがあるの。」
「だったら手短めに頼む。そこまで時間はないからな。」
「神殿の中にいてどうして時間があるとかないとかわかるのよ。というかさっきから口調!敬語じゃなくなってるよ。」
「………あ。」
ようやく気づいたのか自分が今身元を隠す為の芝居をそれも関わらずに相手への対応を素っ気なくさせる為の行為だったということが今目の前にいるルミナに気付かれてしまった。
ラクトはそれを深い溜息をつきながら肩をすくめて穴を抜けた先の螺旋階段があるのを確認する。
「とりあえずこの階段を登りながら話そうか。」
そう言ってラクトは階段を駆け上がっていきながら後に続いてルミナのも登っていく。
「さっきいった事忘れてないわよね。本性を出すような事があったらため口で話してもらうって…約束は守ってもらうからね。」
「それに対していったいお前に何のメリットがある。もうこの際だから敬語を使うのをやめるが…まさにどうでもいい約束をしてきたよな。」
「どうでも良いことじゃないよ。寧ろお互い腹を割って話せる間柄になったと言っても過言じゃないのよ。」
「どういう捉え方だよ。お互いの関係性って特に何かあるわけじゃあるまいし。」
「コレからあるかもしれないでしょう。私はあなたと話したいのよ。あなたの外側の一面だけで話すのは嫌。嘘ばっかりついて何処かへ逃げるようなへっぴり腰なんてただの弱虫じゃない。」
「言いたい放題だな。でも別にそれで構わないよ。俺はお前とは関わりたくないんだから。」
「な!?」
おっと今のは流石に直球しすぎたかな。
でもコレぐらいの事を言わないと今後付き纏われてもしたらたまったもんじゃない。
こいつらにはコイツらの道を歩んでもらって、俺はそれを外から応援する。
今回またルミナを助ける事になったが、今回はたまたまに過ぎない。
だからもうここで嘘の自分をさらけだしてこういう嫌な奴だって認識してもらうしかない。
コイツが俺の事を嫌ってでもな。
「へ〜ふーん。そういう事言うんだね〜うんそうかそうか成る程成る程。」
何やら勝手に納得してくれている雰囲気はあるのだが…嫌な予感しかしない。
「へへん!残念でした。私がそんな事で簡単に諦めると思ったら大間違いよ。この自分大好き人間め!」
「何?」
「だってそうでしょう。何か無理矢理私を突き放して楽しようと思ってるかもしれないけれど、そう簡単に突き放されると思ったら大間違いなんだから。」
「何言ってんだ。俺はお前と関わりたくないと言ってるだけだ。無理矢理突き放しているんじゃなくて関わらない様にしている。この意図を分かってくれたら俺としたら1番ありがたいんだけどな。」
「そんな勝手な事許せるわけないでしょう!」
「勝手に許す許されない話しじゃなくて、縁を切りたいって話をしてんだよ。こんなトラブルを巻き込まてルミナはいい奴だななんて言える奴が何処にいる。」
「私に決まってるでしょう!」
駄目だ。
話が通じない。コレだから未来のある天才アトリエ師は困るんだよ。
「なぁそこまで俺を固執する理由はなんだ。俺は単なるアトリエ工房を立ち上げて店を立ち上げている人間にすぎない。とてもじゃないがルミナ達の戦力には到底釣り合えないと思うぞ。」
「そんなの関係ないわ。私はあなたが必要だから誘っているのよ。それ以上でもそれ以下でもないんだから。」
「勝手にそうやって仲間意識を押されてもな。悪いけどここで話しても一緒に旅に出るというのは今の俺の頭にはない。残念だが諦めてくれ。」
「言ったでしょう!諦めるつもりはないって!いいえ!是が非でも私はあなたを仲間に引き入れたいの!同じことを何度も言わせないで頂戴。」
それはコッチのセリフだっつうの。
俺こそ何回同じことを言わせんだ。
「目的のキーストーンは入手したんだ。ならそこからはもうそっちの問題。こっちは黒曜石を入手したんだから何も問題はないだろう。」
「問題おおありよ!ここから一緒に脱出するまでは一緒にいなきゃならないんだから一緒にここへ入った責任はとってもらうわよ。」
「お、横暴だ。けどまぁその通りなんだよ。こんな所に一緒にいたらヤバい事になるのは間違いない。できたらセーブポイントの場所にまで行けたらいいんだが。」
「セーブポイント?」
「そう神殿の中と言っても必ずしも窮地ばかりがあるとは限らないだろう。何処かしら休憩できる場所があるはずなんだ。」
「でもただの遺跡にそんな場所あるのかしら。外側からみたらだいぶボロボロだったわよ。」
「外側からならだろ?でも中はどうだ?ちゃんと神秘性みたいなものがあって、尚且つマナがちゃんと活動していた。とてもじゃないが古びた遺跡には到底思えない作りになっている。こんなの期待しててもおかしくないだろう。」
「それならそれでいいんだけど…私達の目的はこの神殿のギミック解除なんだよ。それを忘れていない。」
「いいや忘れてないよ。ちゃんとそれも分かってて行動しているんだ。まぁもしかしたらここまで上がっていたのにどういう意味があるんだって突っ込まれるかもしれないけどな。」
「???」
ラクトの言葉に首を傾げるルミナ。
しかしその意味が自ずと分かる頃に2人はここのギミックが発動したのと同時に巻き添えをくらう。
ガシャン!
ヒューーーーーン!
「う、嘘でしょう!何で私達落ちてるの!」
「それが本来の目的だからだよ。いいから落ちていく下の方にだけ集中しとけじゃないと落ちたら死ぬぞ。」
「そんな恐怖を通り越しての殺人予告要らないから!というよりここからどうすればいいのよ!」




