疑われるラクト。ゲームの主要メンバーに恨まれつつ主人公を助ける。
パッフ・ロイゼとガイウス・クルミトルそして他のギルドメンバー達が急いで俺の跡に続いてきたのか…どうやら俺を怪しんでいる様な剣幕でコチラを見る。
特にガイウスが…
「おいお前!なんで2人がここにいるのが当たり前の様に走ってきたんだ。まさか2人を閉じ込めて殺させようとかしたんじゃないよな。」
「ちょっとガイウスあまりにもそれは責めすぎですよ。そう言ってはいそうですなんて答えるわけがないじゃないですか。」
まぁ仲間の事を一大事に考えてるというガイウスの言い方は間違っちゃいない。
仲間が危険な目にあったかもしれないんだ。
そう言われてしまうのは当然…
ましてやあんな陽キャみたいな主人公なら尚更だしな。
「ふぅ〜こんな事を言っても信じてはもらえないかもしれませんが、僕は単に2人がここを案内して帰ってこないというのがもしかしたらと思って急いで駆けつけて直ぐに出ようという提案をしただけです。閉じ込めてモンスターに襲わせるならとっくの前にやってると思いますよ。」
「は!そんな言い掛かり誰か信じるかよ!見ろよ2人ともボロボロの格好じゃないか。ここを出る為に体を汚してまで出ようと必死こいてたんじゃねぇのか!」
「くっこんの…」
頭でっかちがと言ってやたりたいところだが…初対面の相手にそれを言うのは野暮。
それにコイツは単に仲間を心配しているだけにすぎない。とやかく言う権利は俺にはないんだ。
というかどんな事を言ったとしても納得してくれないのが目に見えてるよなコレは…
「ちょっとちょっと!どうしたなわけ何でその人が責められてる感じなの?何かしたのいったい…」
「そいつはもしかしたらお前ら2人を閉じ込めてモンスターを襲わせようとしていたかもしれないんだ。やたらと急いで駆けつけたからもしかしたらと思ったわけなんだが……可能性としてはお前らを手篭めにしようと閉じ込めた可能性もあったかもしれないな。」
「え…嘘でしょう。じゃあ私達を親切にしたのも単なる私達の体目当てだったっていう事なのかしら。」
いやいや話がとんでもない方向の行き方をしているぞ。このままじゃ冤罪で済む話じゃなくなる。
というより俺が悪いのかよ。俺が知ってるコイツらってこんなにも相手を疑る奴等だったか?
「待って待って!その人がそんな事を考えてるとはとても思えないよ。だってそんな人があんな一生懸命になって私達の事を心配しにきてくれたんだよ。そんな風に思ってくれる人に皆んな失礼でしょう!」
うう、本当に生真面目というか素直というか…主人公補正でまくって、相手を疑わないという精神が物凄くポイントが高い。
正直こんな子が世の中に現実にいたりしたらどれだけ俺の人生が豊かになっていたか…
「ルミナあなた本当に相手を疑わないわよね。自分自身の事は自分自身で守らなければならないってずっと言ってるよね。なのにこんな時にまで…」
「アリシアまでそんな事を……少なくともアリシアは私と同じで人を見る目はあると思っていたんだけど……もしかして私の勘違いだったのかな。」
「そんな事は……」
まずいどうでもいい事で仲間割れが始まっている。
早いとこ誤解を解いてコイツらの仲を取り戻さないと…
ゴゴゴゴゴゴ!
「な、なんだこの地響きは…てか地震なんてこの洞窟で初めてじゃないか?」
「受付のねぇちゃん地震について何かしらねぇのかよ。」
「いえ私も何も聞かされていませんし何よりここは地震とは無縁な場所な筈ですから…」
そんなわけないだろう。
この洞窟での地震頻度は役半年もしくは1年に一回はあるって事を言っていたのをゲームで既に把握しているんだぞ。
情報が行き届いてないって事はもしかしてあの街は身はなされているって事なのか?
いやそもそもあの街があるという事態ゲームにはなかったわけだからもしかすると……そうだ!思い出したぞ!確かここの洞窟モンスターに近くの街が3つ滅ぼされたって話を聞いた覚えがある。
まさかそれがクルクル街の1つってわけじゃないよな。
ズドン!
「キキーー!」
「うわなんだコイツ!」
「で、でっけぇ!や、やべぇぞコレは!」
ダンゴムシ形のモンスター…となるとコイツは…
「タイタンホイールか!」
グルングルングルングルン!
