クリューダル一族
ガラガラガシャン!
「おおい何処にいるんだ!」
崩れた崖の近くから男の声が聞こえてくる。
「どうやら俺達無事にここから出られるみたいだな。」
「え?あ、うんそうだね。」
さっきの話を蒸し返されなくてよかった。
さっきの話を蒸し返されると説明が色々とややこしくなる。
だから俺達を探しにきてくれたおっさんナイスだ。
「いたぞ!こっちにいたぞ!」
そう言って俺達の所へ急いで駆け寄ってくる大人達。
「てかまずいな。さっきの紫色の石アレをみつけられたらめんどくさい事になるぞ。」
そんな心配をしている最中側にグレーディアの姿がなくいつのまにか消えていた事にビックリするのだが…
ポチャン
カタカタカタカタ…
「うん!コレでいいかも。」
「おいグレーディア何してんだ。」
「あ、今ねさっきの紫色の石を試験便に入れて合成させたの。するとねあら不思議…」
ピカーン!
ドシュン!
うわああなんだなんだ!
突然爆発が起こり全体に黒い煙みたいなのが発生する。
そして何やら目の前に2つの光る玉みたいなのが出現した。
「え?何だこれ。」
「ちょっと待っててね。」
そう言ってグレーディアは玉に穴を開ける細工を施しそのままスルッと紐を入れる。
やたらと器用すぎて驚きが隠せなかったが…なんともまぁ手先が器用だな。
「うん。はいコレ!」
「え?」
何故か2つの小さな玉のうち1つをコチラに渡してきてそのままグレーディアは走ってこの場から去っていく。
「いやちょっと!」
ガシ!
「は?」
今度は誰かに手を掴まれそのまま勢いよく走らせる。
「だ、誰だ!」
「俺だにいちゃんだ。」
「え!?にいちゃん何でここに?」
「お前を引き連れに戻ってきたに決まってるだろう。」
「でも大人達が…」
「あれは揺動だ。あの人達にはお前達の素性は黙っていて探してもらっている。実際にお前達がこの遺跡の中に侵入した事はバレてるかならな。それを見兼ねた大人たちはどうするかと相談しつつ助けるという方向性にでた。」
「けど大人達に俺達の存在の事伝えなかったらもっとやばいんじゃ……」
「ああそれは大丈夫ちゃん置き手紙は残しておいたから。」
「置き手紙?」
………とある村
[村の人達へ遺跡へ取り残された子どもは俺が回収した。もう心配はいらない後の処理はクリューダル当主が後始末をします。by当主の可愛い子どもより]
「当主の可愛い子ども?クリューダル家って、そこまでの家紋だったか?」
「いや確かこの前村の派遣として抜擢された一族と聞いたが…まぁやってくれるなら別にこっちは無視してもいいだろう。」
そう言って村の人達はその置き手紙いや置き版を目にしてその場から離れ1人の男がその置き版を踏み倒す。
バン!
