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旅立ちの日

モルティーが説明をするっていったいどういう事だ?


「モルティー先生。カルミラがココを出ていくっていったいどういう意味なんですか?」


「そうだね。まず何処から説明したものやら……まぁ最初はそうだね。その子の弟が囚われていたという話を覚えているかな?」


「あ、はい。確かにそんな話がありましたね。」


「その子の弟君を実は訳あって調べていたんだ。それでその間君と一緒にここでの生活を満喫するといいって私は言ってその間彼女の弟君について色々と知っている情報をかき集めていたってわけ…」


「あ!だから全然この村から出て行かなかったんですね。」


「うーん鋭い所に上手く私の心をえぐってくれたね。いやまぁうんその通りではあるんだけども…」


どうにも納得がいかない顔をするモルティー。

もう少し言い方あるんじゃないかと言わんばかりの反応であるためややコチラ側は申し訳ない気持ちになる。


「あは、は…って事はモルティー先生はカルミラと一緒にここを出ていくという事なんですか?」


「最初の説明が一気に嘘の様に理解されてしまってあまりにも戸惑いが隠せないよう。君って本当に頭が冴えてるんだね。」


いやまぁ流れ的に分かると言うか……まぁ普通に考えたら小さな子どもがこんな簡単に物事の理解していたら君悪いけどな。


「そうなんですね。じゃあこのアトリエも寂しくなりますね。ここでは僕1人でずっと使っていく事になるんだな。」


「うん。でもコレからは私達が君の心の中にいるからいつでも一緒にいられると思ってアトリエで頑張ってほしいな。」


「当たり前ですよ。ここで先生達と一緒にいた思い出は忘れません。ずっと心に刻みながらアトリエで錬金術を育んでいきます。」


「うん…うん…そう言ってくれるだけでも私は君の先生になれて本当に良かったよ。」


俺はモルティーが今まで泣く姿をみた事があっただろうか?いやきっとなかったはずだ。

だからあまりにも新鮮すぎて、どう声をかけたらいいか分からずにいるとカルミラが間を遮ぎるかのようにして俺に声をかける。


「私またここに戻ってくる。その時は2人で……ううん3人でまたアトリエをやっていこうね。」


「うん。僕もまたカルミラや先生と一緒にアトリエをやりたい。だからまた会うのを楽しみにしてる。」


「さて、お別れの挨拶も済んだこと事だしそろそろ行こうかカルミラ。」


「………はい。」


「え!?今日出立するんですか?」


あまりにも急すぎて、何も用意できてないんだが…


「……あ、だからカルミラはその為にこのブレスレットを作られたのか…」


「えへへ、何か用意できたらいいかなって思ってやったんだけど…ちょっとしたサプライズにはなったかなって…」


「それなら僕も何か渡すものとか用意できたのに…」


「ううん。ラクト君には色々と教えてもらっていたし何より……」


「何より?」


「何でもない!またいつかあった時話すね。」


何だろう。

何処かで見た事があるシチュエーションなんだけど……俺もしかして何処かしらゲームの何かの要素に突入していたりしないよな?


「わ、分かった。あ、でもモルティー先生は何も…」


「大丈夫大丈夫。私にはコレを思いとしてもらっていくからね。」


「な!?それは僕が秘蔵で作っておいたフィギュア!何処でそれを!」


「え〜君の部屋に置いてあったよ。なんだか被せている物があったからなんだろうなって思ってほどいたら、私そっくりの人形が置いてあったからね。コレはコレはと思いながらコッソリ盗んできたんだ。」


「泥棒!窃盗だ窃盗!」


「だからことわったじゃないか。コレを思い出としてもらっていくよって。」


わざわざ自分に似たフィギュアを思い出として持っていくやつがいるか普通。

そういうのは何か可愛いマスコットとかそういうのを持っていくんしゃないのか…


「わ、分かりましたよ。ただ興味本位で作った人形(フィギュア)ではありますが、それでいいなら持っていってください。」


「ありがとう。」


そんな満面の笑みでありがとうって言われたらやっぱり駄目です。持っていかないでくださいなんて言えないよな。


そしてとうとうお別れする時間がやってきてしまい2人は村の入り口までいき俺達家族も一緒にお見送りをする。


「ぐすっぐすっ本当にいってじまうのでずかモルティーさん。」


「うん。色々とありがとう。本来ならもっと早くにここを出るべきだったんだけれど、ちょっとしたアクシデントがあったからそれでお別れするタイミングを失ってしまって余計に名残おしくなってしまったんだよね。本当にごめんよ。」


え?その言い方何かおかしくない?

