アリシア・クローデルに自分の素を疑われた件について
勝負だって?また面倒さいことになってしまったな。というか今はそんな事をしている場合じゃないんだが…
「あの、不躾な事を言ってしまうのですが…今はそんな事をしてる暇は…」
バキュン!
「!」
しゅ〜〜
不意に地面に放たれる弾丸。
俺は今撃たれそうになったのという自覚をしつつ目の前に放った人物を真っ直ぐ見る。
「ど、どう言うつもりですか…クローデルさん。」
シュルルルル。
アリシアは自身の持つ小型拳銃…リボルバーを指先でクルクルと回しながら標準を俺へと再び狙い定めて撃つかまえをとる。
カチャ!
「次は外しませんよ。」
アリシアは銃に関してはお手のものだ。
錬金術師でありつつ銃による錬金術が得意…ルミナ達の仲間では唯一遠距離型と中距離型では敵に回したくない奴でもある。
……なのにどうして
「……くっ何でこんな展開になるんだ。」
ラクトは小声で今の状況に納得がいかず、どうしてこうなってしまったのかを悔やむ。
「あらあらあら〜ま〜た人間同士の揉め事かしら〜さすがにやりすぎなのじゃないかしら〜……ん?というよりも今からようやくそれが起ころうとしてるのかしらね。」
「ちょ〜と黙っててもらえませんかね〜エスカさんん。」
変なちょっかいを入れて刺激を与えるのだけはやめていただいてほしいな。
アリシアが俺に対して何をそんなに憤怒しているかは分からないが……さっきまでの会話を聞いて俺の至る場所が気に食わないというだけなのかもしれないが……それが何なのかが分からない。
「お、落ち着いてくれませんかクローデルさん。僕に何か落ち度があるのならそれを直しますので…どうか落ち着いてください。」
「………まさか本当に分からないのですか?」
「え?な、何がでしょうか?」
「……はぁ…私が今まであなたの観察を疎かにした事はありませんよ。正直自分でもこんな事をしてるのが嫌なぐらいでしたからね。」
「だ、だから何のことなのか…」
「もう一度いいます。本当に分からないのですか?」
俺の事を観察していた?
でもなんでそんな事を?
いや分からなくはないんだが…別にアリシアに対して警戒されるような事は……あ〜いや一応はあるのか…ルミナとの接触。
コレが何よりも原因だよな。
「……成る程。つまり今の射撃は忠告という事なのですね。コレ以上プレデシアさんに関わるな。関われば命はないと……しかしこの依頼を頼んできたのは紛れもなく…」
「はぁ〜今更そんな事を言った所で、ルミナが勝手にあなたに接触するでしょう。それにコレまでの恩だってあります。それらを目に瞑ってルミナとの接触は仕方がないと断言しました。」
断言されたのか……いやそれはそれでいいのかどうか…お前がもう少しルミナに対する抑止力の壁となってくれれば俺に対してそこまで関わる事も無かった気がするんだが…
「……じゃあ他に理由は」
「理由なんて1つしかありませんよ。監視していた私は時々あなたが発する言動に不可解な点がいくつかあったからです。」
「不可解な点?といいますと?」
「……何故そんな外面で私達と話しているのですか?それがあなたの本性というわけじゃありませんよね?クリューダルさん?」
「………」
あーバレてしまってる。
いやいったい何処でバレたんだ。
ちゃんと周りを確認して、猫を被ってはずなのに…よりにもよってアリシアにバレてしまうとは…
「い、いえ。コレが僕の本性…」
バン!バン!バン!
あちこちに飛び交う銃弾。
それがピンポイントに壁に向かって跳ね返って俺の足元の下へと銃弾が落ちる。
「ちゃんと狙いは定めて撃ちましたよ。あなたに向けてでの…壁撃ちです。どうです?今にも死に至る境地での感覚は?」
脅しているつもりなのかよ。
なんてサイコパスな女なんだ。
やっぱりコイツに猫を被った所で仕方がない。
本音をぶつけて精算してやるよ。
「……はぁ〜全く何でこうもケアレスミスが発生するかな〜」
カチャ!
アリシアは警戒心をより厳重にしリボルバーをラクトへと狙い定める。
「……出てきましたね。それがあなたの本性なんですね。」
あらあら?