「アイツ目…こんな時に好きがってな真似を!」
「どうされますか?御子息の戯れなら無視をしてもいいと思うのですが…」
「たわけ!この様な置き版をおいてわざわざクリューダルの名を汚して帰るつもりか?」
「いえそう言うわけでは…」
「貴様今ので一回死んだ事を胸に刻んでおけよ。俺はともかく国境の王族はこの事を指摘しだした場合俺は貴様らを庇う事はできん。たかが子どもの戯言たかが子どものお遊び…だとしても大人はコレをかんりょせずにはいられんのだ。」
クリューダルの父親は一旦村から離れ木の枝に紐づいてる馬の所へと戻りセリダス・クリューダルの置き版を全て焼き払った後にセリダス達がいる森へと急ぐ。
………森から脱出したラクト達
「なぁにいちゃんどうやってあそこまでかけつけたんだ。タイミング的にもあの子と同じように被ってた気がしたんだけど…」
「それはたまたまだな。俺は何とかお前達を見つけてタイミングを見計らって助けようとしたんだ。けど妙な爆発と土煙が起こった瞬間これはラッキーだと思ってそのまま早足でお前を連れて脱出する事ができた。まぁお前があの機械共を木っ端微塵にするとは思いもしなかったがな。」
壊したかどうかはわからないが…あの程度やられるようなレアモンスターじゃないはずだ。
特別な錬金術でレアモンスターのバリアーを消す必要がある。
でも一時的なら物理的な攻撃で足止めは可能。
多分あの中でまだ正常に動いてる可能性はあるな。
「所でだとんだハプニングはあったが、どうだった遺跡の中は?何か面白いものでもあったか?」
「と言うよりもあの子のせいであんまりじっくり見れなかった。だからそんなに面白いものはみつけられなかったな。」
あの子が本当にこの世界の主人公かどうかも完全に判明したというわけではなくなったから正直それはそれで良かったかもしれない。
もしあそこに主人公のルミナがいたとしたら何処かでみかけたとなると色々と厄介だしな。
「そうかそれは残念だな。せっかくの弟のお願いだから連れていったんだがまぁそれどころではなかったしな。てか怖くなかったのか?あんな悲惨な目にあったというのに…」
「うん!寧ろ高揚感がましたかな。」
「肝が据わってるというかなんというか…相当な変人だぞお前…」
そんな風に兄からのディスリが入るがそこは敢えて無視し俺はさっきの事でグレーディアが2つに分けた後1つの紫色の玉を密かに俺に渡してきたのを思いだす。
「あの時コレを渡されたが何であんな事を…」
それにもうこの玉にはさっきの禍々しい力は感じない。
最早ただの宝石だ。
こんなのを紐に通してどうするつもりなんだ。
「はぁ〜ひとまず首にさげとくか…何かしら魔除け代わりは使えるかもしれんしな。」
「お〜いラクト帰るぞ。」
「うん分かったにいちゃん。」
とりあえず疲れたから帰って寝るとしよう。
全然土産にも何もならなかったな。
俺達はそのまま自分の家へと帰り今日起こった事は内緒だぞとセリダスに言われながらこの事は心に留めておこうとそうきめた。
しかし……家に帰った途端。
「あらあらセリダス兄さんにラクトお兄ちゃん。私に内緒で遺跡に向かったらしいですね。」
「………」
「………」
バレてる〜〜
てかなんでバレたんだ。
誰も妹のセピリアには話していないはずなのに何で…
「いや何の事かさっぱりだな。なぁラクト?」
「う、うん。セピリア俺達がセピリアに内緒で遺跡なんて行くはずないだろう。」
「はぁ〜ラクトお兄ちゃんならばまだ話してくれると思ったんですけど……」
そう言ってセピリアは録音ボイス型の錬金術で作られた音声機を取り出しそれを起動させた。
「………」
「………」
「お兄様方何か申し開きはありますか?」
「いやその何というか…」
「すんませんでした!!」
セリダス…そこはもうちょい抵抗するなりなんなりしてくれ。けどまぁ音声型の錬金でつくられた製造機だと弁明も何もないよな。
「それでラクトお兄ちゃんは何か言う事ないのですか?」
「はいこっちが我儘を言ってにいちゃんに頼んで遺跡へと連れていってもらいました。」
そう言うとセピリアはいつにもなく頬を膨らませながら年相応の駄々をこねて地べたで寝転び暴れる。
バタバタバタバタ!
