マーシャがルミナ達に抱く感情
起死回生能力?え?え?どう言う事?
「あはは、余計に混乱させちゃったかな。でもそのままの意味なんだよね。」
「起死回生能力。……危機に陥った時に底力が覚醒するとかそんな話し?ありえない。そんなのただの眉唾であって、非現実的だよ。」
「非現実的ね〜けど私達がしてる事って主に非現実的な事なんじゃないのかな?魔法って普段の日常生活では使わない話しだよね?」
「そんなのただの比喩表現にすぎない。」
「かもしれない。でもそれを生物や動物と人間にはあるんだよ。危機に陥った時に覚醒する歪な力。それをスパーク現象の中にある一部のもう一つの物だって私はそう捉えている。」
無茶苦茶な話しだ。
そんな事を言ってしまえば魔法使いの起こす暴走はスパーク現象という名前の別の何かになってしまう。
……いや違う。
まだ確信とされてないからずっとスパーク現象という由来で名前が通ってるんだ。
何も確信できる証拠がないからその別名も浮かばないし発表もない。
もしかしてこの人相当頭が切れるんじゃ…
「………」
「ねぇ!マーシャ結局どう言う意味なの!起死回生能力がいったいなんなの?」
「ああ〜言ってしまえばコルデリアは凄い魔法使いになっていくって話しだよ。」
「ええ!本当!それなら私納得できるかも!」
それで話を通させちゃうんだ。
いくら何でも無理矢理すぎやしないかな。
けどそれで納得しちゃったもんね。
……この子の将来が少し心配になってきたな。
「そんなのを調べているなんて…将来魔法研究か何かの志望でも考えてるの?」
「う〜ん。それはまだ私にも分からないかな。でも近い将来…私はそのスパーク現象がその内2人に関わるかもしれないという予想を掻き立てるかな。」
「それは単なる押し付けなんじゃないの?」
「そうかもしれないしそうじゃないかもしれない。こう言った場合が起こったら今の私達にはどうする事もできない。何かしらスパーク現象が起こった場合それは何かのトリガーが発生する。」
「トリガー?」
「そう例えば呪いみたいなとかね。」
「の、呪い……魔女の呪いとかそういった感じのって事?」
「まぁ万が一にもって話だから大丈夫だとは思うけどね。……でも仮にその呪いが発生するとしたら…この村は色々な意味で終わってる形になるかな。」
「そうなった場合あなたはどうするの?」
「………分からないと言うのが答えかな。」
「分からないって…」
「私の場合仮にも君達2人の誰かが呪われるような事があれば…私はこの村を無視する事はできないと断言する。せっかくの仲良くなれた友達なんだもん。そんな事があれば原因を突き止めとっちめてやる他ないね。いくら優秀な魔法を使いここに留めておきたいとしてもそれとはまた違う。言語道断だ。」
「……でも不思議だよね。あなた以外の上級魔法使いがここにはいない。私はそれが1番気掛かりだよ。」
「ん?ああ多分それは飛び級合格して既にいないからだよ。私と違ってその人たちは優秀だったんだろうね。」
「会った事はないんですか?」
「残念ながら…指折りでしかないけれどそういった人達が魔法のない場所へと足を運んで自分達の魔法をより広めようとしていると言う話だけは分かるかな。未だにその成果は聞かされてはいないけれどね。」
「分不相応にも私達とじゃ次元が違う話って事だね。」
「でも少なくともその人達が優秀な魔法使いという保証は何処にもないよ。だって私みたいな人間がここでの上位者として成り立ってるんだから…笑える話だよね。」
「それって自慢?」
「どうかな?…でも君は間違いなく私を超える存在にはなる。指折りでしかいない魔法使いがいないのはちょっとした食い違いでしかない。だからちゃんと自分に自信を持っていいんだよマーシャ。」
彼女にそう言われて私は少しホッとした。
ほんの少しだけだけ自分の魔法を信じていいんだと…そうして、私は皆んなとは違う少し歪な力を手に入れらた。それがこの学園を卒業する間際…
私は学園を卒業すると同時にとある力を身につけた。
そう人の心を感じ取れる魔法の力を…
………
「………はぁ〜なんて夢を見てたんだろう。今更昔の夢を見るなんて…」
マーシャは自身で身につけた人の心を感じ取れる魔法を手中に込めながらほんのわずかに光る残滓を眺める。
「……コレを使えばお兄ちゃんの今の気持ちを知る事ができる。……というよりもコルデリアを救った後に私はお兄ちゃんの側にいてもいいのか……それを知ろうという考えが今の私では度胸がでない。……でも実際に読み取れるわけじゃないから…相手の色で判断ができちゃう。……ある意味では敵に対しても有利な力だなって思ったりもしたな。」
マーシャは起き上がりながら朝支度をし先程みていた夢で朝から憂鬱な気持ちになりながらリビングへと向かう。
「あ!おはようマーシャ!」