ま、まずい!あの回転式は…
「な、何かヤバいことになってきたわよ。ルミナ早いとこここから逃げた方がいいわよ。」
「待ってもう少しで琥珀のテカリが純正度がよくなるから。」
「言ってる場合じゃないでしょう!ほら急いで立って!」
アリシアはルミナを素早くその場から移動させる為に立たせようとする。
「クソッタレ!どうやら奴を倒してからじゃないと今の問題が片付けられないみたいだな。」
「みたいですね。非力ながらもお手伝いさせていただきます。ガイウスさんには僕のサポートが必要不可欠ですからね。」
「へっ!ほざいてろ!おい自分の力に自身があるやつは手伝え!自身がない奴は前にでるな!殺されるぞ!」
さすがはハンマーでは唯一の鍛治錬金術の戦士だな。ちゃんと指揮ができていて俺よりも男ができている。
だけど今の実力じゃ恐らくやられる。
「いや奴には今の冒険者達の実力じゃ無理があります!ひとまずここは撤退を!」
「黙れ!弱者風情がでしゃばるな!ここは俺達冒険者がやる!お前は大人しく下がって弁明でも考えてろ!」
アイツは俺をどんだけ悪者扱いにしたいんだよ。
違うっていってんのに……
「てかまずいなそんな事を気にしてる場合じゃないぞ。」
タイタンホイールがあの回転をするって事はこの場所一帯に力強く飛んで地面を揺らすという行為…所謂麻痺状態にさせる効果がある。
あわよくばそのまま即死で戦闘不能という可能性だってある。
見た目的には単なるダンゴムシではあるし弱いのもあるが…攻撃力はコチラが思うほどの倍の実力。
即効で倒せる錬金アイテムかもしくは魔法がなければ意味がない。
ブン!
ヒューーン!
ズドン!
ピシピシピシピシ!
周りの地面にヒビを発生させ直ぐにでも下が崩れてしまうかもしれないという危うい状況に陥る俺達。
しかしそれを許さないのかガイウスはハンマーを使って地面に思いっきり叩きつけ地震発生の揺れを音波によって相殺させる。
「へ!どうだ!コレなら問題ないだろうが!」
ピシピシ!
ガシャン!
「あっ!」
「ルミナ!」
だが相殺させるのが間に合わなかったのかルミナとアリシアがいる場所の地面がわれルミナがその下に落ちそうになるのをアリシアが腕を掴む。
「ぐっ!絶対に離さないでよ!」
「だ、ダメだよ!アリシアは力がないんだからそんな事したらアリシアの腕が千切れちゃうよ!」
「人の心配してる場合?自分の心配を、するのが、先でしょうが!」
思いっきり引き上げようとしているのかアリシアの顔がとてつもなく苦い顔になっておりこのままではヤバいと感じたルミナはアリシアが握っていた手を掴む。
「ま、待ってお願い!それだけは絶対にやめて!」
「ごめん。私はここまでみたいだね。ちゃんとアリシアの言う事を聞けばよかったよね。」
そんな懺悔をするかの様にしてもう終わりみたいな顔をするルミナ。
そんな顔をさせてしまっている自分が許されないのか必死になってルミナの腕に力を込めようとする。
しかし…
パシン!
「ルミナ!」
「さようなら。」
ルミナはアリシアの腕を無理矢理ほどき自らの運命を決めたのかその運命に抗うことをせず落下する。
い、いやだ。
絶対に嫌だよ!こんなお別れの仕方って…そんなのありえな…
ダ!
パシン!
「え?」
「え?」
「ぐぐ!あ、諦めないで!まだ終わってないでしょう!こんな所で冒険を終わらせていいんですか!」
しかしその運命を許そうとしなかったのか主人公の死をラクトが防ぐかのようにしてルミナの腕を掴み取る。
「ぐぐぐ!」
「あ、ありがとう。でもこのままじゃ君まで落ちて…」
「落ちるものかよ!てか諦める前にまずはどうにかして生き残る考えをしろよ!何の為にここまできたんだ!アトリエの為にきたんじゃないのかよ!」
その言葉にルミナは僅かに諦めかけていた心に火がつき何を思い出させたのかラクトが掴んでいた腕に力をこめる。
ギューーー!!
「う、うん!そうだな!私は馬鹿だった。そんな事をすっかり忘れていたなんて…本当情け無いよね。ごめんなさい私は馬鹿だった!」
とは言ったものの俺もそこまで力があるわけじゃない。このままだと俺もルミナを落としかねてしまいかねない。
「というかなんでモブの俺がこんな事を!」
ガシ!
「わ、私も手伝うわ!」
「あ、ありがとう。」
「いいからルミナを引き上げる事にだけ集中して…」
た、助かった。
2人であげられるなら何とかなり……ん?
「う、うーん!!!」
「頑張って2人とも!」
いやいや2人であげてるんだぞ。
なんで全然ルミナを引き上げられないんだ。
そもそも俺にしか力を出してない気が……
「ふんんん!!!」
なんだろうコレ……俺1人だけしか救助しきれてない感が半端ない。
ちょっと待てアリシアってそんなに非力だったのか。
ズル!
「うおっと!」
危ない危ない。
余計な事を考えてルミナを落としそうになった。
とにかく俺だけがルミナを引き上げる事しかできなさそうだ。
「一か八かで引き上げる力をこめるしか…」
ブン!!!!!!
ズドン!!!
グラグラ
ガタン!
「きゃあああ!」
「ま、まずい!」
パシン!
タイタンホイールの跳んでからの地面への落地。
それより地面に大きな影響を与えラクト達がいる場所に激しい揺れが起こりラクトは前のめりになって突き落ちる。
しかしそれはヤバいと感じたラクトは一緒に落ちそうになったアリシアを巻き添えにさせないようにとしアリシアをその場から突き飛ばしラクトとルミナは真っ下へと落ちていく。
「る、ルミナ!!!!!!」




