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アリシアのどうしても譲れない気持ち

しかしここで俺の提案がそのまま通るとは思ってない。何せ俺が提案してももう1人は反発してくるからだ。


「……そのまま提案を鵜呑みにするわけにはいきません。あなたがどうしてこの神殿の事に関して詳しいのかは分かりませんが……少なくとも私はあなたの事を信用していません。」


だろうな。

アリシアは大の男嫌いだし…何よりも俺を物凄くルミナから遠く引き離そうとしているのは嫌でも見ててわかる。

寧ろその方がありがたい話ではあるんだが……事情が事情だ。そんな我儘を今通すわけにはいかない。


「信用してくれなくても結構です。僕が信じられないならそれはそれで構いません。もう一つの扉の方にはあなたとロイゼさんで行ってもらうつもりでしたからね。」


「は?な、なんでなのですか!私とロイゼでもう一つの扉を進ませようとするなんて…何も情報がないというのはいくら何でも無茶があるんじゃないんですか?」


「それは勿論重々承知ですよ。だから今回僕達についてきたトリュフさんが要になるんですよ。あの人はギルドでの受付嬢。神殿の構図に関してはおてのものだと自分は思っていますよ。」


未だにエスカと何か戦っているのか…離れた場所でエスカと言い争っているのがわかる。

主にエスカは嫌がってる様子だしな。


「それでしたらマーシャさんはどうするのですか?あの子はあなたと一緒に行くという事になるのでしょうか?」


「そうなりますね。しかし目的が一緒なのは変わりありません。マーシャさんがあなた方と一緒にいったとしても問題はないと思いますが……魔法との連携は未だに慣れていないというのが理由にもなります。」


「いえそんな事は!」


「いやいや何というか観察力。さすがはラクト氏ですね。」


「ちょっとロイゼ!」


「嘘をついたって仕方がないでしょう。今の所僕達がラクト氏に嘘をつくメリットなどありません。だったらラクト氏が上手くコチラ側の隠し事にピンポイントにヒットしたのなら…それはもう隠し事ではありませんよアリシア。」


「……それなら私がクリューダルさんと行きますよ。」


「え?」

「は?」

「嘘…」


俺と同じ反応をするロイゼとマーシャ。

あのアリシアが男と一緒にしかも1番嫌ってある俺と一緒に行くと提案をしてくる。

いったいどういう風の吹き回しなのだろうか。


「何ですか?そんなに私がクリューダルさんと行く事に違和感でもあったりするのですか?」


「いやあるにもあるでしょう。どういう風の吹き回しですか。アリシアはラクト氏の事を毛嫌いしているじゃないですか。」


「だからですよ。毛嫌いしている相手に小さな女の子と同伴させるには個人的にはよくないと思っています。それに前科がありますからね。」


ルミナの事か…あの時からやたらと俺の事を睨んできてたもんな。


「いやそれは…正直ルミナが悪いとしか言いようがありませんよ。無理矢理ラクト氏を連れだしたんですから…それに寧ろそういった結果が良かったのではないのですか?」


「そう言った結果が良かった?あなたはまだ子どもだからそう言った考えができるんです。特に小さい女の子に関しては色々とデリケートな部分があるんです。あなたみたいに年がら年中研究バカみたいな人間はほとんどいませんよ。」


う〜ん…それはどうだろうか、少し冒涜しすぎやしないか。

……というよりもあの幽霊船では男に対していや俺に対して色々と仕方なしみたいな形があったのに…どうして急にここまで俺の事を受付られないんだろうか。


「ガーン!僕が年がら年中研究ばかですって…それなら研究マニアと言って欲しいです!」


いやそこかよ。

そこに突っ込むとは予想外でしかなかったわ。

まぁロイゼに関してはそこが重要なのかもしれないな。


「そ、そこに突っ込むんだ。変なの……かといって私も人の事は言えないけどね。」


「そんな事はどうでもいいんです!あなた方の執着している部分に関して今は置いておいてください。……クリューダルさん。あなたがルミナに気に入らてるからって、勝手な判断でメンバー選抜されては困ります。妥協できるとはいえそう言った役割みたいなのは今必要かと言われたらそうじゃないんじゃないんですか?」


「……そうですね。ごもっともな意見です。クローデルさんが間違ってるというのはコチラとしても言い訳ができないぐらいには合ってるかと思います。」


「話の腰を折らないでくれますか?あなたは私達が隠してる部分を上手く的中して天狗になってるだけでそう言った指示を出したのでしょう。ロイゼに上手く褒められたからって調子に乗らないでくれますかね。」


いちいち反応が鬱陶しいな。

別にアリシアといく必要性もないんだけどな。

ロイゼとアリシアといういつも通りの組み合わせなら問題ないと思ったからああいった提案をしただけであって特に他意とかないんだが…


「はぁ〜分かりました。それならば早い話…あなた方4人でそちらに行ってもらって構いません。僕が1人で行きますので…それならば問題はないでしょう。具体的な説明はあなた達だけで組めば後は合流した時に臨機応変に対応できるのでしたら問題ありませんしね。」