それはセリダスに対してまだ名残惜しいという意味なのかそれともここに滞在していた罪での名残惜しさなのか……どう判断したらいいか分からない言葉だなそれ…


「???今の言葉の意味ってどういう事ですか?セリダスお兄様に対しての意味なのでしょうか?それともモルティーさん個人の意味あいなのでしょうか?」


「さぁ〜それは君達の感性に任せるよ。」


妙な謎解きをしているけれど、単に長くいて申し訳ないという意味あいなんだろうなきっと。


「セピリアちゃん。短い間だったけど楽しかったありがとうね。」


「うんうん私の方こそこの数日間楽しかったよ。またここに来た時はもっといろんな事して遊ぼうね。」


「うんその時は絶対にラクト君と一緒のアトリエに招待するよ。」


ピシ!


「それはどういう意味あいなのですか?私のラクトお兄様と一緒にアトリエ……何の話しなのでしょうかねラクトお兄様?」


そんな威圧みたいな感じでコッチを睨まないでほしい。俺にはさっぱり分からない事だ。

単に遊びで一緒に誘ってるだけだという意味合いで捉えてほしいのに…何故かウチの妹はものすごい敏感に物事の判断をする。

主に俺が他の女性と関わってるという場合の話だが…


「ふふ、私も絶対にそんな仲の良い姉弟を取り戻して見せるから。その時は弟を連れてコッチにくるね。」


「うん。待ってる。」


「………」


そんな微笑ましい姿を見ていたモルティーは何処かしら思う所があったのか人形(フィギュア)を強く握り締めながら何かを決意した表情をしてラクト達の顔をしっかりとこの光景を頭の中に刻み込もうとする。


「モルティー殿。あなたが言われた通り国境で私の信頼する者達に道を通す様に話はつけています。なのでこの手形を見せていただければ問題はないはずです。」


「ありがとうございますポッター様。本当に何から何までお世話になりました。また奥方様も色々と大変お世話になり感謝しています。この御恩は一生忘れません。」


あのモルティーが粛々と頭を下げた!

そして目上に対するお礼の言葉!

俺は幻でも見ているのか…


「ラク君。」


「あ、はい。」


モルティーは俺の名前を言って、こっちにおいでと言わんばかりの手招きをする。


「君には本当に色々と世話になったね。私から教えてあげる事もあったけれど、大半は君に教えられてもらってばっかりだったね。」


「いえそんな事は…………」


「うんそこはそんな事ないよって言って欲しかったな〜〜」


「はいそうですね。」


否定の言葉をだしたかったけれど、あまりにもコッチばかり教えていた記憶しかなくて何も言えなかった。


「でもその……楽しかったですよ。そんなに長くいたわけでもありませんが、一緒にアトリエで過ごした日と僕の最終試験でのあの旅…とても良い経験を得たとそう思っています。」


「うう……やっぱり離れたくないよ!」


モルティーは我慢の限界がきてしまったのか、そのまま俺に抱きつきながら何ともまぁ小学生という子どもの心を曝け出してしまっているのかわんわんと喚きながら秘めていたものをぶちまける。


「というより、先生、し、締め付けが、ちょ!ギブ!ギブギブ!」


最早離したくないという意思がヒシヒシと伝わりるほどの抱擁。

た、耐えられないというかモルティーにこんな力があったなんて…し、知らなかった。


「あ、ごめんね。つい私ったらうっかり…」


「モルティーさん。」


「あ、うんそうだね。それじゃあそろそろ行こうか。」


別れを惜しむ中2人はそのまま馬に乗って俺達の村から離れていった。


「くぅ〜〜モルティー先生。一緒に行けなかった。」


「セリダスお兄様には無理ですよ。あの人とセリダスお兄様では天と地の差があって寧ろ足手纏いになります。」


「うう〜我が妹ながら相変わらずの辛辣だな。」


「いやあの若さで一頭級錬金術使いだからな。寧ろ何かある方が不思議だと思うぞ。何故にこの村に不必要に長期滞在していたのかはわからんが少なくとも彼女にはそういった素質がある。まぁそれで長くラクトの家庭教師をしてくれたわけだから今回ばかりはありがたかったと思っていいいだろう。」


「はい。本当にあんな小さな子がここまでラクトの家庭教師をしてくれたのはとても私にとって嬉しかった事です。それに娘がもう1人いえ2人増えたみたいで楽しかったですしね。」


「もうお母様!娘は私1人なんですからそこは勘違いしないでください!」


「ふふ、大丈夫よ。あなたの事は今でも十分に大切に思っているから心配しなくてもいいわよ。」


「えへへ。」


そう言われて喜ぶセピリア。

まぁセピリアもまだまだ子どもなんだ。

そう言った嫉妬があってもおかしくないだろう。


「しかしアレだなコレからは1人でアトリエ工房で自分磨きをすふるわけだから大丈夫なのか?」


「大丈夫だよ兄ちゃん。だからあの為の試験を受けたんだよ。心配はないって!」


「そうか、そうだったな。すまん兄の心配は不要だったな。」


そう心配なんて必要はない。

何せコレからは俺1人だけで色々とやれるんだから!これ以上のないほど2人が出ていってくれたのは幸いだった!

寂しくなっといえば若干嘘になるかもしれないが…

俺は物凄く心浮き立たせて喜ぶ事ができる。

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