不足品の為にまたギルドへ行ったら何故かルミナ達が待ち伏せしていた件について
あれからルミナ達がこの店に来る事はなく無事に1週間が経ちめぼしい商品に目移りしてくれた人もそこそこ買ってくれているのがわかりコレからのアトリエ人生なんなくとやっていけられるとおもったのだが…
「あ、マジか…」
「どうかしたのですかお兄ちゃん。」
「いやもうすぐ嵐がくるだろう?その嵐対策の装飾品を作ろうと思っていて錬金していたんだが、足りない物があったのを気づいたんだ。」
俺とした事が鉱石として1番要となるなもの黒曜石を持っていなかったとは…アレがないとアクセサリーに付与する魔法のエンチャントとやら魔法による接触事故を防ぐのに役立つというのを完全に忘れていた。
「どうしたものか…黒曜石がなければ物が飛んできたりとかそれを弾き返す付与ができない。今黒曜石の発注をしてももう間に合わないしな。」
「あ!それだったらお兄ちゃんこの前ギルド付近を買い物帰りに歩いていたんですが、黒曜石の採掘に関するクエストが貼っていましたよ。難易度も⭐︎3だったので恐らく危険性はないと思うのですが…」
「⭐︎3か……まぁ確かに難易度的には低いのは間違いないんだろうな。でもなぁ…」
この前ギルドではちゃめちゃにやらかしてそのまま影の様にしていなくなったわけだからあまりあそこには行きたくないんだよな。
受付も詐欺みたいな勧誘してる人もいたし…
「はぁ〜背に腹はかえられないか。セピリアしばらく店は閉めるぞ。売れ行きは普通に良い形になってきてるし2日や3日店を閉めても問題ないだろう。」
「え?それじゃあもしかして…」
「ああちょっとギルドに行ってクエストをこなしてくるよ。」
「それなら私も…」
「駄目だ。お前はお前でやることがあるだろう。ひとまずこのアトリエに残らせているんだ。少なくとも危険なマネなんてさせらない。妹の前に1人の従業員として雇ってるというのもあるからな。」
「ぶーー!!お兄ちゃんのわからずや!」
「分からずやで結構。じゃあ後の事は頼んだぞ。」
不貞腐れるセピリアをアトリエに残し俺はギルドの方へ足を運ぶ。
カランカラン…
「………え〜と、確かここに張り紙があったって話しだよな。」
中に入るとたいていのクエストが書かれている紙が張り出されているんだが…
「あ、あれ?黒曜石に関するクエストの紙が張り出されていない。おかしいな。」
不思議に思いたまたま通りかかった受付のお姉さんに声をかけて聞く。
「ああ黒曜石のクエストでしたら既に受諾したメンバーがいますね。」
「え?でもそれって…」
「そうですね。昨日の晩に張り出されていたのでそんな直ぐにクエストを申し込む人なんていないと思ったのですが…」
誰だ?黒曜石を必須とする人なんてそうそういないはずなんだが…特にこの辺での周囲の人達とかまずクエストを受ける事はないと思っていた。
でもギルドメンバーって言ってたから別の場所から来た奴が受けたのか?
だとしたら既に攻略されていてもおかしくはないだろうけど……
「最悪物々交換するのが手取り早いか…でもいつクエストが終わって帰ってくるのかも分からないわけだし…今回は諦めた方が良さそうだな。」
「おっと!お困りだねそこのアトリエ職人君!」
「うっ!」
この声まさか…
そう何処かで聞いた事のある声。
完全に店に来ないと思って安心しきっていたと思いきやまさかのまさか…
「ぷ、プレデシアさん。どうしてここに…」
「えへへ、実は近くに宿を借りてね暫く泊まろうって話になったのよ。それでこの街で路銀稼ぎをしながら自分の錬金術も鍛錬しようかなってね。」
「いや聞いてない聞いてない。その部分に関してはどうでもいいですよ。」
「何ですって!せっかく私がラクト君に懇切丁寧に教えてあげたのに!その言い方はなくない!」
「宿を借りてって…冒険はどうするんですか?こんな辺鄙な場所で宿をとっても意味ないと思いますよ。」
「そんな事ないわよ!ここの街はいい街よ。子ども達とも仲良くなれたし何よりも世間体がいい人ばかりとてもいい街ね!」
そう言われると何だか照れてしまうな。
この街がいいって言われるのは自分がこの街なら特に問題も起こらず周りと仲良くなれてやっていける。そう思って選んだのもあるから主人公にそう言われてしまうとなんだか面映ゆい。
「そう言ってくれるのはありがたいんですが、プレデシアさん達は目的があるんでしょう。こんな所にいつまでも……うん?もしかして1週間もこの街に滞在していたんですか!」
「ええ!そうする様にアリシアに言われてたからね!」
アリシアに言われたって……まずいな既にゲームの進行に汚点ができてしまった。
1週間ってつまりいったいどれぐらいの日にちでストーリーは進んでいたっけか。
確実しもこんな所に1週間も居続けるのは攻略的にも差し支えるんじゃなかったか?
