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初日のアトリエ工房…お店開店!

翌日朝が来るのと同時に俺は下に降りてアトリエでの工作準備を始めた。


「………」


まずはアトリエ特有の合成。

所謂錬金術同様の仕組みと言えばいいだろう。

よくゲームとかでアイテム合成や装飾品とかを重ねてランク上げするのと同じくそれと似たようにまず最初にするのが失敗しない為の工作練習を試す必要があった。


「……ふぅさながらこんなものかな。」


まず一つ目に練習として作った物ここ最近で少し痛んでしまったワイヤーガン。

ほぼ使う事なんてないと思っていたからあまり必要性もないと感じていたのだが、やはり念には念をという事で手入れをした。

その手に入れもアトリエの練習にもなる為神経による鍛錬もできる。


「さてとそれじゃあ後片付けをして店をだす事にしますかな。」


「キュキュ!」


「あ〜そういえばお前もいたんだっけな。」


昔俺に懐いてきたボルテラスライム。

通称ボルス。

妹が一緒に連れてきた為正直驚いた。

誰がペットとして飼っていたスライムを連れてくるんだって思うんだ。

寧ろ連れてこられた方が奇跡だったんじゃないかと俺は思ったりもしている。

何せあのアトリエから離れるのを嫌がっていたからな。


「キュ!キュキュ!」


「なんだ?お腹でも空いたのか?なら飯にするからちょっと待ってろ」


しかし朝食の準備をしようと地下からリビングの方へと上がっていくとまさかの朝食の準備がされていた。


「は?何で誰がいったい……」


って言わずもがな1人しかいないよな。


「キラン!勿論この私セピリアが用意させていただきました!」


何とも手際の良いよさなんだ。

完全に分かっていたのか朝から用意してくれたパンや牛乳そしてベーコンと野菜の添えたスクランブルエッグのまさに香ばしい匂いが俺の腹をくすぐるかのようにして胃袋が鳴りその朝食を欲していた。


「まぁよくもこんな手際のいいものを……あれ?お前って料理とかやれたのか?」


「はい!お母様が私を花嫁へ行かせる為の修行とか言って無理矢理教え困らせましたからね。正直私は嫌嫌でしたよ。何でどなたか分からない男性と結婚をしなければならないのかと…」


それに関しては確かに同意だな。

見ず知らずも分からない奴と政略結婚させられる。

そんなのどこの時代のスタイルなんだよって思ってしまう。

正直俺が1番嫌いな結婚のやり方だな。

……まぁ生前でそう言った出会いがなかった俺からしたら寧ろこの世界でのしきたりは中々にいいものだと思ってしまう節がある。

でもここでの少子高齢化なんて発想はまずない。

子どもが少ない人口なんてものもないわけだしちゃんとこの世界はまかり通っている。


「……ああそうだな。お前からしたら確かに嫌だよな。俺も同意だよ。」


「じゃあ!お兄ちゃんが私と結婚してくれますか!」


「それとコレとは話が別だ。てか俺達兄妹だし。」


「兄妹でも結婚はできますよ!」


「うっそれはそうなんだが…」


そうこの世界は頭が逝かれてるのか家族でも何故か血が繋がっている兄妹でも結婚ができるという意味の分からないシステムがある。

日本だとそれはできない話なのにこの世界では可能って……本当異世界様々だな。


「……だからなんだろうか少子高齢化がないっていう理由は…」


「はい?今何か言いましたか?」


「いや何でも。朝飯が美味いなって言っただけだ。」


「え〜そんな〜私を食べたいなんて…いいですよ!子どもは何人欲しいですか!」


「頭湧いてんじゃないの?朝っぱから。」


辛辣な言葉を吐きながら飯を食べて妹の話しをスルーをしボルテが食べている朝食をみながらアイツ貴金属が朝食で食べていたんだなと改めて気付かされながらそのまま朝食に集中した。


………


そして、朝食を食べ終わった後もうすぐ初のアトリエを開く事となる第1回目の朝。

俺は店の前の扉を開き開店準備を始める。


「よう!今日が初日なんだな。」


「あ爺さん!」


俺のアトリエを誠心誠意込めて作ってくれたドワーフの爺さん。

名前が何故かは明かされてなく俺の名前を言った瞬間何故か自分の名はあかせられないとか言って好きな様に呼んでくれと言う。

何故明かしてくれないのかは分からないがこの街の人達に鍛冶屋のドワーフの爺さんの事を聞くと誰しもが分からないという。

どうやら無名のドワーフの爺さんで通り名になっているらしく誰しもが爺さんの名前を知らない。


「爺さんきてくれるならそう言ってくれればいいのに。」


「は!ワシが建てたアトリエなんじゃ来ようがこまいがワシの自由じゃろう。」


何でそんな偉そうなんだ。

この前はそこまで興味が無さそうにしていたのに


ガチャ!


「あ、お兄ちゃんもうアトリエ周りの掃除は済ませましたよ。ボルちゃんも細かい部分を吸い取ってくれて大助かりです。」


「ああそうかありがとう。」


「ん?その子は誰じゃ?」


「ああ紹介が遅れたな。てかここに来るというのが予想外だったから紹介もクソもないんだけど…俺の妹だよ。」


「初めまして兄の妹のセピリア・クリューダルと申します。以降お見知り置きを…」


そう言ってスカートの両端を摘んで軽くお辞儀をしながら令嬢の様にして挨拶をするセピリア。

まぁお嬢様だからそりゃあそういった挨拶にはなるんだけどな。


「……ん?セピリア今ボルテが端の方まで掃除してくれたって言ったか?」


「はい。そりゃあもうピッカピカにして…」


ビューン!