「うわ〜私も連れていってほしかったです!!」
「ああ〜だからこうなるから予め言っておけばよかったものを…」
「いやにいちゃん流石にセピリアは連れていかれないよ。何かあってからじゃ遅いというかもう起こったんだし…」
「それもそうだな。」
「!?お兄ちゃんもしかして怪我したの!」
そう言って駄々を捏ねていたセピリアが立ち上がりコチラへと駆け寄って顔や目の奥を確認するかの様に覗き込む。
「い、いや。大丈夫大丈夫だから…」
あまりにも心配ぶりをしてくるセピリア。
そう我が妹は大のシスコン好きであり世話を焼いてくるのだ。
そうした原因は俺にあって、ちょっと捻じ曲がった方向で育ってしまったことを少しばかり後悔する。
「………あ〜俺もちょっと腕を痛めててな。……あ〜いたたた!」
「そうですか。」
「………いやその〜心配してほしいな〜とか怪我は大丈夫?お兄様とか言ってほしいんだが…」
「勝手に心配しておいてください。けっ!」
「ガーン!」
「………」
そして何故か長男であるセリダスにはもっぱらのこの態度。
別に嫌ってるわけではないのだが、どうやら俺の事を甘やかしてるというよりよく兄としての威厳をみせてくるのが気に食わないのだろうかそのせいで妹は対抗意識を燃やしこのようにやきもちをしてくるのだ。
「お兄ちゃんセピリアがいつまでも介抱してあげますからね。なんならずっと一緒にいるよ。」
「いやそれはそれで色々と問題が生じるというか…」
「……なんなんだこの差は俺やっぱり兄としてダメなところがあるのだろうか…だからセピリアには振り向いてもらえないのだろうか。」
多分兄としてみてほしい言い方ならセピリアはそういった態度を取らないのでは?
寧ろセリダスは何故か妹のセピリアに対し恋感情を抱いている気がする。
こんな兄と妹の挟まれる俺の立場とはいったい…
ガシ!
「ほほう〜セピリアに振り向いてほしいとな。ではその兄としての立場十分に我が弟と妹にみてもらおうじゃないか。」
「お、オヤジ!」
頭をガシッと鷲掴みにされるセリダス。
どうやら我が父は相当なおかんむりだ。
「俺が何故怒っているのかわかるな?」
「い、いえ何の事かさっぱり。……てか村の近くの遺跡の救助の件どうなってるんですか?」
「ほほう〜まだこの村近くには行き届いてないはずなのに何故それをお前が知っているんだ?」
「あ。」
セリダスは自らやった行いを誤って父親に暴露してしまった。というより墓穴をほってしまった。
「ついてこい話はゆっくりと聞かせてもらおうか。」
「ひぃ〜すまなかった。オヤジゆるしてくれ〜」
「なら長男であるお前がやってはいけないことをしたんだ。罰を受けるのが長男としての役目だ腹を括れ。」
やたらと威厳っぽい言い方をして墓穴を掘った兄をつれていくのが俺の父親ポッター・クリューダル。
この家の当主であって町役場の長を務めている。
しかしそちらは本職ではなく錬金術としての誉であり武勇としての錬金使いと言われていたりもするがそれを知っているのはごく一部でしかいない。
「お父様言行っちゃった。でもお灸を据えるには十分よね。」
本当この妹は我が長男には辛辣すぎるな。
「あらあなた達帰っていたのね。」
とここで玄関から我が母親のミシェリー・クリューダルのお出迎えである。
「あ!お母様。」
母親ミシェリーに向かって抱きつくセピリア。
やはりまだまだお子様なんだよな。
「あらあらセピリアったら相変わらず甘えん坊さんね。こんな所お兄ちゃんにみられてもいいの?」
「うっ…いいんです。まだ12歳になってないので私は子どもなんです。」
この世界では12歳から大人となる為我が兄の長男はもう立派な大人らしい。
しかし結婚できるのは16歳かららしくそこは自分がいた世界…日本と変わらないみたいだ。
「そうね。なら今日も厳しくお稽古頑張らないといけないわね。」
「そ、そんな!今日のお稽古だけはお稽古だけは!」
頑なに稽古を嫌うセピリア。
今日だけはどうしてもしたくなかったのか稽古を拒否しまくるセピリアは唯一のポテンシャルでの駄々をこねながら母親を困らせる。
「……さてと。」
俺は俺で他にやらないといけない事がある。
自分の工房…ここから出る為の独り立ちする為の錬金を合成する練習をしに行かないといけない。
錬金を合成、生成する為の練習この事に関して俺の父親と母親のポッターとミシェリーは俺の事を感慨深く思ったのかやたらとこっち方面を念押ししてくれて独学させてくれることを認めてくれた。
しかし独学というのも限界がある為俺に特別講師として家庭教師がついてくれることになった。
だが俺にとって問題な点が1つある。
講師…俺の家庭教師はちょっとばかり変わっており思春期である俺にとってはあまりにも刺激的すぎて困っているんだが…