「な!?」


「いやそれはさすがに…」


「そうだよ。1人だとリスクが高くなるだけじゃないの?やっぱり私も一緒に行った方が…」


「お気持ちはわかりますが、彼女の意図も汲み取ってあげてください。この中で1番信頼に値しないのが自分なんです。クローデルさんからしたらようやく仲間になれたマーシャさん。それにロイゼさんと一緒にさせたらそれこそ彼女の不安が一方的に増加する一方…そんなのマーシャさんやロイゼさんからしたらいったいどう言った気持ちになりますか?」


ラクト氏の言う通り…アリシアの気持ちを代弁してまでそういった考えを述べてくれる。

本当だったら嫌気がさすほど嫌いになるはずなのに…この人はどうしてそこまで、アリシアの事を嫌いにならないのだろうか……いや寧ろ嫌いにならないようにしている?

コレが高スペックな人の考え方なのだろうか。


「………」


う〜ん。

何かロイゼから物凄く尊敬の眼差しみたいなのが向けられている気がする。

いや気にしないで無視をしよう。

俺は特に変な事を言った覚えはないしな。


「それじゃあ僕は右の扉に入ります。あなた方は左の扉に入ってください。何処かしらで鉢合わせになる可能性がありますが、その時までには無事でいることを祈ってます。」


「あ!お兄ちゃん!」


そう言ってラクトは右の扉に入っていき姿が見えなくなる。


「あらあら人間同士でどうしてこうもいざこざが起こるのかしらね。本当不思議で仕方がないわ。」


「………」


「精霊様。状況的に空気を読んでいただけないかな。今そんな空気じゃないでしょう。」


「あらやだ。私の事を崇高している者にそう言われると何だか歯痒いわね。……それじゃあ私はあの小僧の所へついていこうかしらね。お前達に良心というものが何一つ欠片がない以上私はお前達といるわけにはいかないし…何よりあの小僧は色々と利用ができる。すぐさまに脱落する人間の所にいるよりかは私としては何倍ましだもの。」


ぴゅーーーん!


そう言ってエスカは右の扉から入っていったラクトを追いかけるようにして飛んでいく。


「………何なのあの人本当…大嫌い。勝手に自分勝手にことを運ぶように進ませて…何でもかんでも自分が対応するという自己判断が最も不愉快です。」


「しかしこのままラクト氏を1人と精霊様が1人というのは本当にいいのでしょうか?」


「やっぱり私がついていく。アリシアの我儘に付き合ってる余裕なんてないわけだし…お兄ちゃんにコレ以上負荷を負わせたくない。」


「同感ですね。しかしここであなたを行かせるとなるとアリシアと僕という駄目な組み合わせになってしまいます。…いえ決して絶対に駄目と言うわけではないのですが…」


「うん分かってる。矛盾してまう話になるよねって事だよね。大の男嫌いなアリシアならロイゼと一緒に行くって言うとなるとさっきのいたコザはなんだって話になるしね。」


「待ちなさい待ちなさい!2人とも何か勘違いしていますよ!私は単にあの人の事が嫌いであって、あなた達2人の事は…」


「アリシア。僕がいうのもあれかと思うんですが…そろそろその男嫌いを治したい方がいいのではないのですかこの機会に…」


「な、何を言っているのですか…」


「はい僕もこんな事を言うのはどうかしてるかと思います。アリシアの事は僕達が1番理解しているし何よりも僕達がアリシアの事を汲み取って上げなければならないというのは重々承知しています。……しかし…ラクト氏はそんなアリシアの男嫌いを何とかしてくれるのではないかと思いますよ。」


「………」


アリシアは右手を左腕に後ろに回してしどろもどろしながらロイゼの話を聞く。


「ありえない話ですね。……だけどあなたにそう言われてしまったらちょっとした可能性があってもいいと思ってきますね。男嫌いを治せるかどうかはさておき…少しあの人の事を知ってみたいというのはあります。……嫌いではありますけどね。」


物凄くマウント取るんですね。

物凄くマウント取るんだね。お兄ちゃんが可哀想に思えてくる。


「はぁ〜それでどうするの?後を追いかけるの?追いかけないの?」


「くっ!今回は仕方がありませんが……か、彼を追いかける事にします。……あなた達にコレ以上あの人との接触を試みるのは私としてもあまり良い気持ちはしませんからね。」


「???言ってる意味がよく分からないんだけど…」


「コレ以上ルミナ以外の人達に彼を受け入れる心を持たないようにしないといけないって事ですよ!」


そう言い捨ててアリシアはラクトの後を追う。


「はぁ〜ねぇロイゼ。アリシアって前からああなの?」


「そうですね。主にガイウスに似てるというのがありますね。…正直似た者同士ですよあの2人は…」


「ふーん。」


「全く興味が無さそうですね。」


「そう言えば…」


「あ、無視ですか。」


「無視じゃなくて、あの人は何処に行ったの?」


「???あの人とは?」


「ほらさっきまで精霊様とイタコザになっていた受付の人?の事だよ。」


「……そう言えばいったい何処に行ったのでしょうか?てっきり関わるのが億劫と思っていたから静かになっていただけかと思ったのですが……」


「……もしかしてあの人。」

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