「だぁぁぁぁ!!やっぱりだ!コイツ俺が端に置いてあった鉱石まで食べてやがる!掃除じゃなくて食事をしてやがるじゃないか!」


ボルテはゲップをしながら俺から怒られるのを避けて辺りを逃げ回りながらアトリエ周りが汚れていってしまう。


「ああ〜もうまたやってるんですか。全くボルテちゃんったら。申し訳ございません。もう少しでお店が開きますのでもう少々お待ちくださいませ。」


そう言ってセピリアは店の中に入って再び掃き掃除をしているのをドワーフの爺さんは眺めながらこう呟く。


「……そうか妹がいたのか。道理で似ていたわけじゃの昔のあやつに…」


………30分後


「よーしようやく開店だ!」


「全く時間をかけすぎなんじゃ…もっとパパッとせんかいパパっと。」


「あ、すみません申し訳ございません。……いや爺さん普通にお客第1号として平然と入ってくるのやめてくれないか。俺は普通に新規客を期待しているんだが…」


「ほぅ〜何やら珍しい物がたくさん置いてあるの。」


「え?無視?俺の話しきいてる?」


俺が作った物に興味津々に惹かれるドワーフの爺さん。まぁこのアトリエを作ってくれた人だから無我にはできないしひとまずはOKって事でいいか。


「ふぅむ何やら珍しい物ばかり置いてあるがこの椅子みたいなのはどういった仕組みなのじゃ?」


「はいその椅子は何でも上下として伸び縮みができ尚且つ移動もできるのですよ。」


「なんと!形が自由変形にできるとな!」


「そこまでは言ってないだろう。上下と並行移動ができるってセピリアは言ってんだよ。」


「つまりどういう事じゃ?」


「試しに座ってみたらどうだ?」


「……そうじゃの座ってみるとするかの。」


ドワーフの爺さんはそのまま椅子に座り椅子が前へ動き出していくのに驚きながら降りようとするのだが…


「どど、どういう事じゃ!か、回転もするぞこの椅子!」


「はい。椅子は何と回転式の石も組み込まれており向きたい方向へ曲がれるという形式にもなっています。」


「おお!それはたまげたな!ふんぎゃ!」


ズドン!


ドワーフの爺さんはセピリアの説明を聞きつつ興味を抱くがそのまま壁にぶつかってしまい椅子から離れる。


「おい大丈夫か爺さん。」


「あははは!コレぐらい何ともないわい!」


「いや爺さんじゃなくて、壁の方を心配しているんだが…」


「何?……あ。」


完全にドワーフの力というものがあってしまうのか壁にヒビが入ってしまいいきなりの新築のアトリエが台無しになってしまう。


「うっすまん修理道具を持ってくる。悪いが他の客の予約が入っていて、来るのが夕方からになるが構わんかの?」


「それはいいが…あまり無理はしないでくれよ。」


「ああではまた夕方にくる。セピリアもまたくるからの。」


「はいお待ちしています。因みにまた壁を壊すようであるなら出禁にしますからね。」


「うっ……やはり何処の誰かにそっくりだわい。」


そう言って意味深な言葉だけを残しこのアトリエを去る爺さん。てか本当に何しにきたんだ。冷やかしにも程があるだろう。


「さて……それじゃあ店を開始といこうか。」


「それはいいんですけど、どうするんですか壁の方は?」


「ああそれなら任してくれ今とっておきのを持ってくるから。」


「とっておきですか?」


俺はアトリエの地下からあるスプレーを持ってきてそれをカシャカシャとふる。


「あの〜それはいったい?」


「まぁ見てろって…」


俺はスプレーに白い鉱石を嵌めてそのままヒビの入った壁にカチャっとスイッチを入れ噴射させる。

すると壁はみるみると入っていたヒビが消えていきまるで新しく壁ができたかの様な形になる。


「うわ!まるで何事も無かったかの様にヒビが消えましたね。それもお兄ちゃんがアトリエで工作したものなんですか?」


「ああ。まぁ何ちゃってスプレーみたいなものでも思ってくれればいいさ。かければサッと何事も無かったかのようになって消える。優れものの一品って形だな。」


「凄いですね。それならば修理等不要では?」


「残念だけもあくまで見た目だけだ。完全に直ったわけじゃないから修理は必要だな。軽く拭くだけでも色は溶けてしまう。だから半日程度なら湿気とか関係なしで保つ事は可能だ。」


「それでも凄いですよ!コレならお兄ちゃんの商品はバカ売れですね。」


「いや俺が販売しているのはそう言った便利性とかではなくてだな。あくまでも日常とかで扱う秘術品みたいな形で物を売っている。まぁその客が目につければって話にはなるわけだが…」


ガチャ!


「さぁ!ラクト君今日こそは!話しのケリをつけにたわよ!」


秘術品について説明をしようとした矢先本当に空気の読めない傍迷惑な奴が店の中に入ってきた。


「はぁ〜そういえば問題視する点がまだあったわ。」

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