何だか面白い展開になってきたわね。
ルミナの事が気に掛かりではあるけれど、ひとまずコイツらの争いを見てからでも良さそうね。
「本性か…まぁ外面で色々と騙していたのは申し訳ないと思ってるよ。色々な意味で関わりたく無かったというのが理由でもあるしな。」
主に主人公とその仲間。
「じゃあどうして今更になって、本性を出す気になったのですか?脅されたから?もう隠す意味もないから?それとも…自分の目的が達成できそうだからですか?」
「全部違うな。こうしないと色々とめんどくさくなるからだな。」
「めんどくさくなる?いったい何がめんどくさくなるというのですか?」
「プレ……ああもうコッチでの名前まで丁寧に言う必要性もないな。ルミナ達が親身になって俺にまとわりついてた理由。主にコレが原因だって事だけは伝えておくよ。」
「な!勝手にルミナの名前を呼び捨てにしないでください!あなたなんかにルミナの名前を呼び捨てで呼ばれると汚れてしまいそうで嫌になります。」
「嫌になりますって…ただの子どもの我儘かよ。」
「な!誰が子どもの我儘ですか!」
「正直言ってお前はルミナと同様…子どもみたいな性格をしているよ。根っからは真面目な性格なのにルミナと関わるとこうも頭が悪くなっていくだなんて……まぁ個人それぞれの趣味主観だからあまり言えたものじゃないけどな。」
「勝手に言って、勝手に納得しないでくれませんかね。あなたにあれこれ私達の事を言ってもらうのだけはやめてほしいです。私達の何を知って発言しているのですか。」
ゲームを知っててやってるから言ってんだよ。
もう何回この比喩した発言に頭の中で突っ込んだのか分かったもんじゃないぞ全く。
「それはそうでしたね。その事に関して申し訳ありません。……っともう敬語にする必要性はないもんな。」
そう言ってラクトはそのまま螺旋階段を降りて行こうとする。
バン!
「う、動かないでください!まだ話は終わってませんよ。何勝手に階段を降りようとしているのですか?」
「え?言わないといけませんか?今まさにこの時間が無駄だと言ってるんですよ。このままだとアイツらが無事に助かるかどうか分からない…そもそもそっちがお願いしてきたのにどうして俺があんたに咎められなければならないのかが意味不明すぎる。怪しんでいるのなら先に進んでルミナ達を見つければいい…たったそれだけの話のにわざわざ俺に銃口向けて質問をする。……冴えているはずのクローデルさんはいったい何処にいったのやら…」
「くっ!ば、馬鹿にして!……あなたの言い分なんか聞く耳なんか持ちません!」
「じゃあさっきまでの質問はなんだったんだよ。意味ないじゃないか…俺が何を言っても聞かないのならむしろ俺を撃ってそれで終わりだろう。お前はいったい何がしたいんだよ。」
「………ぶす!」
って何でそこで泣き顔になりながら膨れっ面になるんだよ。
論破されて何も言い返せないのかよ。
全くそれなら尚更あっちに行ってくれよな。
コッチにきてもルミナの散策は二の次だってのに…
そのまま螺旋階段を降りていくラクト達。
アリシアはリボルバーをそのままクルクルと回しながら懐に入れる拳銃のホルスターへと上手くしまい直す。
「……お?」
「道が2つに分かれてるわね。」
そのまま螺旋階段を言い合いをしながら降り切った最中。
隔たれる道が2つありどちらに進もうかと踏み止まる。
「ふふ、もしかして行き迷ってるのかしら?因みにどの道に行こうとしてるのかしら?」
「今更かよ。愚問だよ。というよりもお前俺の思考普通に読み取ってるだろう。どうしたいのかって…」
「ええ〜でもあなたルミナを助けないとあの子に恨まれてしまうわよ。」
未だに俺達の後ろをついてくるアリシア。
やたらと機嫌を悪くしながらコソコソと後をついてくる。
俺がルミナを助けに行くかどうかを気にしているのか怪しんでるってあたりなんだろうな。
……仕方がない。ここいらでそろそろいいだろう。
「ふぅ…エスカ。お前ルミナのいる場所既に認知しているんだろう?」
「ええ勿論よ。但しあなたがどの道をいくかを見定めてから私はその方向へ行くわ。」
要するに俺の運試しに自分がルミナのいる方向をちゃんと見極めてから行くって事なんだろうな。
「たく……おい!いるんだろうアリシア!」
「!?え、え!よ、呼び捨て!きゅ、急に呼び捨てしないでくれませんか。不愉快ですよ。」
「コッチ道を進めばルミナのいる場所へいち早く辿り着けるはずだ。進むならコッチをオススメにする。」
「は?な、なんでそんな事がわかるんですか!」
「この神殿にはちょっとしたポイントがあってな…それでルミナ達がいるかもしれないというのが大体わかる。」
まぁ壁に思いっきりわかりやすいのが書いてあるしな。……完全に錬金術による印だ。
恐らく錬金術師の誰かが触れれば自分達の居場所まで光が灯して案内してくれるんだろう。
コレでルミナ達の救助のミッションは達成するわけなんだが……もう一つの問題を片付ける必要がある。
「………あ。錬金術の模様…それにコレはルミナが描いたやつだわ。」
お?なんだ知っていたのか。
それなら話は早いし理解もすんなりと進むだろう。
「それならばその道を真っ直ぐいけばもう分かるはずだ。」
「……ならどうしてあなたはコッチに来ないのですか?私が言うのもアレですが、ルミナ達を助けるのが優先なはずです。なのに分かれての行動なんてどうかしてます。先程後をついて精霊様との話を聞かせていただきましたが……どうやらあなたはルミナ達を助けるのが目的ではなく別の目的があるみたいねすね。何を考えているのですか…」