「……お、おはよう。」
朝から高らかに元気よく挨拶をするルミナ。
私はこの人に対しても色々な意味で苦手だ。
というよりも普通に整理的に受付られない。
色も色で純白な色を持っている。
「どうしたの?朝から妙に深刻そうな顔をして、嫌な夢でも見ちゃった?」
「……別に何でもない。」
そうあしらって私は席につく。
「おはようございます。マーシャさん。」
「おはよう。」
私の前に座っている男の子。
私とほぼ同年代での男。
知識や勉学に対してやたらと好奇心を持つ男。
正直はたまに話が合うからこの子に関して苦手意識はない。
「ふふ、実は朝から僕いい物をみれましてね。」
「いいもの?」
「はい!朝に浮かぶ1つの光そしてそれに繋がるもう一つの光…それらが結ぶ方向を見て思った事があったんです。その先にある結んだ光の方角は…」
「光の屈折現象。魔法使いでも科学に関する心得はあるよ。珍しい物でも見れた反応しているけれど…それはいい物でもなんでもないよロイド。」
「ふぅ〜コレだからロマンを分からない人は困りますね。」
「ああ?」
ロイドはたまに私に言った発言にマウントをとってくる。話は合うけれど…そのマウントがたまに鬱陶しい。
「お!今日の朝飯はいい匂いだな。はは!やっぱり良い女が作る朝飯は気分も最高だな!」
「う〜ん?やだな〜もう!そんなに褒めても何もでないよ。」
「ははは!いずれ俺にも美味しい味噌汁を作ってくれる誰かが現れてくるのかな。」
「うん!きっと大丈夫だよ!ガイウスは私の中でもちゃんとした男であって幼馴染だからね!きっとガイウスの事をわかってくれる女の子が現れてくるよ!きっと!」
「お、おお、そ、そうだよな。あははは!」
「きっとって3回も言われましたよ。」
「うん。完全に対象外されちゃってるね。」
朝からやたらと大袈裟に笑いながらルミナに媚び売る男。こんな露骨にあからさまにルミナの事を好き好きという意思表示をしているのに本人は全く気付いておらず、むしろその気すらない。
……まぁそんなのは大体分かってしまうんだけれど……にしてもガイウスが不憫に思えてくる。
五月蝿いやつだけど、私の中ではお兄ちゃんの次ぐらいにはいい奴と思っている。
「ちょっと。朝から妙な猥褻表現やめてくれるかしら?」
「おっと!す、すまねぇ。別にお前に害を及ぼすつもりは無かったんだが……てかお前に言ったわけじゃないからな。」
「知ってますよ!朝からルミナにちょっかいかけるのをやめて欲しいと言ってるんです。」
「なぜだ!俺は普段通りにしてるだけだが!」
「ふ〜ん。……普段通りでね。……何も進展すらないのにどの口が言うのやら…」
「ガーン!や、やっぱりそうだったのか!」
「自覚してなかったんですね。」
そしてルミナの最後の仲間の女性…アリシア。
まだこの人の事についてよくはわからないけれど…どうやら相当ルミナに執着しているらしい。
何かあったかは分からないけれど世の男性を絶対に寄せ付けないというオーラをだしている。
……正直な所あのポテンシャルでナイスバディなのが気に食わない。
ムチムチしてる所があるのに胸やお尻もちゃんと出ている。
将来私もあんな風になりたいとまでは言い切れはしないけれど…少なくともお胸に関しては少しながら成長を施したい。
「どうしたの?握り拳なんか作っちゃって。」
「な、何でもない。」
アリシアにそう突っ込まれるがマーシャはその辺に関してはスルーする。
「………リビングが物凄い人混み状態なんですけど!どう言う事ですかコレは!」
「あ、セピリアちゃんおはよう!今日は私が朝ごはん作ったんだよ。よかったら味見してくれるかな?」
「本当ですか?それは助かります。……じゃなくて!何でリビングにこんなに沢山の人がいるんですか!」
「いやそりゃあ朝飯食べにきたんだから集まりにくるだろう。」
「お言葉ですが、ご飯まで一緒にするとは私は言ってませんよ。そもそもあなた方を許したのはあくまでもあの人がちゃんと保存されるまでの間なはずです。それをズルズルと先延ばしするかのようにして滞在するとは…少しというより図々しいにも程がありますよ!」
「え?もしかして私も図々しかった?」
「え、あ、いえ…マーシャさんはここに暫くいても仕方がないんですが…他の方々がまだここにおられるというのが納得いかないんです。」
「あ、ほらセピリアちゃん。コレどうかな?上手くできたと思うんだけど…」
ルミナはセピリアに自分の作った味噌汁をそのまま口元に近づけさせ飲ませようとする。
「ズズって熱!!!」
「ああ!ごめん!全く冷ましてなかったかも!」
「くぅ!!その悪びれもない感じでの屈託のない顔…迫るにも迫られません。」
「………」
おかしい。
俺のアトリエが何故こんなにもカオスになってしまったのか未だに頭が追いつかない。