「やっぱりそうだったのね。私の読み通りだったわ。」
「読み通りってどういう意味ですかアリシア・クローデルさん。」
「あなたのお店工房を満遍なく見渡してもらったのよあの日にね。」
「あの日って、初日に開店した日にですか?」
あれ?アリシアってそんな洞察力あったけか?
まさか俺の知らない隠しスキルか何かがあった?
「そう。それでその工房でのお店周りに何かが足りないって思った。それを頭の中で考えたら直ぐに分かったわよ。……黒曜石があまりにも不足しているってね。」
「へ、へぇ〜で、でも黒曜石が必要というのを分かっただけでここまでの事を把握するのはおかしい気がするんですが…」
「ここに嵐がくるっていう話を街の人から聞いたわ。まぁ聞かなくても天体用の錬金性で造られた物を私は持っていたからそれで天候の兆しを読み取る事ができたの。そうしたら?ここにやってくるのは必然だと思ったわけ。」
「け、けど黒曜石のクエストに関してはどうなるんですか?クエストなんてここに来るか予め内容を把握してなかったらここで鉢合わせなんて無理なはずですよね?」
「ええ、だからここのギルドの人にお願いしたのよ。黒曜石のクエストがもし入ってきたら直ぐ様に私に連絡をしてきてほしいって…そうしたら予めに受けておいておけば次の日に来るかもしれないあなたを待つことができるってわけよね。」
「は、はは……暇なんですかあなた達は…」
「暇じゃないわよ!ぶっ殺すわよ!」
意図をつかれてしまったのかアリシアは顔を真っ赤にして怒りながらガチの罵倒を浴びさせてくる。
それをルミナが宥めさせるが…原因はお前にもあるって事を忘れてはいないだろうか…
「それであなた達がそのクエストを受けてなんのメリットがあるのですか?」
「それは私も本当に思ったわね。主にメリットがあるとしら…」
「ふふん♩ふふふん♩」
「上機嫌に鼻を鳴らしてる彼女の方かしらね。」
そういう事か…俺の事をまだ仲間に引き連れようとしているのか…なんて諦めの悪さなんだ。
いやゲームに因んでそういった個性が変わってないのはいい事なんだが……側からしたらうざいのなんのでしかないな。
「という事で諦めて私達の仲間になりなさい。仲間になったら黒曜石のありかの場所まで一緒に連れてってあげる。」
「ん?黒曜石はまだ入手してないって事なのか?」
「ええそうね。昨日の夕方にクエストを受けたばかりだからそのままみだ言ってはいないわね。」
「ふーん。成る程。」
「な、何よ。なんなのよその含みのある納得の仕方は…」
コチラの意味の分からない納得の仕方が気に入らなかったのかアリシアは何処か不満を漏らしながら俺が受付の所へ歩いていくのをついてくる。
「すみません黒曜石の採取クエストの空きってまだありますか?」
「黒曜石の採取クエストですね。少々お待ちくださいませ。」
受付の人は黒曜石の採取クエストの空きがあるかを調べつつ後ろにいる2人は訝しみながらコチラを見る。
「あ、はい。まだございますね。直接での張り紙の方では貼られておりませんでしたが、お客様からの要望であればコチラクエストは受託可能です。」
「それならそのクエストの受領をお願いしたいんですが…」
「かしこまりました。ラクト・クリューダル様は以前の鉱石のクエストでの件について色々と成果が上がられております。なのでおひとり様でも大丈夫ですがいかがなさいますか?」
「あ、じゃあ僕1人だけでお願いしま…」
「待って!」
「待って待って!」
1人で勝手に受領を進めようとする俺に静止しようと2人が割ってはいってくる。
「な、なんですか。2人とも今クエストの受領をしてもらう最中なんですから邪魔をしな…」
「そういう問題じゃなあい!え!え!どういう事!どういう事なの!?何で勝手に受理できる話しの流れになっちゃってるの!もうそのクエストは私達が受けている形になっているはずよね!なのに何でその男が受けられるの!」
「えーと、そ、それは…」
「なんだ知らなかったんですかアリシア・クローデルさん。昨日受けたクエストはその日に成功しなかった場合掲示板には張り出されませんが受付で申請することができるんですよ。あくまでも直接対話をしないといけないのがアレかもですけどね。」
「そ、そんな話し聞いてないわよ!まさかギルドでの勝手な事をしたんじゃ…」
「と、とんでもございません!コチラギルドではマニュアル通りにやられております。それにギルドを作成する際に説明もしておりましたと思うのですが…」
「へ?ギルド作成時に説明?……ル・ミ・ナ〜!」
「わ、私のせいじゃないわよ!ちゃんと皆んなが聞いてないのが悪いわよ!」
「勝手にホイホイとギルドを作成して進めだしたのはあなたでしょうに!もうコレでバッチリとか言って全部説明はっしょってだしょう!このばか!」
「いひゃいいひゃい!やめひぇやめひぇ!にゃにしゅるのよ!」
「あ、あのお客様。他のお客様にご迷惑がかかりますので…」




