マーシャの心の壁と心配
あの後コルデリアを保存する為の冷凍保管箱が無事に完成する事ができ…暫くはマーシャが使う氷を使うエネルギーの源だけで…コルデリアはそのまま永久保存する事ができた。
しかし保存ができたとしてもずっとと言うわけではない。
完成したとしても完全に完成というわけじゃない。
何かしらの不具合やバグが起こる可能性だってある。
なのでマーシャだけは暫くここで住まわせる事には賛成したはずなんだが…
「はぁ〜何でこうなるのやら…」
「あ!ラクト君おはよう。朝ごはんできてるから一緒に食べようね。」
「はは、はぁ…わかりました。」
俺の静かなアトリエライフは帰ってくるのだろうか。
いやきっと帰ってくるはずだ。
コイツらがキーストーンを全て集めさえすればそれで…
「はぁ〜朝から憂鬱でしかありませんね。」
「そうですか?」
「そうなんですよ。ロイゼさんには悪いんですが、皆さんには早々に早くお金を稼いでここから出て行ってほしいんです。」
「そ、そうですか。僕的には皆んなと一緒にいて仲間だと思っていたのですが…」
くっ!ロイゼに関してはこの純粋無垢なのがまたとっつきにくい部分がある。
下手な言動ができないのが難点だ。
「駄目だよロイゼ。私達は仲間だけれどその辺に関してはちゃんと線引きがあるんだから、ラクト君に迷惑かけちゃ駄目だよ。」
おっと!まさかのここでルミナが似合わない発言をしてきた。まさかの線引きか…コイツがこんな事言うなんて…もしかして今日は雨でも降るのか?
ガダン!
「はい!あーん!」
「!?」
「!?」
「!?」
誰しもが疑うべき発言と行動に驚かざるおえないこの状況……何故かルミナが俺にあーんをしてくる。
「な、何をしてるのかな?」
隣に座ってきた矢先。
速攻でお箸を手に持っておかずを俺に差し出してくる。
「何って、勿論食べさせてあげるのよ。ほら私達その…色々と信用し切った仲間でしょう。コレぐらいするのは当たり前かなって…」
さっきの線引きがどうのこうのと言う話はなんだったんだ!
この状況に関してはめちゃくちゃ線引いてない気がするんだが…
「あ、あの〜プレデシアさん。さすがにそこまでしていただくわけには…」
「そうです!そうです!その役割は妹であるこの私目がやるのです!」
「セピリアは話がややこしくなるから黙ってようか。」
「お、おい!な、なんて、そんな羨ましい事を!くぅ!!!」
お前はお前で感情表現豊かだな。
モロ分かりやすすぎて言葉にでねぇよ。
「やはりルミナとお兄ちゃんは……いやでもお兄ちゃんからはそんな色は見えなかったし…え?え?コレいったいどういう事?」
目をぐるぐると回しながら理解できないでいるマーシャは現実逃避をする。
「だぁ!!皆さん落ち着いてください!朝から変なテンションになってます!プレデシアさんもその悪ふざけはよしてください。」
「……ぶす!分かったわよ。ならもうしてあげないんだから。後悔しても遅いんだから!ベー!」
後悔も何もお前が無理矢理してきたんだろうに…何故罵声を浴びなきゃならん。
そう思いながらご飯を食べようと箸を手に取り何か摘もうとすると…
「ほ、本当にいいのね!私があーんってしなくても後悔しないの!」
なんてめんどくさい奴なんだ。
俺が何かを手につけようとしたら若干涙目で俺に訴えかけてきやがる。
どうしろってんだ。
ダン!
とここでまさかのアリシアが机をバンと叩き物凄い形相で周りを睨む。
……ただ睨むだけならまだしも…俺にだけやたらと威圧なのがいかんしたがい。
「あなた達。朝ごはんの最中よ。朝ごはんはちゃんと静かにたべる。いいですね!」
は、はい。
周りはアリシアの高圧に負けてしまいそのまま大人しく朝ごはんを食べる。
正直助かりはしたが…空気が重いというのもり若干濁った感じがしてあまり味が分からない。
……朝ごはんを食べ終えそれぞれ自分がすべき事をするためギルドへと向かいクエストを受注しに行く物もいれば俺のアトリエを手伝ってくれるものもいる。
しかし何故かギルドへ行くのはガイウスとロイドもしくはアリシアが行くのだが……ルミナは頑なに行こうとはしない。
……アトリエショップ
「………さて、色々と突っ込見たいところなんだが……まず最初にルミナ。」
「うん何かしら!」
「お前達はいつまでここにいる気だ。宿に泊まるだけの資金は貯まっているだろう。」
「う〜ん。そうしたいんだけど…何だか住み心地がよくてこの場所…」
「だからと言って長く住んでいいとは言っていない。店の事も手伝ってくれるのは山々だが…その辺に関してはマーシャがいる。ルミナはルミナでアイツらと一緒に行ってもよかったと思うが。」
「それは駄目!私がここを離れたら……ううん何でもない。」
「???」
何故マーシャをみたんだ?
何かあるのか?
「はぁ〜訳ありの事情なら尚更聞かないといけないんだけどな。……とりあえずそこに関しては置いておいて…マーシャ。」
「うん。」
「コルデリアが復帰するまでの間はここにいてもらっても大丈夫ではある。店の事も手伝ってくれてるし正直看板娘としてはありがたい。」
「えへへそれほどでも。」
何故側でルミナが照れているのかは謎だが…そこは敢えて突っ込まず無視する。
「看板娘になったつもりはないんだけど……でもそうやって、私の事を気にかけてくれるなら…ここにいてもいいんだよね。」
「………」
む、無言。
もしかしてやっぱり私は不必要だったのかな。
「まぁいる分では問題はないんだが……それに俺が言うのもアレな気はするし……マーシャ別にここに固執する必要はないんだぞ。」
「別に固執してるつもりはないよ。」
「いいや。マーシャは何故かここにいないと駄目だと思いがちでいる。その理由までは分からないが…それだと心休まる事もできないぞ。」
「そ、そんなことは!」
「ああ分かってる。マーシャがそんな風に思ってない事も重々承知している。ルミナ達といるよりかはちゃんと素の自分を曝け出している気がするからな。」
「ふふ、それだとラクト君は自分の家なのに素を曝け出していないのはなんでなんだろうね。」
「五月蝿いぞ居候。誰のせいで素でいられないと思ってるんだ。それにお前にだけは言われたくない。」
ラクトは間髪入れずにルミナに向かって今の状況を踏まえて突っ込む。
「……お兄ちゃんが素でいられるのって…どう言う時に素でいられるの?ただ単に相手を騙すにしては限られた人にしか素を出していないよね?何か理由があるの?」
「いや、まぁ大した理由があるわけではないんだけどな。」
「そうそう!ラクト君は単に恥ずかしがってるだけなんだから。」
「やかましいぞ馬鹿騒ぎ女。」
「………え?ば、バカ!え?え?今何て言ったの?」
「いや何も?」
「そ、そうだよね。ラクト君がそんな汚い言葉言うわけないものね。」
今明らかに毒を吐くかのようにして汚物を見るような目で見てたような。
私も気のせいだって思いたいけど、モロ目の当たりにしてみてしまった気がする。
「俺の場合表と裏で分けてるだけだ。人前に出る時ってちゃんとした装いをする人がいるだろう。それと同じだよ。」
「じゃあ裏の場合は汚い格好をしているって話しだよね?……だから素でいられるって事だから……???でもそれは人前にいない話しであって、私は人前で素でいる話を体で話してるんだけど…」
「痛いところを疲れたな。確かに今の例えだと具体的な例を省いてしまったな。……けど内容事態に関してはへそ曲がりとかではないから嘘をついてるわけでもないんだけどな。」
「そうそう!ラクト君は嘘をつくに関してはちゃんと人を選ぶからね。特に深い意味はないよ。」
本当に大した意味がないから突っ込む事もままならないな。
それに人を選んでとかじゃなくて全員そこまで関わろうとしない為に装ってるんだよ。
その点に関してコイツはまだ理解を得ていない。
「そう嘘はついてない。……うん。その部分に関しては本当なんだと思う。でも深い意味がないにしても、その利点はどこにあるの?」
「利点?さっきも言ったはずだが…周りからのトラブルを避ける為であって、それ以上でも以下でもない。」
「周りからのトラブル……そんな、ただ外面を被るだけで何かしらのトラブルが避けられるって言うの?」
ううん!何とも肯定しづらいな。
はいそうですとすんなり言えば1番いいんだが…既にルミナ達に掻き回されたり…現在進行形でマーシャや魔法関係に関して首を突っ込んでしまっている。
寧ろトラブル山だらけじゃないかという話になるんだが……さてこれを言えばいいのかどうか…
「………」
「何で沈黙してるの?もしかして、何かトラブってたりするの?」
「う、う〜ん……正直俺の口からは言えない。」
「な!?どうして……は!」
マーシャも気付いたのか、現在に至ってる状況をどうやら理解してくれて…本人はままならない表情をする。
「………外面被っても意味ないじゃん。」
「い、意味はなくはないかな。……いや寧ろちゃんと被っていたのにも関わらず無理矢理関わらせた奴等がいるから…」
「え!誰なのよそいつは!私達の邪魔をする悪い奴は懲らしめないといけないわよね。」
主にお前だよ。
主にルミナじゃないのかな…
「はぁ…ともかく俺の話についてはそんな所だ。素直になるならないに関しては正直自分次第という話にはなるわけなんだが…今はそれよりもマーシャの事に関してだ。俺の意見に何を参考にしたいのかはわからないがひとまず今の自分に対して壁を作るのはやめろ。逆に言えばこっち側としても気をつかう。」
「……そ、そのごめんなさい。そんなつもりで迷惑をかけたかったわけじゃなかったのに…」
「………」
まいったな。
未だに心の壁があるのか…マーシャは何かしらの遠慮をしている。
コレに関して俺が首を突っ込むわけにはいかないんだけどな。
カランカランカラン!
「っとお客様だな。この話はまた今度って……ゲ!」




